BBS1 2007/11 過去ログ


コンプレックス7
高橋 11/22(木) 20:28:27 No.20071122202827 削除
運転手に行き先を告げ車が発信する。当然、今度は私も後部座席、しかも上座だ。上司のジェイクが居ない今、レディファーストなどという外国人の戯言に付き合うつもりはない。週末の歓楽街は人通りが多くタクシーも思うように進まない。店を出てから妻にまだ一言も話しかけていない。妻は妻で何か居心地が悪そうに押し黙っている。その態度が私を苛つかせる。【さっきまで他の男にケツを擦り付け、体を触らせてたくせにっ!少しでも罪悪感があるなら、夫の機嫌でも取ったらどうなんだっ!】心の中では何とでも言えるが、それを言葉には出せない。永らく沈黙を振りきり、努めて冷静に妻に話しかけた。「あ…さっきの続きだけど…。あんなに汗だくになって何してたの?」「あぁ、あれね…踊ってたの。ジェイクさんがどうしてもって…」「お前踊れたんだ?」「いや…初めてよ…」「それにしては凄い汗だったね…」「周りの人の熱気が凄くて…」「どんな踊りだい?他のカップルはかなりベタベタしてたけど?」「……。私はジェイクさんの目の前で体を揺らしていただけ…。体には触れてないよ…」【何故っ!何故、そこまであからさまな嘘をつくっ?】同じ嘘は嘘でも、物理的事実を明らかにした上で、適当な理由をつけ不可抗力を主張したなら、この話しはこれで済んだかも知れない。しかし、頭から完全な嘘をつかれると、妻のクラブでの淫行には、ノリとか弾み以外の致命的な理由があるのではないかとムキになってしまいそうになる。取りあえず少し頭を冷やしたかった。「そ…そうか。スマン…また気分が悪くなった。しばらく寝かせてもらうよ。着いたら起こしてくれ…」そういうと私は、現実から逃避するように、再び寝たふりをした。道中、これからどう行動すべきか、色々考えていた。そしてあることを思いついた。



水遣り(後書き)
CR 11/22(木) 09:58:31 No.20071122095831 削除
この後、間をおかず松下さんが田舎での結婚を理由に会社をお辞め
になりました。喜ばしい事ですが、少し胸に痛いものが残ります。
小さな会社です、引継ぎが必要なものは殆どありませんが、松下さ
んはきちんと引継ぎノートを作ってくれました。松下さんがお辞め
になった後、妻は私の会社を手伝っています。朝から晩まで一緒で
す。私の心配が一つ減りました。

松下さんは私たち夫婦の為に道を開けてくれたのだと思います。ご
結婚式には夫婦揃ってお祝いさせて下さい。どうぞ幸せなご結婚
を。只、松下さんからの結婚式の招待状はまだ届いていません。

私はまだしらふで妻を抱くことは出来ません、酒の力を借りていま
す。酒で佐伯の幻影を消しているのです。酒は最高の媚薬と申しま
す。しらふで抱けるようになるまで酒の力を借りる事にしました。

先日、佐伯の会社の社長が、何がしかの金銭を持って我が家を訪れ
ました。甥が大変な不祥事を起こし申し訳ないと、ついてはこの事
は口外しないで頂きたいと。私たち夫婦の恥を何を好き好んで口外
するでしょうか。

ジャングルジム様が仰っていました。こんな酷い話にこんな優しい
タイトル”水遣り”をと。妻がよく、”水遣りを一生懸命するか
ら、きれいなお花を咲かせてね”と言っていました。

妻と別れる事になれば、妻に水遣りをしなかった私のせいに、別れ
なければ、これからは妻にも水遣りをしてあげようと、書き始めに
決めていました。

長い間有難う御座いました。



水遣り71(最終章)
CR 11/22(木) 09:49:38 No.20071122094938 削除
自分の気持ちを確かめる為とは言え、妻は大芝居を打ったのです。
私への贖罪とこれからの貞節の印を刻んだのです。思えば睡眠誘導
剤を飲んだ時からその芝居が始まっていたのかも知れません。

私は妻の膝元に歩み寄ります。

「傷を見せなさい」

絆創膏を剥がしますと、固まった血糊の薄皮も剥がれます。そこか
らまた血が流れ出るのです。それは妻の血の思いの涙なのです。私
は思わず妻の血を舐めます、流れ出る血を吸い取るのです。私の首
筋に熱いものが落ちてきます。見上げますと妻は泣いています。

「有難う、貴方」

許したわけではありません。妻の心情を思うと、せめて血を舐めて
あげたかったのです。しかし、抱きしめる事は出来ません。

「今日はこれで戻る。明日朝また来る」

このまま家に居た方がいいのかも知れません。しかし、過去の事、
今日の事、もう一度アパートで考える事にします。

許そうと思っても、浮かんでくるのは10月17日の妻の痴態、変わっ
てしまった妻の女陰、着けていた下着。そこから連想できる佐伯と
の絡み。打ち消しても打ち消しても出てきます。佐伯のものが機能
を果たしていても、妻は受け入れなかっただろうか?佐伯はもう来
週には大阪へ発ちます。しかし佐伯が居なくなっても、あれだけ変
わってしまった妻は他に男を求めないだろうか?きっかけがあれば
又、他の男に走ってしまうのでは?

ふと自分の気持ちに気がつきます。妻との別れを考えていないので
す。妻と暮らした場合の心配事ばかり考えています。娘の明子の事
もあります。明子は私たち夫婦の出来事は知りません。このまま知
らせずに済ませたい。夫婦の過去20余年の暮らしがあります。共に
笑いもし、泣きもしました。破産しても愚痴一つ言わず一緒に頑張
ってくれました。

明くる朝、6時に目が覚めました。そのまま妻の居る家に向かいま
す。6時半、家に着きます。

『洋子はまだ寝ているかも知れないな』

家には入らず、庭の花を眺めています。何やらクリスマスローズも
元気がありません。妻も暫く忘れていたのでしょうか。軒先にある
水撒きで水をやります。

妻が自転車で帰ってきます。籠にはパン屋のレジ袋が入っていま
す。近所に朝早くから開いているパン屋さんがあるのです。出来立
てのパンの香りが漂っています。私の腹の虫もグゥと鳴いています。

「貴方、水遣りして頂いているのですか」
「ああ、何にでも水遣りは必要だ」

これから妻を許せる日が来るのか、妻の痴態はいつ消えるのか?今
の私には解りません。解らないまま別れるより、解らなくとも一緒
に暮らす事を選びました。正しい選択であったどうかは、妻が答え
てくれると思っています。アパートを解約し、家での妻との暮らし
が再開されました。

