BBS2 2009/07 過去ログ




春が来た 76
道明 7/27(月) 10:40:45 No.20090727104045 削除
(しまった!・・・聴かれていたんだ)


沖田は、敵わぬまでも抵抗しようと、ファイティングポーズの姿勢をとった


「何ですか、その格好?・・・しかし、良い男だねぇ
 私は、益々好きになったよ・・・・沖田さん」

「喧しい・・・・何が沖田さんだ!お前らに沖田さんと言われる筋合いはない」

「まぁまぁ・・・そんなにカッカしないで
 いいですかい、よーく聴いておくんなさい・・・大事なことです
 今から話すことを聴いてもなお、あなたがあの奥さんを連れ帰るというのなら・・
 いいでしょう・・・・結構です、そうしてください
 あっしらも、極道の端くれ・・・今度の事については、腹を括っているんでね」

「なに!!・・・嘘を付け・・・そんな事、信じられるか!!」


「沖田さん・・・本当にあなたは真っ直ぐな方だ
 信じる、信じないはあなたの勝手
 だけど、今度のあっしらの山はでかい・・・歳を考えると、最後の仕事だ
 その仕事の成否をあなたが握っている・・・
 あなたの協力なしではとてもやり遂げられない・・としたら・・・わかりますよね」

「お前らの悪事に・・・私の協力がいる!?・・そんなことできるものか」



老人がその部屋の中にあるモニターのスイッチを入れる
映し出されたのは、先ほどの和室
新しい浴衣を着せられた瑞希が、チンピラに肩を抱かれて入ってきた


「ほんとに・・・涎のでる良い女ですね・・・あの瑞希奥様は
 この道のプロの私も、あの体力だけの馬鹿チンピラも、手玉にとってしまう女」



沖田の視線が、老人からモニターに映る浴衣姿の瑞希に流れる
チンピラが瑞希の手足を床柱と鴨居に縄をとおして「大の字」形に縛っていく


「あなたの元上司・・・現在は副知事の新藤さんも、手を出すのは当然の成り行き・・」


(新藤さんに限ってそんなこと・・・・・)


「あの奥さんのお腹の赤ちゃん・・・いったい誰の種なんでしょうね?沖田さん」


(何を言うんだ・・ま、まさか・・・そんなこと・・・・伊藤さんは夫のある身だ)



モニター画面の中で、瑞希がチンピラに抵抗している
チンピラが瑞希を睨みつけて、下腹のあたりに手をあてて呟いている


「あの若造が脅してますよ・・・赤ちゃんがどうなってもいいのかと
 今、あの奥さんは赤ん坊のためなら、なんでもする・・・・健気な母?
 さて、どうだか・・なんせ、子の親父は夫ではなく、お金持ちで次の知事候補ですからねぇ」

「もういい!・・そんな話
 私は、伊藤さんにした罪の償いを果たしたいだけだ・・その罪のために私も酷い目に・・」


「あなたの罪?・・・その因果で起きたあなたの不幸?ですか
 それは・・・表面上はそう取れますが・・・・
 ふふふふ・・・ほれ・・・これを見てください・・・この写真の男と女」


老人が複数枚の写真を沖田に渡す


「あっしらは、世間では極道、ヤクザと言われ、真っ当にお天道様の下を歩けない
 あの奥さんを高い金を払って仕入れ、訓練し不法な商売をさせる
ところが、同じようなことをしながら気付きもしないで繰り返す表の馬鹿人間もいる
 その写真の男は、本能のままの性獣・性魔だなぁ・・・いい女と見ると必ず手をだしてしまう
 写真の女は、その被害者第1号・・・・・名は遼子さんだ」



写真を見る沖田の顔が青ざめていく・・・・


「その被害者第1号の女性は、今、新藤に囲われている・・・・そう、あんたの元フィアンセだよ」

「うぅぅぅ・・・」


「恐らく、あんたに紹介したのは・・・単純に、この女性と清算しようとしたんだろうが」

「嘘だ・・・・それはあんまりだ・・」


「そのあんまりをしたんですよ、新藤は!・・善人面をした悪魔ですよ新藤は!
 まだ、遼子さんには良心が残っていて、それで婚約破棄ってな顛末に・・」

「・・・・あぁぁぁ・・・・嘘だ・・嘘だ・・・・・」


「あっしらはね、『盗みはすれど、非道はせず』の精神できてましてね
 あくまで、経済取引ですよ、ビジネスをしているんです
 金儲けはしても、人を陥れたり、騙したりはしない・・恨みをかっちゃ面白くねぇ
 それに比べて、新藤って旦那のやってることはお金持ちの道楽で不道徳のばら撒きだ
 どうします・・・お金を払ってあの奥さんを連れ帰るか
 それとも、あっしらと組んであの新藤を懲らしめるか・・・」



沖田を見る老人の顔が緩んだ


「旦那・・瑞希奥さんの支度が整ったようですぜ
 今夜は、あの奥さんを新婦の遼子さんと思って初夜を思い存分、楽しんでくださいな
 あなたが納得のいく趣向を凝らしていますんで・・・・・・・・・・・・」

春が来た 75
道明 7/26(日) 17:14:07 No.20090726171407 削除
瑞希への縛めは両腕のみ
男の唇が女陰に接触しようとする、その瞬間
しなやかで艶のある白い太腿が、沖田の両の頬をサンドイッチにした

(はっ!?・・・息ができない)


沖田が我に返り、頭を上げた瞬間に・・・見事に暴れる女の膝が男の鼻にぶちあたる



「うわぁぁ・・・うぐぅ」

「何をするんでぃ!!この女」

沖田の顔は鼻血で染まり、唇が腫上がってくる
・・白い蒲団に鮮血が飛び散った



「お客さん・・申し訳ないことに・・その様子では続けるのは難しいかなぁ
 今日は、代金をお返ししますんで・・・なんとかご勘弁を
 その代りに、其処で
 この奥さんが次のお客さんに嬲られるところを見てってくださいな」

「いや・・・もう御免だ・・・引き揚げさせてもらうよ」

「そうですかい・・・残念だなぁ」



沖田が受けた強烈な痛みは、再びこの男の頭を冷静に戻していた


「それにしても、本当に良い肢体をしている奥さんだ・・・・」


瑞希の脚の爪先から視線を上げていく
しなやかな白い脚にも、赤い鮮血が模様を画く
その麓には黒い影・・・波打つ乳房は汗で光る
女と目が合った
女から、今の行為に対する侘びと縋るような願いが男に伝わる
それに応えるように、頷きながら誠実な視線を送り返す男


部屋を出て行く男の後姿が、瑞希には決死の覚悟で戦地に向かう兵士に見えた



「こりゃ、どうしたことか・・・・早いお帰りで」

老人が、和室から出てきた沖田に声をかける


「ああ・・・あまりにも良い女性だったんで少し油断してしまってね、この様だ
 はは、しかし、このままでは・・・もう一度会いたい、どうしたら会えるのかなぁ」


「・・・・蹴られてもなお、未練が残る・・そうなんですね・・旦那、あの肢体に」


「そうだ・・・頼む、お金ならいくらでも出す・・・もう一度だけ」


「さて、さて・・・あの奥さんは次のお客さんのために、今、身を清めている
 そして、今度は・・・お客さんに逆らえないように、足も縛り
 おまけに・・・お客の顔も見れないようにセッティングするんですよ」


「次のお客は顔を見られては困る人なんだ・・・・・・」


「ええ・・困ります・・やる事をやった後ならいいんですがね」


「ふーん、私には意味がわからないが・・・
 それより、頼むから別の日に、もう一度会わせてくれる手筈をしてくれないか」


「はぁ、はははは・・・ほんとに旦那はお人好しだ・・あんな女を助けようなんて!」


「今、な・・なんて言ったんだ・・・おい」


「旦那が助けねばならない価値のある女ですかねぇ・・・あの伊藤瑞希という奥さん
 もういい加減、目を覚ましたらどうなんだい!・・・・沖田、元課長さん」

春が来た 74
道明 7/24(金) 23:22:32 No.20090724232232 削除
チンピラに悟られぬように
慌てて、沖田は瑞希を抱きしめ首筋に唇を這わせる


「いや・・・十分楽しんでいるよ・・手伝いなんて必要ない」

「そうですかねぇ・・さっきから時間ばかり経って、何にもしていないんじゃ?」

「わ、私は前戯をゆっくりと楽しむ主義でね・・・・ほれ、このように
 そ、それにしても・・この女性の肌は綺麗なもち肌、乳房が手に吸い付いてくる」

沖田は瑞希の耳元で小さく御免と言うと、瑞希の乳房を揉み始めた


「あぁぁ・・嫌」

瑞希も沖田という救世主が現れたとはいえ、もともと生理的に合わなかった男
荒々しい乳房への愛撫に反射的に嫌悪を感じた


「いよぅ・・やっと一声でましたね・・・旦那、女の手は縛ってあるんで抵抗はできません
 あっしが上半身を受け持ちますから・・・旦那は下半身を・・へへ・・舐めてやってくださいよ」

「嫌、やめて・・・そんなの嫌・・・嫌」


もともと浴衣の下には下着などつけていない
沖田の無骨な手が、胸元から形の良い瑞希の乳房を搾り出す


「やめて・・・男が二人がかりで女を甚振るなんて・・・・そんなの嫌」

「おいおい、奥さん・・・お客さんの前で恥をかかせると、どうなるか分かってんだろうなぁ」

チンピラが瑞希の背後に回り、浴衣を腰の辺りまで力任せに剥ぎ取った
沖田はその勢いで瑞希から跳ね飛ばされ、蒲団の端に追いやられている


「何をするんだ!乱暴な・・・・私も二人っきりで楽しみたいんだよ、やめろ!」

「まあまあ、お客さん・・・この奥さん、少し我侭でね、直につけあがるんで
 こうやって、しばかないと・・・お客さんに怪我でもされては申し訳ないでしょう」



チンピラが瑞希を羽交い絞めにしている
浴衣が乱れ、白く艶やかな太腿が沖田の目に入ってくる


「堪んないでしょう・・・この白い太腿・・・そして、この絹草・・・
 どうです、お客さん・・・早く舐めてやってくださいよ、奥さんのここを」


チンピラの指が抵抗できない瑞希の太腿を割り、女の源泉を嬲る



「あぁぁぁ、嫌・・・・見ないで!」

「見ないでって?・・・奥さん、今からこのお客さんにたっぷりと女汁を吸ってもらうんだぜ
 ・・・ほら、早くお客さん・・・ここ、ここ・・・」


チンピラの指が瑞希の女陰を捏ね回した
極道が女を甚振る様を初めて見た沖田・・・・強烈だ、頭を怒衝かれている
得たいの知れない感情が沖田を襲ってくる


(舐めろよ・・そこを・・・・美味い女汁を吸い尽くすんだ)


瑞希の女陰に吸い寄せられるように、沖田が顔を近づけていく
香ばしい女の匂いが、沖田の理性を狂わせる
老人の手管で逝かされていた美女の姿がフラッシュバックする
もう少しだ・・・もう少しで、届く・・・・

染色 2
鵺 7/23(木) 22:43:44 No.20090723224344 削除

 妻との出会いは、当時から17年前にさかのぼる。現在までわたしが勤めつづけている会社で、彼女は一時期、事務の仕事をしていた。彼女は20歳で、わたしは24歳だった。
 真面目な仕事ぶりで人柄の評判も良く、箱入り娘がそのまま成長したような雰囲気が、年寄りの役員連中にも気に入られて、ゆくゆくはうちの息子の嫁に、という話もあったようだ。わたしも幾度かうわさを聞いて、その都度、胸が騒いだものだったが、駄目もとでデートに誘ったら、存外にすんなりと、彼女は首を縦に振った。

「あなたったら、若いのに、スーツもシャツもよれよれで、『ああ、この人きっと、まだ良い女(ひと)がいないんだわ』といつも思ってたわ」
 いつだったか、藍子が言ったことがある。
「そんな女っ気のなさそうな男の誘いに、よく付いてきたものだね」
「女っ気のある人より、ましでしょう」
 そうだろうか。

 とにもかくにも、わたしたちは付き合いはじめ、それから1年後には結婚することになった。それを機に藍子は仕事を辞め、わたしは幾人かの男の恨みを買う羽目になったが、ともかくもさらにその1年後に、息子の成を授かった。
 以来、わたしたちは平々凡々たる3人家族として、それでも、年老いたときに思い返すならば、きっと胸が詰まるのであろう時間を、共に過ごしてきたのだった。


 年の瀬が近づいてきた。
 同時に、成の高校受験も迫ってきたが、このところテストの点数は上昇カーブを描いているのだという。
「変われば変わるものねえ。やっぱり、いい先生がつくと違うのだわ。茅原くんに感謝しなくちゃ」
 テストで良い結果が出るたび、妻は大喜びでわたしに報告した。息子の成績もだが、われらが家庭教師の評価もうなぎのぼりらしい。
 もっともその家庭教師である茅原麻人とは、最初の日に顔を会わせたきり、わたしは姿を見ることがなかった。残業続きは相変わらずで、わたしの帰りは遅く、彼とは丸きり家にいる時間がかぶらないのだ。
「このままいけばN高校も合格圏内だって、担任の先生も仰ってたわ」
「あんまり無理をさせちゃいけないよ。学校なんて、身の丈に合ったところで十分さ」
 わたしが気のない返事を返すと、妻は不満そうな顔をした。
「なぜ今さらそんなことを言うの? N高受験だって、家庭教師を雇うのだって、ちゃんとあなたに相談して決めたことじゃない」
 相談と言うより、同意を求められただけのような気もしたが…。
 声には出さなかったわたしの内心を読み取ったのか、今度はちょっと拗ねたような目をして、藍子は神経質そうに両の掌をさすり合わせた。
「わたし、自分が家庭の事情で夢をあきらめなければならなかったから、あの子にはできるだけのことはしてあげたいの。親ばかと言われたっていい。将来、あの子にやりたいことが見つかったとき、選択肢の幅が広がるように」
「分かるよ、それは」
 わたしはそっと妻の肩を引き寄せた。

 成の部屋を覗いた。机に向かって勉強しているのかと思ったら、何か手つきがあやしい。どうやら携帯ゲーム機で遊んでいるようだ。
 と、成が振り返った。「あ、お父さん」と言って、ちょっとバツの悪そうな顔をする。
「いいんだ、気を遣わなくて」
「ちょっと気分転換してたんだ。お母さんには言わないでね」
 わたしはうなずいて、備え付けのベッドに腰掛けた。
「最近、成積が上がってるんだって?」
「茅原先生のおかげさ」
「教え方がうまいのかい」
「何でもうまいよ。料理もうまい」
「料理?」
「うん、趣味なんだって。いつも授業が終わった後は、一緒に御飯を食べるんだ。そのときにお母さんと料理の話で盛り上がっちゃって。『今度、作りますから』ってずっと言ってたんだけど、この前、本当に材料を持ってきて、授業が終わってから、20分くらいでちゃちゃっとパスタを作っちゃった。ボンゴレっていうのかな? すっごいおいしかった。お母さんも感激してた」
 名門M大生で、顔立ちもそこそこ良く、話し上手で、さらに料理までできるとは。私生活でもさぞ、もてるにちがいない。
「そうか、お父さんも今度食べてみたいな」
「うん」
 のんきな顔でうなずく成は、たしかにわたしによく似た顔をした息子だ。女っ気どころか、まだまだ少年そのものだ。
「成、何か夢はあるか?」
「なあに、いきなり」成はくすりとわらった。「ないよ、そんなの。まだ」
「そうか」
「そうだよ」
 通りがかった車のライトが、ほんの少しだけカーテンの隙間を光らせた。

春が来た 73 
道明 7/23(木) 18:45:03 No.20090723184503 削除
老人の手管で快楽に酔いしれる女
汗が流れ、顎は上がり、頸を振っていた女
その女は見事に化粧を施し、浴衣を着せられて畳の上に正座している
両の腕は後ろに回され、手首のところで縛られているようだ
女の前には蒲団が敷かれており、そこはまるで高級旅館の和室である
ぼんやりとした灯の中、陵辱を待つ女の姿が男の視界に入る
女は俯き・・・・目を閉じている

「師匠・・お客さんをご案内しました」

チンピラが老人に声をかける


「お客さん、どうぞお近くに・・・どうです、いい女でしょう
 私が手塩にかけて仕込んでいる奥さんでね・・・私ら以外の相手をするのは今夜が初めて
 運がいいですよ、お客さん」

沖田の視線は瑞希に釘付けだ


「お客さんのお好きなようにしていただいて結構ですが・・・・
 一つだけ注意してください・・・体位はお腹に負担のないように願います
 へへへへ・・・・赤ちゃんがいるんですよ・・・じゃ、お楽しみください」