読んで頂いた皆様へ

長い間、有難う御座いました。皆様のご感想で、どれ程励まされた
事か。私の勇気になりました。妻と別れずにすんだのも、皆様のご
感想が一助になっていると思います。

管理人様へ

長い間、紙面をお借りしました。有難う御座いました。



水遣り70
CR 11/22(木) 09:34:22 No.20071122093422 削除
佐伯が来て、妻は佐伯の車に乗ります。バッグにはある物をしのば
せています。

「ご亭主には抱かれているのか」
「・・・・・」
「そうか、ご亭主とは別居だな。自分で慰めていたのか?淫乱な洋
子は我慢出来ないからな」
「そんなそんな事していません」

車の中での佐伯の言葉はそれ一点に集中しています。信号で停まる
と妻の乳房、太腿を撫ぜようとしますが、妻はその手を払います。

「そうか、洋子も久しぶりで恥ずかしいのか」
「・・・・・」
「マンションに着いたらたっぷり可愛がってやるからな」

マンションに着き、部屋に入ると佐伯はいきなり妻を押し倒しま
す。ブラウスを強引に脱がせます。ボタンが2つ外れます。ブラを
取り乳房を引き出します。

「やめて下さい。私はこんな事しに来たのではありません」

佐伯は聞いていません。スカートを脱がせにかかります。男の力に
は適いません。ショーツ一枚になり、妻の裸身が晒されます。佐伯
もトランクス一枚です。

「ほう、今日はオバサンパンツか。俺に抱かれたくないのか」
「抱かれたくなんかありません」
「今にたまらなくさせてやる」

佐伯は口づけしようとします。妻は顔を背け、口を硬く結びます。
佐伯は舌でこじ開けようとしても、妻の口の中には届きません。そ
れでも佐伯の手は執拗に妻の乳房を、女陰を捉えようとしていま
す。妻は手で足でそれを払いのけるのです。

「もうやめて」

もみあいが暫く続きます。力が尽きた妻の抵抗も力がなくなってし
まいます。佐伯はショーツごしに女陰を揉みしだきます。足を羽交
い絞めにして女陰の匂いを嗅いでいます。

「洋子のここはいつもいい匂いだな」

暫く、唇での責めが続きます。妻の足を自分の足で押さえ、また手
で甚振ります。

妻は私が佐伯の股間を蹴り上げた事を思い出します。足は佐伯の
足で押さえられ自由になりません。手で思い切り男根を掴みます。

「えっ」

妻は驚くのです。佐伯の男根には力がありません。

佐伯は勘違いするのです。妻の手が許したしるしだと。

「洋子も我慢が出来なくなったか。ほらパンツを脱がしてやるからな」

数十分にも及ぶ佐伯の責めで妻も感じ始めていました。

「こんなに濡れてるぞ。なにが、もうやめてだ」

佐伯はショーツを脱がそうと、その時です。妻は頭の横にあるバッ
グの中からある物を取り出し、自分の太腿に突き立てるのです。あ
る物は鋏だったのです。鋏は妻の太腿の皮を破り肉に突き刺さり、
血が流れ出てきます。

佐伯もさすがに驚き、行為を諦めるのです。部屋にある塗り薬と絆
創膏を妻に渡します。妻はそれで傷の手当をします。佐伯は茫然と
眺めています。

「悪かった、もうしない」
「・・・・・」
「俺は来週から大阪の平社員だ。洋子ともう一度だけでもと思った」

脱がされた服を身につけながら、妻はそれを聞いています。

「さっき解っただろう。俺はご主人に蹴られてから駄目になった」
「・・・・・」
「洋子となら出来ると思った。しかし・・・」

「俺と居た時は楽しかったと言ってくれ、良かったと言ってくれ」
「言えません」

打ちひしがれた佐伯を後に妻は帰って来たのです。



コンプレックス6
高橋 11/21(水) 22:15:06 No.20071121221506 削除
捲れ上がった妻のスカートの端が、ジェイクの腕と共にじわじわと上昇していく。妻はそれに合わせて次第に前かがみになると同時に背筋が反り返っていく。スカートの内部で何が起きているか私には分からない。しかし、妻は時折苦悶の表情でピクッ…ピクッと体を痙攣させている。【まさかジェイクの手はパンティーまで達し、薄い布越しに茂みを愛撫しているのではないか!?】【いやっ!もしかして強引にクロッチを掻き分け、既に膣内を指で犯しているのかっ!?】そんな私の動揺に気付いているのか、ジェイクは妻に全く目もくれず、侮蔑するように私の方を眺めている。【もう我慢できない!】屈辱的だが、妻に抵抗する素振りが見えない今、夫の私が直接行為をやめさせるしかない。意を決した私は、起きたぞと言わんばかりにムクッと起き上がり、テーブルのミネラルウォーターを一気に飲み干した。頭がグラグラと揺れる。私は思わずその場に塞ぎ込んだ。【どんな顔で妻の前に立てば良いのか?いきなり怒鳴りつけるのか?…いや、それでは今まで見ていたことがバレてしまう。じゃあ、笑顔で接しろというのか?】あれこれ頭を悩ますが、とにかく今は行為をとめるのが最優先だ。体裁など気にしている暇はない。私は上体を起こした。するといつの間にかジェイクは妻を解き放ち、知人らしき外国人女性と楽しげに会話をしている。一人蚊帳の外に置かれた妻は、髪を人差し指で耳にかきあげながら、恥ずかしそうにうつ向いている。【何なんだ一体っ!?ジェイクは何を考えているんだ!?】ようやく妻が顔を上げ私に気付くと、一瞬視線を逸らした後に無理矢理笑顔を作り、私の方に近づいてきた。「あなた…大丈夫?いつ…目が覚めたの…?」「あぁ、たった今さ」「良かった。体は大丈夫…?」「あぁ、頭が痛いけど何とか。お前は?」「う…うん…お酒が回ってるけど…」「凄い汗かいてるけど何してたの?」その時背後からジェイクが会話に割り込んできた。「高橋さん、もう大丈夫なのかい?」わざとらしいセリフだ。「大丈夫です」「それは良かった。ぐっすりと寝てた甲斐があったね。ぐっすり…とね」ジェイクはニヤッと笑う。「大変名残惜しいのだが、あそこにいる私の友人がちょっとしたトラブルに巻き込まれててね。彼女の相談に乗ることになった。だから今日はこれでお開きにしよう」「えっ?」「勿論ここからの足代は払うよ」ジェイクは妻に向かって言った。「わざわざ来てもらったのにすみません。奥さんのお陰でとってもエキサイティングな時間を過ごせました。」妻が横目でチラッと私を見る。「ええ…はい…。こちらこそ…ご馳走様でした」「では」ジェイクは私の背広のポケットに一万円札を突っ込むと、知人女性の元に戻った。そしてそのまま二人で店をあとにした。「おい…家に帰るか?」「うん…帰ろ…」夫婦なのにぎこちなく言葉を交わし店の外に出た。無言で表通りまで歩くと、タクシーに乗り込んだ。