老人たちが部屋から出て行くと
沖田は『ふー・・』と息を吐いた、そして改めて瑞希を見つめると小声で語りかける

「申し訳ないことをした、伊藤さん」

「えっ!?・・・あ、あなたは沖田課長」

この時、瑞希は出会う筈もない男の声とその姿に驚き、そして喜んだ


「酷い事をした・・・あなたの居場所を知りながら、報告せずに握りつぶした
 本当に、申し訳ない・・・・私は、命をかけて必ずあなたを助け出す!」

沖田は深々と頭を下げた
瑞希が慌てて、沖田ににじり寄る


「沖田さん、早く・・私と蒲団の中へ・・そして、私を抱いている振りをしてください
 あの人たちに疑われては、あなたの身も危ない・・・・」

「えっ、そうだった・・・ここはやつらのテリトリー、あぁぁ迂闊・・・」


風俗の遊びも知らない沖田だ
ぎこちない動作で瑞希を蒲団の中に誘い込む
職場の上司の秘書として、常に沖田に冷ややかな視線を送っていた瑞希
洒落た衣服で身を飾り、女のフェロモンを発してした女性
それ故に、ためにならぬ目狐として居場所の情報を握りつぶしたのだった

今、その瑞希と一つの蒲団の中で、浴衣のみで肌を合わせている
なんという運命か・・・その二人が俄か同志となっている
上布団を被り、抱き合っているように見せ掛け、互いの耳元で意志を伝えている

「伊藤さん・・・ここはいったい何処なんだい」

「私にもハッキリとは分からない・でもここに連れて来られる時に大きな橋を渡った気がする
 そして、船の汽笛・・そう恐らく淡路島・・そして海岸近くであるのは間違いない」

「それなら何とかなる・・・我が県内じゃないか」

「でも、あの人たちに立ち向かうには・・本部長の力が必要よ・・・
 ねぇ、あなたはここをうまく抜け出して、新藤本部長に知らせてください」

「わかった・・そうしよう・・・もう暫くの辛抱だ、伊藤さん」

「お願いします・・・沖田さん・・・あなたが頼りです・・お願いします」

瑞希は天敵であった沖田を信じ、心からの願いを伝える
沖田もまた、瑞希を救出することに全力を上げると何度も誓う


そんな二人をあざ笑うが如く
突然に、襖が開きチンピラが入ってくる

「旦那・・旦那・・・どんな按配でしょう?
 あっしが、お手伝いさせて頂きましょう・・・」

染色 1
鵺 7/22(水) 21:56:35 No.20090722215635 削除

 家庭教師を雇おうと言い出したのは、妻の藍子だった。
 それはわたしたちのひとり息子、成(なる)が、中学3年になったばかりの頃――。

「まだ早すぎるんじゃないの? たかが高校受験くらいで」
 わたしがそう言うと、藍子はきっとまなじりを吊り上げた。
「あなたは最近の受験がどれくらい厳しいか知らないのよ。今のうちから勉強しておかないと、この子の学力ではN高校はとても無理だわ」
 藍子は息子を私立の名門高校に入れるつもりだった。ひとつは先にひかえる大学受験のため、もうひとつは母親仲間がぴーちくぱーちくとうわさする「今どきの公立高校の風紀が、どれだけ乱れているか」という週刊誌めいた話に酷く影響されたためだった。


 少女時代の妻は、かなり優秀な生徒だったらしい(容易に想像はつく)。学問が好きで、もしもできるなら大学で語学の勉強をして、いずれは教職に就きたいと夢見ていたそうだ。実家が貧しい家だったため、その夢はかなわなかったが、それだけに息子に対しては、わたしから見るといささか過剰ではないかと思えるくらい教育熱心だった。こんなことを面かと向っていえば、「あなたはのんきすぎるのよ」と言われるに決まっているから、言わなかったが。
 残念ながら、成はそんなわたしの「のんき」な血を色濃くひいたらしい。少々ぼんやりしたところのある子で、学力も中の下というところだった。藍子にとってはそれが悩みの種になっていたようだ。


 そうして、その年の冬を迎える前には、わたしたちは家庭教師を雇った。
 紹介業者に依頼して、やってきたのは名門私立のM大学に通う、茅原麻人というまだ20歳になったばかりの青年だった。その年ごろにしては大人びた風貌と話し方をする若者で、ときおり見せる柔和な笑みも、妻の気に入ったようであった。

 最初に茅原が来た夜は、わたしの帰宅を待って4人で食卓についた。
「大学では何を専攻されているの? たしか学部は文学部だったと思うけれど」
「中世以前の日本文学ですね。いまは平家物語と源平盛衰記が中心テーマです。語り物として成立していった文学と、読み物として成立した文学を比較しつつ、物語の発生から派生に至るまでの差異を研究しています」
 私には、何が何やらさっぱりという感じだったが、もともと文学少女の妻には興味をそそる話題だったらしく、その後もあれこれ質問していた。茅原は如才なく受け答えをし、また私に対しても、仕事に関する質問などして、「就職活動の参考にします」と白い歯を見せた。
 ともあれ、以来、茅原は週に1回、木曜日の夕方5時から7時まで、成の勉強を見ることになった。


 当時は不景気で、わたしの勤め先である中堅の広告会社も、経営が苦しくなってきたころだった。わたしはそれまで在籍していた企画開発部から畑違いの営業部に異動となったばかりで、それも初めて次長に抜擢されたものだから、ほとんど連夜、残業漬けの日々を強いられていた。
「からだ、壊さないでね。あなたに倒れられたらわたし、どうしていいかわからないわ」
 付き合いの酒席で深夜を回った時刻に帰宅しても、藍子はかならず起きて待っていて、ちょっと怒ったような顔で、わたしのネクタイを緩めながらそうつぶやいたものだ。
「適度にさぼっているから大丈夫さ」わたしは肩をすくめた。「何事も真剣にやれないのが僕の欠点でもあり、長所でもある」
「やれないんじゃなくて、やらないんでしょ。わたしは嫌いじゃないわ。あなたのそういう茫洋としたところ」
「うれしいことを言ってくれるね」
「でも、成にはそうなってほしくない」
「なんだ、そりゃ」
 苦笑いして、ソファにゆったりと身体を横たえた。藍子も「冗談よ」とわらったが、半分くらいは本気の発言だったにちがいない。
 妻とわたしとは、まるで性格がちがっていた。片方は生真面目の几帳面、もう片方はだらしない。それでも案外うまくいっていたのだと思う。
 まだ、そのころは。

「そういえば例の家庭教師くんはどうだね。成とはうまくやっているのかい」
 Yシャツにアイロンをかけながら、藍子はうなずいた。
「それはもう。麻人くんって、すごく頭がいいのに、全然気どりがないのよ。成に対しても、年上の気安いお兄さんって感じで接してくれているみたい。勉強だけじゃなく、趣味の話とかテレビの話とか――」
「女の子の話とか」
「すぐにそうやって、下品な方向に話を持っていくのね」
 そう言って、藍子はわたしをにらみつけたが、これくらいで「下品」と言われたら、たまらない。
「とにかく、うまくいってるんだ。成は人見知りがあるから、すこし心配してたが。成積のほうはどうなんだい?」
「まだ気が早いわ。でも、期末テストが楽しみね」
 気が早い、と言いながら、妻はわたし以上に期待に満ちた顔をしていた。

春が来た 72
道明 7/22(水) 00:01:13 No.20090722000113 削除
県庁の一日が終わる
日中、テキパキと精力的に仕事を捌いた男の動きが止まる

「副知事・・・お茶をお入れしましょうか」

「うん・・・」

美樹はあの日以来、仕事のこと以外は新藤とは話をしていない
瑞希の安否が気になるものの、自分からは聞けないでいた


「どうぞ・・・」

「うん・・・」

新藤は無気力にお茶をすする

(思っていたとおり・・・この娘は活きの良いお嬢さんだった・・あの感触・・)

もうすぐ衆議院選挙だ
その結果次第では、国と地方の大変革が起きるというご時世に
新藤自身は来春の知事選の有力候補で大本命である

事態は深刻な状況であるにもかかわらず、この男はこんな事を考えている
それが、この男の持って生まれた性格である
この男は済んでしまったことをまったく気にしない、考えるのはこれから先のこと
将来の求めるべき姿を画き全力を尽くす
この男はそれに徹している・・・・問題は、その姿を画けるかである


(ははは・・どうも私は自分の人生の目標を他人から押し付けられているようだ
 人が好き・・地域が好きで、公務員になっただけなのに
 ああぁ・・元気がでない・・・やる気がでない・・・必要だ、エネルギーの充填が)


空ろな視線の先には、飛びきり元気な若い秘書
自然と新藤の手が美樹の肩に伸びていく・・・・・

「美樹ちゃん・・・この前はご免ね・・いろんなことが重なっててどうかしていた
 お詫びに・・食事でもどうかなぁ」

「!?・・・・・・・」

「彼氏とは上手くいってる?・・・どうだろ・・会計は私が持つから、若い人が行くところがいいなぁ・・・」


「まぁ・・・呑気なお話しで・・・それより、あの深刻な問題はどうされたのですか?
 世間知らずの私にしがみついて、助けて欲しいと言われていた・・・あの件は?」

美樹が呆れ顔で新藤を見つめている


「あー・・興味あるんだ、大人の世界の話・・・うんうん、いいよ・・その話もしよう
 兎に角、職場では堅苦しくなるし・・さぁさぁ、ね・・美樹ちゃん、出発、出発」

「わかりました・・・じゃ、私の行きたいところでよろしければ」

「そう・・そうこなくっちゃ・・・ははは、で・・どちらがご希望でしょうか?」

「はい・・・・では、遼子さんのいらっしゃるところへお願いします」

「あん!?」

美樹の肩に置かれていたセクハラ男の手が固まっている



春が来た 71
道明 7/21(火) 00:06:48 No.20090721000648 削除
冬の訪れを待つ晩秋の京都
既に紅葉のシーズンは過ぎ、この古寺を訪れる人は疎らだった
そこに、芝田美樹がバドミントンペアの彼氏といる

「美樹・・もうシーズンオフのようだね」

「ごめんね・・・いろいろ忙しくて・・」

二人は茶店の赤い布で覆われた縁席に腰を降ろして、甘酒を楽しんでいた



「美樹・・僕たちも、ずっと先になっても・・
 あのお二人のようになれたらいいなぁ・・・・ほら、あの・・古木の先にいる」

美樹の視線の先に高齢の老人と寄り添う婦人
長い人生を生き抜き、いずれ訪れる人生の終焉・・その最後の時間を楽しむ二人
美樹が彼氏の手をそっと握り締める


「あのお二人・・・年齢は離れているが・・ほんとに感じがいい」

「ご夫婦かしら・・・夫婦であんな風になれるのかしら」

「うーん・・・夫婦でないかもしれない・・・いや、ご夫婦であって欲しいなぁ
 恋愛は夢の世界、不倫や浮気はリゾート・・しかし、夫婦、家庭は現実でアパートか?
 結婚しない人が沢山いる、熟年離婚も増えている・・・・・・・
 でも、美樹・・・僕たちはそれを乗り越えられるだろう?
 そして、あのご夫婦のように晩年の人生を安らかに楽しみたい」

「そうね・・・そうならなくっちゃね」

再び、美樹が彼氏の手を握り締める



「最近の美樹・・・少し変わったような気がするんだけど」

「そう?どんな風に・・・」

「うーん・・・僕たち学生時代からの長い付き合いだろう
 だから分かるんだ・・・一緒にいても何か別の事を考えているような
 こんなことは今までになかった・・・悩み事があるなら話してくれないか」

「ごめん・・そんな風に見えてる?・・自分では普通よ
 ただ、今の副知事の秘書の仕事に疲れているのかな?
 ほんとに・・困った人なんだから
 大人なのか子どもなのか・・・誠実なのかそうでないのか」

「うん?なんかあるんだ」

「大変な時期に・・・歳を忘れて・・・夢中になって・・・・ほんとに・・・」

「ひょっとして・・・女性かい?」

「・・・・それは、あなたにも言えない」

「やっぱりそんなところか・・・・美樹は『スマッシュ』一筋だからなぁ
 スポーツばかりしていて、僕も男と女のことはあまり分からないが
 夫だから、妻だから不道徳なことをしてはならないとなってはいても
 『恋は盲目』・・年齢など関係なく、互いに心や、肢体が惹き合うことも・・?!
 ・・・・美樹!・・・ひょっとして気になる人でも、できたのかな?」

「そんな人・・・いないわよ!」


美樹の頭の中で、『助けてくれ』と言ってしがみついてきた新藤の顔が浮かぶ
視線の先の老人の後姿が新藤の背に見え、寄り添う女性が遼子と重なる

(奥さんや遼子さんがいながら・・・私にもキスしようとするなんて・・もう、なんて人なの)

パーティー27
ミチル 7/20(月) 09:44:24 No.20090720094424 削除
「あれぇ、どないしたん加奈さん。顔赤いよ」
 相楽が首を傾げ、下から加奈の顔を覗き込んでいる。
「やあん・・・」加奈が慌てて相楽の顔を両手で覆い隠す。

「加奈さん、ウソ言ってるぅ」
 佳澄さんがそう声をあげ、またもや悪魔的な笑顔を見せる。
 もはや、これまでの佳澄さんに対するイメージは完全に崩壊した。今はただ、妻を私から強引に奪い去る魔女にしか見えなかった。

「なになに、どういうこと?」藤木が佳澄さんの顔を覗き込む。
「あのね・・・」佳澄さんが藤木に舐めるような耳打ちをする。
「ちょっともお、ほんと余計なこと言わなくていいったらあ!」
 加奈が一層強い調子で言った。声に余裕がなくなっている。
 
 ほんとうに厭な展開になってきた。どうやら女同士でのみ共有している加奈の秘密が藤木に告げられているらしい。 どんな秘密なのか。恐ろしい予感がする。気がつけば私は、マウスを握り締め、画面の停止ボタンにポインタを合わせようとしていた。まるで躰の防衛本能がこの倒錯した思いに反旗を翻し、無理矢理に私を制御しようとしているかのようだ。
 
「へえ〜加奈さんがねぇ。こりゃ驚いた!」
「おおい、オレにも聞かせろぉ!」
「こらあ、もう、子供は膝の上で寝てなさい!」加奈が両手で相楽の頭を押さえつける、
「まてまて、あとでゆっくり聞かせてやる」

「加奈さん」
 これまでとは明らかに異なるトーンで藤木が妻の名を呼んだ。

「な、なに・・・」加奈の声が震えている。

「イッたこと・・・、ある?」

 そう言った瞬間、藤木の表情が豹変した。これまでの柔和な表情が消え、女落としのプロとしての淫蕩な表情に切り替わったのだ。ついに彼らの”仕事”が始まるのか−−−。

「なによ突然・・・」
「イクだよ、イク。絶頂、エクスタシー、オーガズム、アクメ」
「そんないっぱい言ってくれなくてもわかるって・・・。ある・・かな・・・」
 加奈が複雑な表情を見せている。
 藤木の表情の変化に何かが近づいていることを痛いくらいに感じているはずだ。このままズルズルと流されてしまうことに対する不安と恐怖。こわい!逃げ出したい・・・。でも・・・。
 これまで見たこともない夢の世界へ足を踏み入れることへの期待、胸の高鳴り。性能のいいカメラは、加奈のそんな微妙な心のあやまでをも描き出していた。
 夢先案内人である藤木に手を引かれ、妻が淫夢の世界へと導かれていく。私がいくら手を伸ばし、どんなに叫んでみても、振り向きもせずに・・・。

「それって中イキ?」
「中イキ?なにそれ?」
「クリトリスでいく、クリイキじゃなくて、おちんちんの出し入れだけでいっちゃうってこと」
「ああ、それは・・・ないかも・・・」
 加奈がまたひとつ、夫婦の秘密を白状する。加奈のいうとおりだった。ペニスの出し入れだけでイカせたことはない。

『イキたいの・・・』『うん』
 その言葉を合図に私達はいつも、わずかに躰を離した形で正常位になり、抽送を続けたまま、私が加奈のクリトリスを指で愛撫する。こうすると、ものの2、3分で加奈は絶頂を迎える。

『一度おちんちんだけでイってみたい・・・』

 そう加奈にねだられたのはいつ頃だったろうか。しかし以来私達夫婦は一度もそれに成功していない。
 私はいわゆる皮かむり、仮性包茎で、世間の男の平均がどれくらいかはわからないが、かなり早漏の方だと思っている。妻がおちんちんだけでイケないのは、出し入れの時間が短いことが原因なのではと、早漏に効く、つまりは射精遅延効果のあるサプリメントを服用したことがあった。これが意外によく効いて、かなりの時間持続はするようにはなったのだが、やはり、ペニスの出し入れだけで妻を絶頂に導くことはできなかった。


「それだよ。セックスにハマるかハマらないかは、そこなんだ。残念ながら加奈さんは未だに本当のセックスの楽しみを知らないことになる」
「本当のセックスの楽しみ?」
「そう。女の成熟ってね、ヴァギナ感覚に目覚めていくことなんだよ」
「ヴァギナ感覚?」
 まるで少女のようなまなざしで加奈が藤木の言葉に耳を傾け、彼が発する聞きなれない言葉をひとつひとつ復唱する。