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水遣り69
CR 11/21(水) 11:50:03 No.20071121115003 削除
「写真で私の中の鍵が外れてしまったのです」
「嘘の写真でな。どうして俺に聞かなかった」
「聞くべきだったと思います。でもあの時は聞こうとは思いませんでした」
「いい言い訳が出来たわけだ」
「違います。でもそうかも知れません」
「はっきり言ったらどうなんだ、これで佐伯に抱いてもらえると」
「多分・・・・」
「多分、何なんだ」
「自分を許すものが欲しかったのです」
「結局、お前は抱かれたかったと言うことだ」

性に積極的ではなかった私、自分の性欲に気づいた妻。妻は自分の
欲求をぶつける相手を私ではなく佐伯を選んでしまったのです。そ
れから4ヶ月余りも続いてしまったのです。

「4ヶ月間、たっぷり楽しんだと言うわけだ」
「苦しんでもいました。夜眠れませんでした」

眠れなくなった妻は睡眠誘導剤を処方してもらったのです。

「白々しい事を言うな。ばれなければ、もっと続けるつもりだった
んだろこの写真を見ろ。これが苦しんでいる顔か。心を預けた顔だ」

報告書の写真をぶつけます。

「心を預けていた?私、そんな顔をしていたのですね。長い間、不
倫をしていても、貴方は何も言ってくれなかった。気がついている
のに、何も言ってくれないのだと、もう私には関心がないのだと、
そう思っていました」
「勝手な事を言うな。俺は気がついていなかった。証拠もないのに
聞けるわけがないだろ」
「あの時、貴方が大阪に来てくれた時、ほっとしました、これで終
われると。嬉しかった、まだ貴方に気にかけて頂いていると」

これで終われるとほっとした妻も、後で録画の事を思い出します。
もし佐伯にそれをばら撒かれても、その時は私と別れて、何処か別
の土地で暮らそうと思ったのです。

「それで、もう会社には居場所が無いと言ったのか」
「そうかも知れません」
「会社は辞めても、この家からは出て行かなかった」
「初めは別れて頂こうと思いました。でもやっぱり貴方の傍に居た
かった。メールされても、貴方が許して下さるなら、貴方と暮らしたかった」
「自分の都合ばかり言ってるな、お前は。俺の事など何も考えてない」

此処まで話しても妻は涙を見せません。妻の決心が本当なら、妻も
それ相応に覚悟を決めた事になります。しかし、妻の言っている事
は自分に都合のいい事ばかりです。不倫している妻に気がついて責
めて欲しかった。後になって言える事です。録画の件も、それは存
在しないと解ったから言える事です。私にはそんな風に思えるのです。

「綺麗事言っているが、今日また佐伯に抱かれたわけだ、お前の体
が疼いてな」
「違います。抱かれてなんかいません」

抱かれていない事は妻の体を見て解っています。それでも私は言わ
ずにはいられないのです。

「どうして行ったんだ」
「一度は会わなくては、決別の為に一度はと思っていました」

あれだけの快楽を与えてくれた佐伯です。会えばまた抱いて欲しく
なるに決まっている、私はそう思っていました。妻の思いは逆だっ
たのです。佐伯と会っても自分の気持ちは変わらない、その確信が
欲しかったのです。

佐伯が来る前に離婚届に名を書き印を押します。メモを書きます
が、離婚届をの後には文字が続きません。

「どうして離婚届けを書いた」
「もし佐伯に抱かれたら私はそれまでの女です。もう貴方の元には帰れません」



水遣り68
CR 11/21(水) 11:43:36 No.20071121114336 削除
佐伯の訪問は何度か繰り返されます。その内妻は耐えられなくなっ
てしまいます。

「今度来たら、マンションへ行こうと決めました」

家に上げる事は絶対に出来ない。そう思ったのです。

「一人になって考えるのは貴方の事ばかりです。貴方を愛してい
た、今でも愛している。それなのに」

妻は独り言のように喋ります。

「正社員のお祝いで食事を頂いた時、帰りにリムジンで送られた
時、私は夢見心地でした。こんなにまでして頂いてと」
「そこで、お前はもう許してしまった」
「抱かれはしてません。でも同じ事ですね」

「期待があったのかも知れません」
「薬を使われた」
「薬のせいだけではありません。私にも原因があったのだと思います」

私の性技だけでは満足していなかったのです。色々なメディアで知
った性の喜び、自分の体で知りたかったのです。自分の性欲の強さ
に気づき驚いたのです。

「貴方に試して欲しいと何度も言おうと思った、でも言えなかった」

妻は私と同じだったのです。同じ思いを抱いていたのです。

「佐伯はきっかけでした。佐伯でなくても同じだったかも知れません」

「佐伯に何度誘われても、最後までは許せませんでした」

「貴方の事を思うのです。最後までは出来ないと」
「同じ事だろう。最後まで行こうが行くまいが」
「違います。女にとっては大きな違いです。それを許すと心まで
預ける事になってしまいます」
「お前は心まで預けてしまったと言うのだな」
「解りません。でも違うと思います」
「今、お前が言ったじゃないか、体を許す事は心を預ける事だと」
「そうですね。佐伯が特別な存在だと思ったのかも知れません」
「お前の言う事は全て矛盾している。さっき佐伯でなくともと言っただろう」
「解りません、私の体が・・・」

本当のところは妻自身にも解らないのでしょう。後から言う事は全
て理屈です、言い訳です。起きてしまった事に気がついた時に考え
る言い訳なのです。



水遣り67
CR 11/21(水) 11:40:18 No.20071121114018 削除
(佐伯が今日来ました。もし帰らない時は、この離婚届けを・・・・)

離婚届けを、のその後は書かれていません。文字は涙に滲んでいました。

『妻に何があったのだ。佐伯の部屋に何があっても行かなくてはならない』

私が玄関を飛び出したその時です。家の前に車が停まります。タク
シーです。妻が帰ってきたのです。顔は蒼白、髪が乱れ、ブラウス
のボタンが2つありません。しかし、その表情には曇りがありません。

「こんな時間まで、何をしていた」
「佐伯のマンションに行きました」
「どうして携帯の電源を切っていた。また部長様に言われたのか」
「いいえ、決めたのです。終わるまでは電話を受けないと」
「終わるまで?佐伯に抱いてもらうのが終わるまでか」
「・・・・・」
「見てやる、こっちへ来い」

スカートとショーツを一気に脱がせます。足を割り女陰を見ます。
若干濡れてはいますが、男根を受け入れた形跡は無いようです。太
腿には大きな絆創膏が貼られています。

「してはいないようだな。しかしこの傷はどうしたんだ」

妻はこれには答えません。

「貴方が出て行ってから、佐伯から毎日、何回も電話がありました」

佐伯は私の会社帰りの後をつけ、私がアパート暮らしをしている事
を知ったようです。携帯にも何度も何度も電話があったのです。勿
論妻は出ません。家の電話にも佐伯はかけてきます。