「要するに膣で感じるかってこと。クリはおちんちんみたいなものだからね。これって男を知らなくても勝手に発達するものなんだよ。それに対してヴァギナ感覚は、男によって開発されるものなんだ。男の介添えがない限り目覚めることはない。最初は刺激の強いクリ感覚がヴァギナ感覚に勝るんだけど、いつしかこれが逆転する。クリトリスの刺激なんて、目じゃなくなる。でも、それが人類にとって大きな意味を持つんだ」
「人類?」
「うん。ヴァギナ感覚がクリ感覚に勝るからこそ、男と女は延々と生殖という行為をしてきたんだ。これが逆だったら、女は男を必要としなくなって、人類は絶えてしまう。だからヴァギナ感覚は圧倒的にクリ感覚に勝らなければならない」
「へぇ・・・」
「以上、渡辺○一大先生の受け売りでしたあ。要するにセックスで大事なのはいかにヴァギナで感じれるかってこと。感じて感じて感じて感じて、そこで、そこだけで絶頂を得られるかってこと。だから、中イキの味を知らないというのは、本当のセックスの楽しみを知らないということになる。加奈さん、膣で感じる?」
 藤木が真剣な眼差しを加奈に向けた。
 この男にこの表情で見つめられたら、加奈のようなうぶな女は、ひとたまりもない。まるで催眠術にかけられたかのように藤木の思い通りに反応してしまう。

「感じるわ・・・」

 このまま藤木のペースに乗せられたら、行き着く先は一つである。しかし加奈に話を切り替える余裕はなかったし、場の雰囲気はもはやそれを許さなかった。

春が来た 70
道明 7/17(金) 00:20:23 No.20090717002023 削除
沖田がチンピラの後をついて行く・・・

(何という偶然か・・・いや偶然であるはずがない!
 天が私にチャンスをくれたのだ・・・・罪を償い、立ち直る機会を!
 何としても助け出す・・・それが今の私の為すべき全て)

沖田はふざけた歩き方をするチンピラの背を睨みつける



「旦那・・・ここからはタクシーに乗ってもらいます・・・それと
 アイマスクをしてもらいますよ・・・場所はまだお教えできないんで・・」

「おい・・あんた
 それじゃ、出会い頭の一限さんじゃないか・・・いい女なんだろう?
 いい女だったら一度きりなんておかしくはないか!」

「まぁ、まぁ、旦那・・・そんなに熱くならないで
 さっきも言ったように、ちょっと訳ありでね・・・・お願いしますよ」



チンピラに従った沖田
今、沖田はアイマスクを付けられたまま椅子に座らされている
その沖田の耳に女の声が入ってくる

「あっああ・・あーん」

沖田の全身が固まる


「始ってますぜ・・旦那・・それじゃ・・よーく視ておくなさい」


アイマスクを外した沖田の視界に飛び込む映像
マジックミラー越しに、美女とその肢体にしゃぶりつく老人の姿
女は、先に見せられた写真と同じように、両手を縛られ天井から吊るされていた
その女が突き出す乳房
その乳房を口でほう張り、先端を舌で転がす老人
沖田の喉がなる
目が突き刺すように白く輝き揺れる女体を見つめている


「どうです?・・・・旦那・・・いい女でしょう・・・ぐっと来ますよね」

チンピラがへらへらと沖田の横顔を眺めている


「あの奥さん・・・・身篭っているんですよ・・あのお腹の中にね」

(なに!妊娠している・・・・・)

「その赤ちゃんの父親がね・・・酷い男でね・・・かわいそうに、あの奥さん」

(こいつら・・伊藤さんのご主人のことを調べているのか!)

「いろいろとお知らせしているのに、全くしらん顔
 可哀そうな奥さん・・・・そんなことも知らずに
 視てて判りますよ・・母性本能でしょうね・・お腹の赤ちゃんを気にして
 逝きたくても逝けなくて・・・・女になったり母になったりで」

「お前ら・・・それでも人間か!」

「へへへ・・・あっしらは、それで食べているんですから
 世の中にはそんな女を求める男が沢山いましてね・・・・・
 旦那、見てくださいよ・・あの奥さんの顔・・・ほら・・切ないよね
 爺さんの指が・・・ほらほら・・・奥さんのあそこを・・・」

「おい・・・もう止めろ
 私にやらせろ・・・・お金なら払う・・・いくらだ・・おい!!!」


チンピラがニヤニヤしながら沖田の顔を見る
そして、両手を広げた・・・・そう十万だと

春が来た 69
道明 7/14(火) 23:31:16 No.20090714233116 削除
時刻は午前零時を指した
地方議員選挙で与党大敗のニュースが流れている
地方選挙とはいえ首都におけるこの結果は、一時代の終焉を告げ、我が国の政治・経済・社会の大転換のうねりの序章だろうか?
それとも、無責任な連中による混沌社会の第2幕か?
いずれにしても、既存の制度や価値観の破壊が始ったと言える
大衆の意志は明らかに、我慢の限界を示していた



酔いで空ろな目をした中年の男が、居酒屋のカウンターを立った
その男を追って同じ居酒屋を出る若いチンピラがいた

「・・旦那・・・遊びませんか?・・旦那・・本当にいい女なんですぜ・・旦那」

中年の男は声の方に振り返る


「歳は30を過ぎていますが・・・・女盛りのいい女・・・ほれ、この写真」

均整のとれた女のヌード写真
バストは大きくはないが、形良く突き出ている
脚は長く、女の下腹部には多めの漆黒の繊毛が光る
両手を縛られ吊るされているようだ
酔った目が写真の女の顔に焦点をあてる

(伊藤さん?!・・・この女性、伊藤瑞希にそっくりだ)


「こ、こ、この女性・・・・」

「ええ・・まだ、この奥さんは一度もお客は取っていないんで・・・
旦那がお初になりますが、お気に入られましたっすか・・・いい女でしょう」

「どこにいるんだ!・・・この女性は」

「まぁまぁ・・旦那、夜はこれからですぜ・・・そう慌てずに」


伊藤瑞希がいた!間違いない!
渡された写真に目が張り付いている


「旦那・・・相当、気に入りましたね
 この奥さん・・訳ありでね・・・・無茶はできないんで
 その・・・逝くところをね・・・うーん・・鑑賞するってことなんですが・・」

「そんなことはどうでもいい・・・早く連れて行け・・この女性のところに」

「まぁ・・その・・うーん・・お触り程度なら何とかなんですが」

「何を言っているんだ・・・早く連れて行けと言ってるだろうが!」

「へへへ・・判りました・・・じゃ・・前金で五つ頂きましょうか」


中年の男は沖田元課長
チンピラは瑞希に逝かされたあの若造

その沖田がチンピラの後をついて行く・・・・・・・・

パーティー26
ミチル 7/14(火) 00:57:12 No.20090714005712 削除
2006年の3月から7月にかけて、掲題の作品を投稿しておりました、ミチルと申します。覚えていらっしゃいますでしょうか。ご無沙汰をしております。
長い間仕事に追われておりまして、とても小説を書くなどという時間がありませんでしたが、三年越しのプロジェクトがようやく終了し、なんとか時間を作れるようになりました。それと、現在進行中の古川さとし様の「生けられた妻」、道明様の「春が来た」があまりにもすばらしく、生来の寝取られ癖、大いにくすぐられ、私の下半身がなんとか続きを書きたいと申しますもので、こうして再びお邪魔させていただこうと思いました次第です。
なにを今更と呆れる方もいらっしゃるかと存じます。またこの三年の間に投稿のレベルは格段に上がり、私などの出る幕ではなくなってしまったことは重々承知しているのですが、以前投稿していた折の皆様の温かい声援、忘れがたく、こうして無謀にも再開してしまいました。
古川様や、道明様の投稿スピード、作品レベルとは比べるべくもありませんが、私なりに頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。
それでは以下「パーティー」本編です。



 再開あけの映像は、それまでとはあきらかに異なる、なんとも淫らな色に染まっていた。
 藤木がリビングの壁にもたれながら足を大きく広げて座り、その間に佳澄さんがいて、とろけた表情で藤木の胸にしな垂れている。ウエストには藤木の両腕が巻きつき、その上に佳澄さんの手が優しく添えられていた。
 二人の表情がこれまでとは全く別なものになっている。淫欲の潤滑油が全身に行き渡り、いつねっとりとした絡みが始まってもおかしくない、そんな妖しい風情なのだ。

「加奈さん、ちょっと手貸して」相楽の声がした。
「もう、なにすんのぉ」
 鼻にかかった甘えた声が聞こえてくる。

 加奈の声だ――――。

 この声がしだいにもっと湿り気をおび、いつしか烈しい喘ぎに変わる。最後には”お願いもっとぉ”と泣き喚くことになる。
”お願い抱きしめて・・・。もっと強く・・・。離さないって言ってほしい・・・”
 同じ声で・・・。私の胸の中で泣きながら囁いたその声で・・・。

 画面が引きの絵になり、二人が姿を現した。
 加奈が横座りの形になっている。シニヨンの髪は解かれていた。傍らで相楽が躰を横にしている。

「おい・・・」思わず声をあげた。
 
 男の頭が加奈の膝の上にのっている―――――。

さっきまでは相楽の接触には露骨に嫌悪の態度を示していた加奈が、なんとその相楽にひざまくらを許しているのだ。
 「最高の癒しや」眼を閉じ、相楽が呟いた。
 それだけではない。相楽が加奈の手をとり、タンクトップの首元から自分の胸を触らせているではないか。
「こうやって胸触られると落ち着くねん」
「もう甘えん坊なんだから」
 加奈はまるで嫌がる様子をみせていない。それどころか、
「わあすっごい、胸かっちかっち!。なんかスポーツやってるの?」
 とやたらとあちこち撫でまわしている。