「貴方からの電話かも知れないと思うと、出ないわけにはいきませんでした」

抱いてやるから来い、一人暮らしで体が疼いているだろう、慰めて
やるから来い、大阪へ一緒に行こう。佐伯は執拗に誘っていたのです。

「断り続けました」

妻が断り続けていた為、車を乗りつけ家に来るようになったので
す。俺を家の中に入れろと繰返し言っていたのです。聞き入れられ
ないとクラクションを何度も何度も鳴らすのです。

「私、怖かった」

妻は夜になるのが怖かったのです。佐伯に何をされるか解らない、
近所にも知れてしまう。そんな事を私は考えていました。それもあ
るのでしょうが、妻の言った怖いの意味は別のところにあったのです。



コンプレックス5
高橋 11/20(火) 23:46:02 No.20071120234602 削除
【女は…みんな男好きでプッシー好きさ】パブでジェイクが言っていた言葉が脳裏に蘇る。今日会ったばかりの男の股間に艶めかしくヒップを擦り付ける妻の姿が、夜な夜な男を求めて街角に立つ売春婦に見えてくる。夫への後ろめたさからか、時折、切なそうな視線を私に投げかけてくる。いや、むしろ私が寝ていることを確認しているのだろうか?当然ながら妻の位置からは私が一部始終を窃視していることを知る由もない。ジェイクが肩越しに妻の耳元で何かを囁くと、妻はくすぐったそうに首を少し傾けジェイクに微笑んだ。その光景は、まるで、「旦那よりイイだろ?」との男の問いかけに、妻が「セックスまであなたの勝ちね」と呼応しているかのように見える。そんな被虐的な妄想に浸っている間に、ジェイクの右手は妻のわき腹を離れ、今度はスカート越しに太ももを愛撫していた。この淫猥な踊りが始まってから既に10分以上経過しており、クラブ内には酒・タバコ・香水に加えて、汗ばんだ男と女の肉体から発生する独特な臭いが充満している。目の前で繰り返される淫らな光景、冷静さを破壊する大音響、そして異臭の中で微かに感じるメスのフェロモン。私の錯乱状態もボルテージに達しつつあった。そしてついにその時がやってきた。ジェイクは妻の動きに合わせスカートにゆっくり右手を挿し込み、妻の内ももに手の平を這わせた。その瞬間、妻の体がビクッ!ビクッ!と律動し、「羞恥」と「懺悔」、そして「陶酔」が混在する、今まで見たことの無いような淫靡な顔で後ろを振り返った。ジェイクが手の動きを止め、柔和な面持ちで妻を見つめ返す。時間にして数秒、二人の動作が完全に停止する。私は極限の興奮を感じ、心臓の鼓動に合わせて目の前の空間がグニャ…グニャ…と歪む。次の瞬間、妻が全てを受け入れたかのように肉体の緊張を解き、そっと前を向いて目を閉じた。ジェイクはニヤニヤと下品な笑みを浮かべて私を見ると、顔をこちらに向けたまま右手をゆっくりと上昇させた。



水遣り66
CR 11/20(火) 23:05:02 No.20071120230502 削除
それから毎日、朝、夜家にに寄り妻が居る事を確認します。昼の電
話にも妻が出ます。電話の向こうから妻が何か言いたそうにしてい
る雰囲気が伝わりますが、私は無視しています。夜家に寄れば、妻
の顔は私に何かを訴えています。私は妻に声を掛けません、一瞥す
るだけで直ぐ家を後にします。妻が居る事を確認するだけなのです。

7日目の時の事です。夜9時に家に寄りますと灯りはついています
が、妻が居ません。しかし妻の車は車庫にあります。歩いて行ける
ところへ言ったのか。佐伯のマンションまで女の足で歩けば40分ほ
どかかります。夜遅くに歩いて行くのも考えられない。暫く待って
も帰ってこないのです。

『何か用事か、それとも佐伯のところか?』

妻の携帯に電話します。電源が切られています。

『間違い無い。佐伯のところだ』

佐伯のマンションの売却は決まりましたが、引渡しが済んでいない
為佐伯はまだマンションに居住しています。電話しようと思えば出
来ます、行こうと思えばいけます。只、このマンションはセキュリ
ティーの厳しいのです。私が佐伯の部屋まで辿り付けるとは思えま
せん。佐伯に電話をしても本当の事を言うとは思えません。やはり
待つしかないのです。12時まで待つ事にします。12時を過ぎれば私
はアパートに引き返す事にします。そのまま離婚しようと考えます。

では12時前に帰ってきたら、どうするのか?妻が何時に家を出たの
か解りませんが、佐伯のところへ言ったのだとすれば、今はもう11
時です。タクシーを利用していれば、抱かれる為の時間は充分あり
ます。その時はどうすればいいのか、やはり離婚か?

『やはり駄目か。妻はそう言う女だったんだ』

キッチンを眺めます。炊飯器が目に留まります。炊き上がってから
の経過時間が2時間を示しています。タイマーを使っていなけれ
ば、炊き上がるまで50分かかるとして、3時間前には家を出たこと
になります。歩いていっても抱かれる時間はある事になります。

なにか痕跡はないかと、リビングを眺め回します。サイドボードの
上に200万が入った銀行の封筒が置かれています。いつもなら妻は
こんな大金をこんな場所に置いておく事はありません。手に取りま
すと、その中には金と共に小さな封筒が入っていました。

その封筒の中には離婚届けが入っています。妻の署名と捺印がして
あります。離婚届の他にメモがあります。



水遣り65
CR 11/20(火) 22:40:18 No.20071120224018 削除
佐伯は私の行動に唖然としています。

「佐伯、そう言う事だ。お前の会社からのお情けは要らない」
「しかし、俺には払える金がない。あんたも知っている通り大阪の
平社員か、さもなくば職なしだ」
「俺の知った事ではない。お前から払ってもらう」

私は公正証書のコピーに200万本日受領した旨を書き、押印して佐
伯に投げつけます。

「お前が何処で働こうとも追いかけて行く。給料から天引きにしてでもな」
「解ったよ。好きなようにするんだな。俺にはもう失うものは何もない」

佐伯は開き直ったようです。

「俺と洋子の事を聞きたくないか」
「洋子と言うなと言っただろ。それにそんな物は聞きたくない」
「じゃあ、俺が勝手に喋ろう。あんたは実にへただったんだな」
「うるさい」
「洋子のオマンコは新品みたいだったよ、あんたが20年も使ってもな」
「・・・・・」

「前から俺の事を好きだったんじゃないか。最初の飯でもう釣れた」

「クリトリスなんか凄い感じ方だ、ちょっと擦っただけで直ぐいっ
てしまう。チンポも最初は舐め方さえ知らなかったが、ちょっと仕
込むと涎を垂らして咥えてきたぞ。ザーメンも美味そうに飲んだしな」
「うるさい、黙れ。薬まで使いやがって」

もう聞いてはいられません。思わず佐伯の腹に拳を打ち込みます。
拳を打ち込まれた佐伯の腹よりも私の胸の方が痛いのです。

「お前とはもう終わった事だ」
「離婚するのか?」
「お前には関係ない」

200万をポケットに仕舞い、踵を返して帰ります。

アパートに帰り考えます。自棄になるかも知れない佐伯と、そして
医者の言葉が浮かびます。”妻は少しのきっかけで性衝動が起こ
る”、それと自棄になった佐伯を組み合わせれば。私は賭けに出る
事にしました。暫く家には戻らない。佐伯の誘いに妻がのるような
ら、それまでです。潔く離婚しよう。拒否すれば、長い時間がかか
るかも知れませんが、妻を受け入れてみようと。

妻の居る家に向かいます。

妻はキッチンに居ました。夕食の用意をしているようです。

「あっ、貴方お帰りなさい」

見ると二人分の量です。

「毎日作っているのか?」
「はい」
「俺の分は作らなくていい。ここでは食べないと言ってあるだろ」

妻の心情を解らなければいけないのでしょう。それが私には出来ません。

「佐伯の200万だ。俺は要らない。お前が稼いだ金だ、お前が使え」

駄目です。話合おうと思って来ても、妻の顔を見ると出てくる言葉
は別のものです。金はテーブルの上に放り投げられたままです。

「会社はどうした?」
「もう行けません。退職願を郵送しておきました」
「そうだな、佐伯も居なくなるし、言ってもしょうがないからな」
「違います。私の居場所はもうありません」
「お前がした事だ」

「俺は暫く戻らない。このままアパートで暮らす。朝と夜は一度此
処に寄る。昼も家の電話で確認する。買い物に行く時は携帯に電話
する。見張る必要があるからな」
「酷い。見張るだなんて」

行かないで下さいと泣く妻を背にアパートに戻ります。賭けに出
る、きれいな事を言っておきながら、妻を前にするとこのざまです。醜い男です。



水遣り64
CR 11/20(火) 22:29:49 No.20071120222949 削除
社長は出来るだけ穏便にすませようと思っていたらしいのです。と
ころが回りが反対します。血が繋がっているからそれだけ穏便にす
ませるのかと。回りから出た意見は取引先から供与された金は全額
返還、即時解雇、勿論専務の妹との結婚はなくなります。

穏便な処置に一番反対したのは専務です。自分の妹と将来の会社を
佐伯に託そうとしたのです。それだけ怒りが大きいのでしょう。

結局、落ち着いた処置は佐伯の住んでいるマンションを処分し会社
に入金する。佐伯の預金は掴みようがありません。預金は手をつけ
ない事になります。即時解雇したのでは今後佐伯の生きていく術が
なくなるだろうと、大阪の関連会社に職を与えます。肩書きの無い
平社員です。それが嫌なら勝手にしろと言う事です。

マンションが売れ次第、この処置が実行されるようです。それまで
に大阪に行くのかどうか決めろと言う事です。

この処置が私と妻にどう言う影響を与えるのかアパートに帰り考え
ています。

『奴は金がなくなる。一番の打撃は今、金を払わせる事だ』
『金が無くなれば、妻にもう連絡を取る事もないだろう』
『専務の妹とは結婚出来なくなってしまった。その上に金もなくなる』
『奴は自棄になるかも知れない』

自棄になった佐伯は妻にまた手を出してくるかも知れない、そんな
思いが頭をかすめます。まさか妻が受ける事はないだろう、妻が拒
否すればすむ事だ。結論を出します。

「佐伯、明日金を取りに行く。用意しておけ、5時半に行くからな」
「解った」

佐伯はすんなり答えます。佐伯は会社から自分の処置を聞いている
筈です。不思議な気持ちでその答えを聞いたのです。

明くる日、佐伯のマンションに行きますと、銀行の紙袋がテーブル
の上に置かれています。

「あんたも俺の処置を聞いただろう。200万しか用意できない、残
りの300万はこのマンションが売れてからだ」
「預金は手をつけられなかった筈だ。それにマンションの代金は全
額会社に取られるだろう」
「会社も慰謝料の件は了承してくれた。マンションの代金から払っ
ていいと、会社も経理も了解してくれた」

冗談ではありません。これでは佐伯と会社がいい子になってしまい
ます。この時間ならまだ会社に人が残っていると思い、電話をします。

受付が出て、経理に繋いでもらいます。

「宮下と申しますが、経理部長をお願いします」
「どう言うご用件でしょうか?部長はもう帰宅させて頂きました」
「慰謝料の300万、佐伯のマンションの代金から払って頂く必要は
ありません」
「何の事を言われているのか、解りかねますが」

電話に出た職員の方にはあずかり知らぬ事でしょう。

「とにかく経理部長にでも、役員の方にでも、そうお伝え下さい」
「ちょっとお待ち下さい」

その職員の返事を待たず電話を置きます。





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水遣り63
CR 11/20(火) 22:22:41 No.20071120222241 削除
家に戻り妻に事の顛末を話します。

「良かったな。お前を500万で買ってくれるそうだ」

最後にはこんな言葉しか出てこないのです。

「500万入ったら、全てお前にくれてやるから、出て行ってくれ」
「いやっ、出て行きたくない。そんなお金なんか欲しくない」
「お前の体で稼いだ金だ。一回あたり10万だ。高級売春婦でも稼げないぞ」
「・・・・・」
「それから、携帯の事で言っておこう。お前たちの携帯にはテレビ
電話の録画保存の機能はついていない。お前は取説を見なかったのか」
「見ました。でも他に方法があるかも知れないと思うと」
「抱かれる言い訳を自分で作ったわけだ」
「違います」

「何故、携帯を壊した」
「私の携帯にも残っているかも知れないと思いました」
「兎に角そう言うものはなかった。残念だな。お前が善がるところ
を俺も見たかったよ」

妻を甚振る言葉しか出てこないのです。妻が出て行く事はない、そ
う思っています。私は卑怯な男です。妻と今後どうするのか、考え
ていてもそんな話は出来そうにありません。妻の顔を見れば甚振り
手を上げてしまう。このままでは二人共壊れてしまう。私は決心を
します。短期滞在型のアパートを借りる事にします。市役所からは
離婚届けの用紙を貰ってきます。