 『さあ、三人とも今日は耳の大掃除よ。順番におかあさんの膝の上にいらっしゃい』
 加奈の膝は私達家族の癒しの枕だ。今そこに、見ず知らずの若い男の頭がのせられていて、まるで恋人同士のような振る舞いをみせている。嫉妬が呼吸を荒くする。さっきの射精で萎れた性器が、早くもムクムクと反応を始めている。

「相楽くんの胸、すべすべしてて、とても気持ちいい」
「藤木くんのもそう。ダンナとは皮膚の感触がまるで違うのよねえ」
「皮膚の感触?、なんだいそれ」
「いい男はね、みんな肌がすべすべしているの。上質の脂でしっとりとコーティングされている感じ。これは年齢の問題じゃない」佳澄さんが言う。
「ほんまそれ」
「ほんとよ、肌がよくないとセックスもよくない」
「藤木のはそんなにいい?」
「最高よ。胸を重ね合わせただけでウットリしちゃう。この人に抱かれてるとね、なんだか真っ青な海でイルカと戯れてるみたいな気分になる。それに比べてらウチひとはくたびれたトド」

 普段の佳澄さんからは想像もつかない言葉である。若い男の胸に包まれながら、淫らな表情でこんな言葉を吐く妻を、佐久間氏はなおもやさしい思いで見つめることができるのだろうか。いくらなんでも佳澄さんがここまでのめり込んでしまうとは、さすがの佐久間氏も計算外だったのではあるまいか。
 もしや加奈の口からこんな言葉が吐き出されたら・・・。

「でも、ダンナさんともちゃんとやってるんやろ」
「もちろん。週に3回はお勤め果たしてるわ」
「へえ〜」
「眠る前の体操みたいなものだから。うちのひととのセックスはもっぱら美容と健康のため。それと日頃の感謝のしるし」
 会話の間、加奈の手はずっと相楽に握られたままだ。さっきまでのように引き気味の態度は見せていない。
 こうしてこのまま加奈の躰は、この関西弁の軽薄な男に奪われてしまうのだろうか・・・。ひょっとしたらさっきの涙はこの男が原因で・・・? まさかこんな男に・・・!? 考えただけで、口惜しさに身震いがする。

「加奈さんのところはどうなん?」その相楽が膝の上で首を反らして加奈を見上げ、言った。

ドキリ・・・。相楽がセックスの話題をわれわれ夫婦に切り替える。なにやらイヤな展開になりそうな気がした。バクバクと心臓が鳴る。

「どうって?」加奈がとぼけた答えをした。
「エッチや、エッチ。どれくらいのペース?週に3回、4回、それとも毎日?」
「やん、毎日だなんて、とんでもない」
「じゃ、週に1回、2回?」
「ないんだって」と佳澄さんの声。
「え?ないって、どういうこと?」
「ねえ、加奈さん」
「うん・・・、みつきに1回くらい・・・」と加奈が消え入りそうな声を出す。
「みつきに一回!?」と、相楽が頓狂な声をあげた。
「そんな大げさに驚かなくてもいいじゃない・・・」
「ほんでも、みつきに一回って!」
「だって子供が二人もいるのよ。そんなものよ」
「だめだめ。男と女の仲はセックスがなくなっちゃったらお終いだよ。もっと頑張んなくっちゃ」
「そうだけど・・・」
「どっちの問題なん?ご主人、加奈さん」
「う〜ん、どっちかっていうと私・・・かな」
「なんで、ダンナさんのセックスは不満?」
「別にそんなことはないんだけど・・・」

” ないんだけど・・・“ 加奈のなにやら余韻を残すものいいが私を不安にさせる。ああ、誰か早く話題を変えてくれないものか。こんな連中に自分たちの夫婦生活のことをあれこれ言われたくない!”
しかし案の定、いやな予感は的中する。次の一言が私をまた一歩奈落の底へ引きずり込む。

「つまないんだって」
と佳澄さんがいたずらっぽい笑顔を見せた。悪魔の笑顔だ。

「えっ、そうなの?」
「この頃いっつも私に愚痴ってるんだよ加奈さん。あんまり退屈なんであくびが出そうになるんだだって」
「ちょ、ちょっともう!、余計なこと言わなくてもいいのぉ!」
加奈が慌てた様子で、右手を伸ばし、手のひらを左右に振る。
「だっていつも言ってるじゃない」
「やん、もういいって!」
「こんな可愛い奥さんといっしょに暮らしてて、みつきもお預けやなんてダンナさん可愛そ」
 と相楽は寝返りを打ち、うつぶせの状態になった。頬を加奈の膝の上に乗せ、両手をウエストにまわす。
「やあん、もう」
“やめろ!こいつ!”殴りかかりたい衝動が、胸底から湧き上がってくる。

 恐れていた展開になってしまった・・・。
”セックスがつまらない・・・”、”あんまり退屈なんであくびが出そうになる・・・” 
 衝撃の言葉であった。

 本心なのか・・・。加奈も、余計なことは言わなくてもいい、とは言ったが、否定はしなかった。

 確かに回数は少ないが、それゆえ、みつきに一度の交わりはそれなりに充実したものになっているという思いがあった。それは加奈も同じだと思っていた。交わりの最中、加奈の顔を両手で包みこみ「愛してる、愛してる」と囁くと、「私もよ。大好き。愛してる」と応えてくれる。何度も言ってくれる。
「もう良すぎて死にそう」、「おかしくなっちゃう」そんな情熱的な言葉を何度も何度も囁いてくれる。
 終わったら、ぐったりと加奈はしばらく起き上がれない。ときには鼻の頭に珠の汗を浮かべ、ぜいぜいとした喘ぎがしばらくは収まらないこともある。次の朝、玄関先で「昨日はよかったね」と耳元で囁いて私を送り出してくれるときもある。そんな昔のことではない。いや、この前もそうだった。

 それが、あんまり退屈なんであくびが出そうになるだと・・・!?
 あれもこれも、みんな演技だったといいのか・・・!?。

 それは違う!絶対に違う!遊んでいる友人の手前、調子を合わせているだけなんだ!

「ところで、加奈さんはどうなの?」
「なにが?」
「みつきの間、どうしてるの?」藤木の眼がキラリと輝いた。
「私?、どうって・・・、別になんにもないわよ・・・。さっきも言ったじゃない」
「一人エッチとかもないの?」
「ええっ?、ないよそんな・・・」

「ほんとかなあ〜」
 佳澄さんが、にんまりと意味ありげな笑みを浮かべている。
「な、なによ・・・」
 加奈がなにやら狼狽した様子を見せながら、床においてあったグラスを口にした。
 しきりに髪をかきあげている。動揺しているときに見せる仕草だ。瞳がくるくると忙しく動き回わり、ときおりちらちらと佳澄さんの顔をうかがっていた。
新たな恐怖が近づいている。

春が来た 68
道明 7/12(日) 13:52:33 No.20090712135233 削除
 新藤は若い美樹の胸に顔を埋めている
 やんちゃな小僧が、駄々を捏ねるように頸を振る


 「さあ元気を出して・・・あなたは強い男よ
  何といっても、この県の筆頭副知事・・・あなたにできないことはないはずよ」

 「・・・しかし、相手はヤクザ・・」

 「ヤクザがなんなのよ・・あなたには警察も動かせる力がある」

 「警察の力?・・・・しかし、警察がこんな私の味方になってくれるもんか!
  はやり駄目だ・・・・もうおしまいだ・・・」


 新藤の腕が美樹の柔らかな腰に回る
 顔を上げ、美樹の首筋に口を添える


 「落ち着いて!どうしたの・・・副知事!
  冷静で沈着、そしてカミソリの知恵は何処へいったの・・・・・」


 美樹は気が付いていない・・・
 今、色魔が蘇りつつあるのを
 新藤の手が美樹の尻肉の感触を味わい
 目が輝き、活きの良い若い獲物の匂いを嗅いでいることを
 美樹の耳元で、色魔が囁く

 「助けてくれ・・・美樹・・・・助けて」

 「大丈夫よ・・・絶対に・・・何とかなるわ・・・絶対」


 美樹は今でも、学生時代からの彼氏と組んで混合ダブルスのバドミントン選手だ
 足腰の筋肉は引き締まり、贅肉などは一切ない見事な肢体
 オフェンスとデフェンスの息の合ったコンビネーションで相手を圧倒し
 強烈なスマッシュを相手陣地に叩き込む
 美樹は不屈の精神力をもった女性である
 
 新藤は、駄目だ、助けてくれ・・と呟くと同時に
 美樹の肢体に手を回して、その感触を確めている
 それに、美樹は気付かない、いや・・・気付けない
 この女性はまだ男とそんな経験がない


「美樹・・・助けてくれるんだね?・・こんな私を」

「ええ・・・このままでは、表が裏に負けてしまう」

「有難う・・・美樹くん」

 新藤は体勢を変え、獲物を逃がさぬようにしっかりと女の腰を引き寄せる
 そして縋るような目で女の顔を仰ぎ、唇を求めていく・・・
 美樹の目が丸くなった瞬間・・・新藤の頬に強烈なスマッシュが叩き込まれた


「なにを考えているの!こんな時に・・・このお馬鹿さん!」

春が来た 67
道明 7/11(土) 17:43:41 No.20090711174341 削除
(気付かれていた!?
 あの夜、副知事と遼子さんの情事を私が覗いていたこと・・・)


「・・・・忘れ物のバッグを取りに返った時、偶然にお二人の関係を・・」

「やはりそうだったんだ・・・翌日からの君の態度が変わったからね
 ・・・私は人でなしの最低の男だ
 誠実な部下を出汁にして、自分の出世のために女性関係を清算しようとしたと思っているだろう?
 でも、私は本当にお似合いだと思ったんだ
 結果的に、沖田君が大変不幸なことになってしまった
 それだけじゃない・・・・瑞希君も・・
 これを見てくれ、ヤクザな連中が私を脅して来た
 ・・・もう、私はおしまいだ・・・天罰だよ」


 新藤が分厚い封書を、机の引き出しから取り出した


 あの新藤が頭を抱えたまま動かない
 美樹はまず、沖田からの手紙を読み
 続いて、新藤を脅しているという封書に目を通した

 その封書の中には
 スレンダーな美女のヌード写真・・・両手をお腹にあてている
 それと、一枚に綴られた手紙があった

  『あなたの不倫相手を大切に預かっている』
   女性の名は、伊藤瑞希・・・・妊娠四ヵ月
   お腹の子の父親は新藤進・・・・あなただ!


 若い美樹はパニックになる
 素敵な大人の男・・・一度はそのように憧れもした新藤
 それが遼子ばかりでなく、前任秘書の瑞希と肉体関係を持ち、その瑞希が妊娠している?!
 憤りで頭の中が煮えくり返る
 新藤は頭を抱えたまま、先ほどから動かない
 更に文章の先を読んでいく・・・

 『あなたは、来春の知事選の準備で大変お忙しいでしょうから
  あなたに代わって、子を身ごもっている瑞希さんの世話をさせていただく
  でも心配はご無用に・・・都度、記録写真はお送りします
  あなたは、私たちの利益のためにも
  是非とも、来春の知事選には勝利していただきたい』

悪の組織が知り得た情報を、脅す相手に第一報を送ったという内容だ


「副知事・・・副知事!事実なんですか?・・・・この内容」

「・・・・・・判らないよ・・・赤ちゃんだなんて・・」

「もうなんて人なの!・人妻であった瑞希さんとも、関係を持ったのですね」

「彼女が・・彼女の方から私を・・・」



 美樹の怒りの目が、副知事の新藤を射る


「不潔!不潔よ!なんて不潔!・・・沖田さんや、瑞希さんのご主人に謝りなさいよ」

「本当に、すまないことをして、申し訳なく・・・」

「なに、私に謝っても!・・・どうにも」

「ああ・・・わかっている、でも今は誰かに謝り、心から叱って欲しいんだ」

「馬鹿ね・・本当に馬鹿・・・でも、こんな脅しに屈するわけには・・・」

「・・・・でも、駄目だ・・もう、駄目だ・・・私を助けてくれる人なんかいない」


 向かうところ敵なし、明朗で頭が切れ、精悍な男・・・
 この県のホープ、希望の星との評判を得ていた新藤が、若い秘書から叱られている
 

「あぁぁぁ、もうぅ・・・」

「だらしがないわねぇ・・・男でしょう!あなたは!
 あなたの罪は罪として、今は闘うしかないのよ・・・そして助け出すの、瑞希さんを!」

 どうしてこんな時の女は、強いのか・・・
 美樹がうろたえている大人の男を抱きしめている


春が来た 66
道明 7/8(水) 23:30:51 No.20090708233051 削除
 海の中の空港、そこを飛びたつジェット旅客機が瞬く間に消えていく
 県庁舎七階の副知事室から、遠くの青い水平線を眺めている男がいる
 その男の顔を、瀬戸内に沈む夕陽が赤く染める
 来春の知事選挙の本命候補者でもある、この男
 前途は揚々、しかし以前にも増して愁いは濃くなっている


「新藤副知事・・・・お帰りにはならないのですか?」

「ああ、もう少し・・・・あの海を眺めていたい」

 美樹が珈琲を差し出す
 若い秘書の白い指が新藤の視界に入る
 入れたての芳しい香りが漂った


「沖田課長さんはお気の毒でした・・・あんなに喜ばれていたのに」

「ああ・・・そうだね」

「何も・・・県を退職されなくてもよかったのに・・」

「それは無理だ・・・・彼はプライドの高い、誇り高き本県幹部職員
 知り合いに招待状を送った結婚式の直前に、花嫁に逃げられたんだ
 彼にとって・・・・・・・これは死を意味する」

「あの遼子さんには、お好きな人でもいらしたのでしょうか?」

「・・・・さぁ・・・どうだかね」


(何を惚けて・・・あなたが原因じゃない!!)

 美樹の射すような視線が、新藤の横顔に向けられる
 偶然にも、遼子と新藤の関係を知ってしまった美樹
 汚れた社会を知らない清純な女性
 そのプライドと公務員としての正義感が沸々と煮えたぎる
 この聡明であまり男経験のない美人秘書は、まだこの男の怖さを知らない


 珈琲を口につけた新藤に、差出人の名がない「親展」の手紙が目に留まる

「美樹君・・・この手紙は?」

「はい、先ほど総務課長が直接持参され副知事にと・・・」


 封を切り、文面に目を通す新藤の顔色が変わる
 退職した沖田からの手紙であった



『私に天罰が下ったのです・・・』で始る文面

 切々と心情を訴えている・・・・・
 自分は、瑞希の失踪時にGPSで彼女の居場所を知っていた
 にも拘わらず、そのことを上司の新藤に報告せず、瑞希を見捨てた
 人として、やっては為らぬ裏切り行為を自分は犯したのだ
 この度の自分と遼子との婚約解消の原因は、この悪行の報いだと
 このままでは、人として生きて行けないと思い
 県を退職し、瑞希を探したが・・・既にその場所は引き払われていた
 周辺での聞き込みから
 使用していたのは、いかがわしい男たちと恐らく瑞希と思われる若い女
 自分の力では、もはやどうする事もできず
 新藤の力をもって、瑞希を助け出してくれるように真摯に訴えているのだ



 手紙を持つ新藤の手が振るえ、目に涙が滲む
 美樹は何事かと固唾を飲んでいる


「副知事・・・どうかされましたか、副知事・・・」

「美樹君・・・これは沖田君からの手紙だ
 君は知っているね!・・・私と遼子の関係
 君は私のことを最低の人間と思っているだろうね・・そう、私は全く酷い男だ」

春が来た 65
道明 7/7(火) 18:26:50 No.20090707182650 削除
  美樹は料亭の玄関のところで、バッグを忘れているのに気が付いた
  どうかしているわ・・・私

  二人の部屋に取りに戻るのは躊躇したが、置いて帰るわけにもいかない
 

  廊下に、「あん・・・」と女の切ない一声が響く


  (えっ・・・なに、今の・・・・・・・)

  「あぁぁぁん・・・・うん・・・・・」


  美樹は理解した・・・襖の向こう側の状況を
  部屋にはもう入れない・・・溜息を付き、帰るために背を向けた

  「進さん・・・お願い、もっと・・ねぇ・・もっと」


  あの愁いを身に纏ったセクシーな上司
  あの人が女を抱いている・・・・どんな風に?