「洋子、俺はアパートを借りた。暫くそこで暮らす」
「いや、行かないで下さい。一緒に居て下さい」
「それから、これは離婚届けの用紙だ。俺の名前はまだ書いていな
いが、お前が書いたら俺も書く」

本当に卑怯な男です。こんな大事な事まで、弱い妻に預けてしまう
のです、自分で結論を出せないのです。 ”許してください、出て
行きたくない。貴方を愛している”と何度も何度も言わせたいのです。

泣いている妻の声を背中にして、その日の内に身の回りのものを纏
めアパート暮らしが始まります。一人になった妻が何をしているの
か、気にならないわけがありません。気にしていても家を覗く事も出来ません。

同日、山岡さんと会います。

「宮下さん、その後どうだね?」

先ず、佐伯との事を話します。2通の書類を見せます。

「君らしいな。それで金はいつ用意させるんだね?」
「妻と決着をつけてからです」
「うーん、そうか。佐伯の金はなくなるぞ」

会社として佐伯の処遇が決定したのです。

「奥さんとはどうするんだね?」

アパートを借り、私がそこで仮暮らしをしている事を伝えます。

「良くないな。今が一番大事な時じゃないかね。別れるつもりな
ら、それでもいいんだろうが」
「それを決める為に別居したのです。一緒に居たのでは自分の気持
ちが見えてきません」
「それで決まったのかね」
「いいえ」
「一緒に居て、罵ってでも解る事もあるのではないかね」

自分の行動を他人に決めてもらおうとは思っていません。しかし、
所長の言う事はいちいち理にかなっています。

その後、所長から聞いた佐伯の処遇は私の想像を遥かに超えたものです。



水遣り61
CR 11/20(火) 15:10:11 No.20071120151011 削除
「佐伯がテレビ電話の内容を保存してあるって」
「どうしてそれを早く言わない」
「会わない時は、それを見て楽しんでるって。私怖かったの、誰か
に見せるんじゃないかと、怖かったの」
「それでずるずる続けていたと言うんだな。本当だな。脅迫されて
いたのか?」
「いいえ、初めの頃は脅迫はされていません。でもそれがあると思
うと私は・・・」
「初めの頃は?じゃ今は」
「言われました。もう出来ないと言ったら、貴方に見せるって、会
社のメールにばらまくって」

妻の言う事は本当なのか、考え付いた言い訳を言っているのか判断
は出来ません。しかし、私の気持ちは少しですが、救われます。初
めは妻の意思で佐伯に走ったのでしょう。それ以後は妻の意思だけ
ではなく、強制されたものがあったのかも知れません。しかし録画
の存在が気にかかります。私が知っている限りテレビ電話の内容を
保存できる携帯は無いはずです。

佐伯の携帯に電話します。

「宮下だ。今から行く」
「いや、会社は困る」
「困るだと。困るような事をしたのはお前だろう」
「すまん。私のマンションでどうですか」

今は4時半。

「お前も5時までには出れないだろう。5時半に行く」
「5時半ではちょっと早すぎる、会議がある。6時半にならないか」
「ぐだぐだ言うな、俺は会社に行ってもいいんだぞ」
「解った。5時半に待ってる」

本来は佐伯を呼びつけるべきでしょう。しかしこの家に上げたくあ
りません。妻と会わせたくないのです。

佐伯にとって何が一番辛い事なのか考えてみます。社会的立場、会
社での地位は放っておいても無くなってしまいます。無くなって困
るもの、それは金に違いありません。最悪の場合、職を失ってしま
うのです。妻の体と引き換えの汚れた金は欲しくはありませんが、
金で攻めるのが一番良いのです。

「佐伯、俺は弁護士を立ててお前と戦う事にした」

私はかまをかけます。

「それは勘弁してくれ。何とか慰謝料で済ませてくれないか」
「慰謝料?一応聞いておこう。いくら払えるんだ?」
「200万なら払える」
「なら払える?女房は後10年は働ける。年間400万として4000万、
これは遺失利益だ。それに慰謝料1000万プラスで5000万だ」
「無茶だ。それに正社員にしたのは俺だ」
「関係ない。びた一文譲らん」
「では500万だそう」
「話にならん。弁護士に任す。お前も用意しておけ」
「頼む、何とか500万で」
「それがお前のお願いの仕方か」
「申し訳ありません。500万で今回の事は許して下さい」
「そうか、500万の慰謝料は了解する。只、許しはしない。許すの
は今後のお前をみてからだ」

条件として、書類を二通用意する事。1通には今回の非を詫び、今
後妻には一切連絡も会わないと誓う事、500万は私の任意の指定日
に満額を一括で支払う事。この書類には実印を押印し、印鑑証明を
付ける事。そしてもう1通は不倫の事は記載しませんが、佐伯が私
に500万の債務があり、それを私に指定通り支払う旨の公正証書を
作る事を約束させます。書類を用意させることにより重圧を与えた
いのです。

「一つ聞いておこう。テレビ電話の録画で妻を脅していたそうだな」
「今はどうか知らないが、俺の携帯にはそんな録画機能はついていない。
見て楽しんでいると言ったのはその場の成り行きだ」
「しかしお前はそれで妻を脅した」

念の為、妻専用の携帯を処分させます。

「お前に言っておくことが一つある。先日、佳子さんに会わせても
らった。お前は酷い男だな、あんないい奥さんがありながら馬鹿な
事をしたもんだ」
「・・・・・」

「書類は金曜日までに用意しておけ。取りに来る」

佐伯と妻の携帯は同じものです。携帯の取説を読みますと確かにテ
レビ電話の録画機能はついていません。出力端子も付いていませ
ん。携帯ショップでも確認します。テレビ電話の内容を保存出きる
携帯は存在していない事を知ります。

妻の不安材料が一つなくなります。



水遣り61
CR 11/20(火) 14:55:07 No.20071120145507 削除
「此処へ座れ」

私は向かいのソファーを指差します。知りたい事は色々あります。
その中でも佐伯の事をどう思っているのか、これからどうするの
か、その事を一番知りたいのです。

「なあ洋子、お前はさっき、佐伯の事を好きじゃないと言ったよ
な。じゃあどんな気持ちで抱かれたんだ」
「・・・会う前はもう止めようと思っていました。これでもう止めようと」
「会う前って、お前は毎日あいつと顔を会わせるじゃないか」
「いえ、そう言う意味じゃありません。声を掛けられる前はもう止めようと」
「声を聞くと欲しくなるのか、お前は」
「・・・・・」
「パブロフの犬か、お前は」

妻も最初はおずおずしていたのでしょう。その内、薬で快楽を覚え
る内に体が条件反射してしまうようになったのでしょうか。

「あいつを好きか嫌いか聞いているんだ」
「好きではありません」
「じゃっ、嫌いなんだな」
「・・・・・」
「何で返事しない。俺が悪かった。好きではなくて愛しているんだ」
「愛してなんかいません」

又、堂々巡りです。妻も嫌いとは言えないのでしょう。嫌いと言え
ば私に ”なんで嫌いな奴に抱かれたんだ、お前はそんなに淫乱な
のか”と責められるのが妻にも解っているのでしょう。

妻はぼつぼつと話し始めます。きっかけは正社員になって暫く後、
A亭で食事を奢られ帰りの車の中で抱擁された事、初めて抱かれた
のは最初の大阪出張であった事。私にしていない、させていない
行為を佐伯として感じてしまった事。事細かく話します。

「もういい。何を自慢しているんだ。俺を馬鹿にしているのか」

私は何をしているんだと思います。自分で聞いて、妻が答えればそ
れに腹をたて、情けない思いをするのです。別れを切り出せない自
分が情けないのです。しかしもう堂々巡りはご免です。

「洋子、俺たちはもうやっていけないだろう。そう思わないか」
「いやです。別れたくありません」
「さっき解っただろ。俺は立たなかった、お前の汚れたオマンコではな」
「私努力します」
「努力します?どう言う事だ。俺とは努力しなければ出来ないのか」
「間違いました。私、私・・・」

妻も言うべき言葉を見つけられないのです。

「もういい。出て行ってくれ。明子には俺が言っておく」

娘の明子の名前を聞いて、妻はわっと泣き伏します。

「お願いです。出て行けって言わないで下さい」

結婚した当初からもっと強引に妻を抱いていればこんな事にはなら
なくてもすんだかも知れない。私の優柔不断な性格も災いしている
のです。



水遣り60
CR 11/20(火) 14:46:41 No.20071120144641 削除
「服を全部脱げ」
「出来ません」

出来ないのは解っていた事です。無理やり脱がせます。初めは手を
足をばたつかせていましたが、その内に抵抗は止みます。妻の全身
が晒されます。

「洗ってやる」

頭からシャワーを浴びせます。私は手に石鹸を付け妻の全身を洗い
ます。首から肩、肩から胸、特に胸は念入りに洗います。胸を揉む
ように洗います。乳首を摘んで擦ります。もう洗っているのでは
ありません。もうそれは愛撫です。妻の乳首が反応します。

「あぁ貴方、ご免なさい」
「俺は洗っているだけだ。あいつの汚れを落としているんだ。何を
感じているんだ」

妻の背中に回ります。正中線が窪んだ綺麗な背中です。背中をそこ
そこに今度は尻です。盛り上がった双丘を撫ぜ回します。尻の割れ
目に手を滑り込ませ擦り洗います。前に回りこみ足を割ります。石
鹸を一杯に付けた手でめっちゃやたらと擦ります。クリトリスにも
陰唇にも膣口も擦り下げ、擦り上げます。

妻はもう立っていられません。窓の枠を手で掴み、足をがくがく震
わせています。必死に堪えてはいますが、妻の口からは善がり声が
漏れてきます。石鹸の泡をシャワーで落とします。妻の女陰からは
シャワーの水とは別のものが止めども無く流れ出ています。私の物
も妻の膣を求めて猛り狂っています。

「あぁ貴方」

私も、もう妻を責めているのは忘れています。自分のトランクスを
引き下げます。自分の物を妻の膣にあてがいます。あてがう直前、
佐伯の事を思い出します。

『ここにあいつの物が入っていた。妻はそれで善がった。こんなに
爛れてしまった』

私の物に異変が起こります。萎えてしまうのです。みるみる小さく
萎んでしまうのです。欲情は怒りに変わってしまいます。

「何があぁ貴方だ。洗っているだけでこんなに濡らしやがって。相
手が佐伯だと思っているんだろう。何て言う女だ、お前は。こんな
汚れたオマンコに出来るか」

私はバスタオルを妻に投げつけ出て行きます。バスルームに一人取
り残された妻はただ泣いているだけです。

担当医の言葉が浮かびます ”薬の影響は長期間残ります”。薬の
影響が残っているのか、妻が変わってしまったのか。多分その両方
なのでしょう。

暫く泣いていた妻がリビングに入ってきます。その表情は落ち着い
ているようです。



水遣り59
CR 11/20(火) 11:57:07 No.20071120115707 削除
「お前の会社には電話しておいた。お前が体調を崩して10日ほど休
むってな」
「どうしてそんな事を」
「お前は会社にまだ行くつもりなのか?どんな顔して行くんだ?こ
の事は一部の人しか知らないだろうが、社長以下トップの人は知っ
ている筈だ」
「何故そこまで」
「俺が言ったわけじゃない。佐伯は別件でも調べられていた。相当
数の女と関係していたようだし、取引関係とも色々あったそうだ。
あいつがどう処分されるのかは知らないがな」

女関係、取引関係の事をかいつまんで話してやります。妻は驚いて
います。落ちぶれるであろう佐伯の元に妻は二度とは行く事もない
だろうと、私の言葉はどんどん激してきます。

「お前の愛しい人を慰めに言ってやったらどうだ」
「愛しい人だなんて、そんな風には思っていません」
「よく言うな、お前は。愛しくなくて50回も60回もよく出きるな。
お前はただの淫乱女か」
「・・・・・」

「自分のオマンコを見た事があるのか」

私は手鏡を妻にぶつけるように放り投げます。

「それで眺めてみたらどうなんだ」

勿論、妻は見れる訳はありません。

「私、私知っていました。醜くなっているのを知っていました」
「知っていた?それでも止めなかったのか?そんなにあいつが良か
ったのか?」
「違います。好きではなかった。でも私の体が・・・」
「お前の体が求めたのか?同じ事だ」
「違います。でも寂しかった」
「何が寂しいだ。馬鹿かお前は。俺には出来なくっても、あいつに
は出来たんだろうが」
「貴方は私を抱いてくれない。いつも途中で止めてしまう」
「お前が許さなかったんじゃないか。触ってもだめ、舐めさせるの
は嫌、俺のを咥えるのはもっと嫌。全てお前が嫌がったんだ」
「私、貴方にそんな女だと思われるのが怖かったの。淫乱な女だと
思われるのが、怖かったの。もっと強引にして欲しかった」
「お前も勝手な事をよく言うな。好きな佐伯には出来たんだろうが」
「違います、好きではなかった」
「もういい。堂々巡りだ」

「結婚してからずっと思っていました。貴方はずっと遅かった。貴
方には外に女がいるって。それで私には冷たいんだって」
「外に女が居る?俺が冷たい?仕事で遅かったんだろうが。何処を
どう探せばそんな言葉が出てくるんだ。そりゃあ俺だって男だ。そ
れむきの女を抱いた事はある、台湾、中国で紹介された女を抱いた
事もある。それだけの事だ。お前みたいに不倫なんかした事はな
い。そう思ったんなら、どうして俺に聞かなかった」