 「あーん・・・駄目、駄目・・・あーん・・もう」


 美樹の鼓動が激しく鳴る、熱いものが肢体に流れ出す
 手が恐る恐る、襖を押し開けた・・・・・・
 先ほどまで女の身を締めていた鮮やかな帯
 その帯が絨毯のように延び、部屋の暗闇の中で白い女体が揺れている
 男は悠然と、敷かれた蒲団の上で寝そべり
 その分厚い男の胸に手をあて、女がゆっくりと腰を降ろしていく


 「ああぁぁ・・堪らない・・・・いい」


 女が快楽を貪り始めた
 腰が浮く・・・そして、沈む・・・また、浮く、そして沈む
 美樹の視線の先には、黒光りする剛直
 女の艶液で濡れ、光り・・固く、太くそして長い
 その剛直を包み込むように、白い透き通るような・・女の白い太腿と美尻


 「進さん・・・こんな女・・・こんな私にしたのはあなた
  私、先に逝きそう・・・逝かして、いいでしょう?」


 男は応えず・・・女の顔を見つめている
 女は目を瞑り、男の剛直を膣奥深く受け入れ
 腰を緩やかに振り続け、顎を上げ天を仰いだ


 「あ、あぁぁぁぁん・・・・」


 その声が、その場から立ち去る美樹の背に覆いかぶさる
 

春が来た 64
道明 7/5(日) 08:48:43 No.20090705084843 削除
遼子の親密な接客が続く・・・
自分だけが蚊帳の外で、美樹は居た堪れなくなった

「あの・・本部長・・・本部長!」

遼子が涼しげに若い美樹をチラリと見た


「どうした?美樹ちゃん」


美樹が不機嫌そうに新藤に告げる

「私、用事を思い出しました・・
 本部長にはお相手がいらっしゃいますので、お先に失礼します」

美樹がサッと席を立つ
新藤の言葉も待たずに部屋を出て行ってしまった
新藤の口がポカンと開いている


「進さん・・・ふふふ・・・ああ、面白い
 色っぽい瑞希さんの後に、今度はあんなに若い娘さんを秘書にして
 さては、悪い事を考えていたんでしょう!
 さっさと帰られちゃって・・・・ふふふふふはははは」

遼子は二人きりになったことで、より大胆になってくる
愛しい男を、あの瑞希に取られた
一人で悔しい酒を浴びるほど飲んだ
そんな心情のところに、沖田からのプロポーズ
熱心に口説かれ、断れなかった
しかし・・・自分に女の喜びを気付かせたのは・・この男だ
身も心も捧げて悔いのない、唯一人の男
やはり、離れられない・・・・どうしてもこの男の側にいたい

「進さん・・・私、もう決して妬いたりしない
 嫌な女になるのは・・・もう懲り懲り
 あなたが、どんな女性と遊ぼうとかまわない
 ねぇ・・お願い・・私もあなたの側において下さい
 それでいいの・・・私はそれだけで・・・・」


遼子の白魚の指が踊る
愛しい男の股座に伸びていく
今のこの逢瀬を逃さない、精一杯尽くして・・男の心を?ぎ止めたい

「遼子・・・お前・・」

女が男の口を吸い
男がそれに応える
互いに相手を知り尽くした男と女

遼子は新藤の部下との再婚を目前にして・・・
これが自分の運命と信じ、再び愛欲の世界へ戻っていく

春が来た 63
道明 7/4(土) 21:44:25 No.20090704214425 削除
芝田美樹が上司である新藤の横顔を眺めていた

知事の信頼が厚く、次の筆頭副知事内定者
学歴も一流、財力もある・・・・今、この男の進む道を妨げる者などいない
精力的に仕事を片付け、部下からの人望も集まっている
今、まさに天地人・・・此処に整ったというところか
だが、何故だろう・・・・仕事の合間に時折見せる「愁いの表情」
それが若い美樹には、たまらなくセクシーな大人の男に映る


「本部長、先ほどお見えになった伊藤さんは、私の前任者の・・・・」

「えっ・・ああ、瑞希君のご主人だ
 瑞希君が事件に巻き込まれたのか、行方知れずらしい・・・
 我が推進本部の力を以ってしても、見つけ出すことは不可能のようだ
 辛いことだが・・・ご主人には失踪宣告も考えておかなければならないと言っておいた」

新藤の目が、そうですかと頷く美樹の胸元に視線がいってしまう
まだ恐らく男には触れられていない若い女の乳房
この男が大事の前に、自らに科した女欲の禁止もそろそろ限界に来ていた



「ところで、美樹ちゃん・・・今夜は予定があるの?」

「はい?!はい友達と・・・うーん、でも・・・何でしょうか?」

美樹は週末には必ず、大学時代から付き合っている彼氏とデートをしていた
それに・・・新藤に対する警戒心など微塵もない



「よければ、食事でもと思って」

「お食事ですか?奢ってくれるんですね、本部長・・・・それじゃ、甘えちゃうかな」

「有難う・・それじゃ、私は若い美樹ちゃんから少し元気をもらうとしよう」

この男の先ほどの愁いは何処へ行ったか・・・新藤は美樹にウインクをした
美樹もふざけて、投げキッスを新藤に返す



ここは新藤の幼馴染のお恵が営む料亭


部屋に運ばれてきた豪華な料理を前にして、新藤と美樹が向かい合わせで乾杯をしたところだ

「進さん、お久しぶりです」

着物姿の遼子が挨拶をした


「やあ、遼子ちゃん・・・いや、もうすぐ沖田夫人か
 この度はほんとうにおめでとう・・・・・幸せ一杯で顔が輝いているよ」

「まあぁ、進さんたら」


遼子が新藤の側に侍り、お酌をする
親しげに新藤のネクタイに触れる
甘えるような仕草で、新藤に語りかける
そして、新藤の手をとり頬に当てる
美樹の存在が消えているような二人だけの世界を創りだす


(淑やかで綺麗な人!・・沖田課長の新婦になる人なんだ
 でも嫌だわ・・本部長への接し方はあまりにも節操が無さ過ぎ)

春が来た 62
道明 7/2(木) 20:12:43 No.20090702201243 削除
「奥さん・・・はやり相当教え込まれているな・・・真男に
 私のお尻の穴を責めて来るとは・・・流石に驚いた、いや・・感動もんだ!」


瑞希の渾身の奉仕は、この老人の「助けてやる」の一言が効いている
何年か振りに、精の放出を遂げた年老いた怒張
その怒張が、孫のような瑞希の口で清められている
老人の手は瑞希の顎から肩、そして乳房へと下る

「やはり・・・上玉だ
 奥さん、その様子じゃまだまだ足りないよね・・・男の精が!
 さて、次の注文だ
 今、待たせている、あの若いチンピラの精を全部吸い取るんだ
 あいつは一晩で三回は射精できる
 私の代役で、女に突っ込むだけしか能がない若造だけどな」

「そんな男の相手なんて、嫌です・・・あなただけで助けてやるとの約束でした」

「ああ、そのとおりだよ・・必ず助けてやる
 だが、此処にいる間は私を惚れた男と思えとも言った
 その真男の命令だ・・・・あのチンピラの精を食い尽くせ!
 搾り取る前に、奥さんがダウンしたら・・ご破産だ
 おーい・・待たせたな、この奥さんを好きにしな
 ただし、お腹に子がいることを忘れるんじゃないぞ」

「そんな・・・嫌・・」


筋肉マンのチンピラが部屋に入ってくる
扉越しに漏れてきた女の艶声で、この男の怒張の先からは涎が垂れている

「それじゃ師匠・・・相手をさせてもらいます」

「ああ・・・そうだ、お前に一つヒントをやろう
 この奥さん、立ちバックが効きそうだ
 若造!負けるんじゃないぞ、ハンディをやったんだからな!」

チンピラが瑞希にしゃぶりついていく
師匠のアドバイスに従い、忠実にバックから攻める
この若造も強兵だ
揺れる乳房を優しく撫でると思えば、強く揉みたてる
乳首を転がし撥ねる
そして、リズミカルな挿入、深く、浅く・・を継続する
だが・・・


「うーん?奥さん・・・奥さんの此処が!!あっ・・ああ」

「おい!早すぎるぞ・・・お前」

老人が目を細めた
自分の目に狂いはない
間違いなく名器の持ち主、それも誰かの手によって磨かれている
見ろよ、この腰の振りよう・・・・
男の精を欲しがる雌、精を出したがらない雄
その凌ぎあいを幾度となく経験し、術を身につけた女体
この勝負は見えていた


瑞希は第二の注文も突破し、シャワー室で肢体の汗を流している

「師匠・・・すみません・・・こんな女、初めてです」

「ああ・・・そうとも」

「師匠!こんな良い女を逃がしてやるんですか・・・残念です」

「馬鹿かお前!情でも移ったか!何年一緒にこんなことやっているんだ」

「それじゃ・・・師匠」

「ああ、そうだ・・・義理や人情や道徳など、もうとっくに無いだろうが俺たちに
 女に食らい付き、搾れるだけ搾り尽くす・・・そうだろ若造!
 ただ、奥さんの心は壊せない、そんなことしたら客が喜ばない
 身も心も組織に忠実な女に作り変えてきたんだろうが?
 考えるんだ堕ちる方法を・・・そうだ、奥さんの周りを調べて来い!関西に行け」


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