”どうして俺に聞かなかった”

そう言った時、私自身も妻に聞けなかった事を思い出します。妻が
佐伯にA亭で食事を奢られ帰宅してバスルームで自慰をして、その
残り香を私が嗅いだ時。初めての大阪出張から帰った時。その後も
妻の異変に気づいてはいたのです。聞く機会はいくらでもあったの
です。私と妻は同じ種類の人間だったのです。

「佐伯から貴方と松下さんの写真を見せられた時、やっぱりと思っ
てしまったんです」
「それはお前の言い訳だ。佐伯に抱かれたいからそう思っただけだ」
「違います。以前から何度も何度も誘われました。ずっと断っていました」
「嘘をつけ。あいつは一度目からオッパイを触らせた、唾を飲ませ
たと言っていた」
「でも、でも最後までは」
「同じ事だ」
「御免なさい・・・、こんな私の体、壊してください」

妻は泣きじゃくりながら、走って体を壁にぶつけます。自分の拳
で、自分の顔を、乳房を、腰を打つのです。思わず妻を抱きとめます。

妻の言っている事が本当なのか言い訳なのか解りません。本当だと
すれば妻は20年間以上もそんな思いを抱いていたのです。

「こっちへ来い」

妻をバスルームに連れて行きます。



水遣り58
CR 11/20(火) 11:48:57 No.20071120114857 削除
病室に行きますと妻は退院の支度を済ませ椅子に腰を掛け窓から外
を眺めています。顔色はこの前見た時より少し赤味がさし、表情も
戻ってきているようです。

「迎えに来た」
「貴方、御免なさい」

妻は ”ご免なさい”以外の言葉を忘れてしまったように只一つこ
の言葉だけを何度も繰り返します。

『まあいい。話は家に落ち着いてからだ』

家に着きます。妻の入院中の荷物の整理も大したものではありませ
ん。ものの20分もあれば片付きます。妻がお茶を入れようとします。

「俺は要らない。ペットボトルが冷蔵庫にある。お前が飲みたきゃ
自分の分だけ入れろ」

妻の前ではどんどん嫌味な人間になってしまいます。

「聞きたい事が山ほどある。一つ一つ聞くから全て正直に答えてくれ」
「・・・・・」
「どうした。返事がないな。聞いているのか」
「聞いています」
「よし。佐伯とはいつからだ?初めて抱かれたのはいつだ?奴との
きっかけは何だ?」
「・・・・・」

暫く返事を待っていても妻は黙ったままです。答えられないのは解
っています。解っていても責めるのです。

「答えられないのか。お前の大好きな佐伯が初めて抱いてくれた日
を忘れたのか。大阪に初めて出張した日だろうが」
「・・・・・」
「違うのか。言ってみろ」

妻は黙っています。

「お前はこの4カ月で出張は30回以上してるな。その出張殆どに佐
伯が絡んでいる事は解っている。出張の他にもあるよな。お前たち
は新婚夫婦もびっくりする位愛し合ってるんだな」
「・・・・・」
「俺の事はすっかり忘れたか?佐伯にそんなに夢中か?」

「お前たちはどんな事をしていたんだ。俺には出来ない事もしてい
たんだろう。俺にはさせない事もさせていたんだろう」

答えられようも無い事ばかり聞いています。返事が無い事に腹を立
てています。返事があれば、あったで又腹が立つのでしょう。妻を
甚振る為だけに聞いているのです。黙って泣いているばかりの妻に
手を上げてします。頭を思いきり叩きます。妻はよろけて倒れま
す。倒れてうつ伏せになって泣き崩れています。一つの甚振りの
言葉か次の甚振りを呼びます。一度叩けばそれは二度、三度になっ
てしまいます。人は自分の言葉、行動に尚更激してしまうのです。

どんどん激していくのが解ります。話し合いの事はもう忘れていま
す。妻を責める、甚振る事が只一つの目的になってしまいます。



コンプレックス4
高橋 11/19(月) 14:08:51 No.20071119140851 削除
妻も相当アルコールが回っているのか、足元が覚束無い様子で半ば倒れ込むようにソファーに腰を下ろした。私は二人の対面に寝かされており、目を開けるとテーブル下の空間を通して妻とジェイクの下半身が見えてくる。気を抜けば意識を失いそうになる泥酔状態の中、私は何とか二人の会話に耳を傾けていた。「奥さん、それでは改めて乾杯しませんか?」「すいません…。私、かなり酔っ払っているようです。この辺でもう止めておこうかと…」「じゃあ、この一杯を飲んだら少し休憩すればいい。さあ、グラスを持って!」「では…もう一杯だけ頂きます…」10秒後、飲み干したグラスをテーブルに置く音が聞こえた。「ハァ…もう…飲めません…。こんなに飲んだのは…」「久しぶり?」「は…い。なんか…久々に羽目外してる感じで…楽しいです…」「それは嬉しいな。そうだ、こういう所で踊ったことは?」「いや…ありません」「よし!じゃあ、踊ろう!」「いや…だから…踊ったことないので分かりません」「大丈夫、教えるから」ジェイクは立ち上がり、妻の手を強引に引き寄せた。妻は一瞬困ったように私を見たが、私に意識があることに気付かず、フラフラと立ち上がりジェイクの誘導に従った。店の中央、他の客が踊っている一帯に妻を立たせると、ジェイクは少し待っててという合図をし、テーブルに戻ってきた。私の顔を覗き込むと小さな声で「君が寝た振りしてるのは知ってる。今から君のワイフと踊る。盗み見してもいいが、感情的になって邪魔したりするな」と耳打ちすると妻の元に戻って行った。正確な距離はわからないが、私から約10mくらいのところに二人が立っている。ジェイクは他のカップルの踊りを見せながら、妻に身振り手振りで色々と教えている。2、3分ジェイクの説明に耳を傾けていた妻が、ジェイクに肩をポンと叩かれると同時に、ゆっくりと体を動かし始めた。店内は薄暗く、スローテンポで淫靡な雰囲気の音楽が流れている。最初は小さな動きで恥ずかしそうに踊っていた妻も、次第に羞恥心が解けてきたのか、段々と動きが大きくなってきた。ジェイクがおどけたような素振りで盛り上げるたび、妻は楽しそうに笑顔で応じている。ソファーでそれを見ている私は、妻が遠くに行ってしまったような錯覚に囚われていた。客観的に見て、私がジェイクに勝てる要素など何一つない。独身時代、もし私とジェイクが同時に妻の前に現れていたら、それでも妻は私を選んでくれたか?金、地位、外見、全てにおいて私に勝る彼を選ばない理由など存在するのか?そんな自分を卑下するような疑問がグルグルと頭を駆け巡り、今すぐ妻を連れて帰りたい気持ちになった。ちょうどその時、曲が止まった。次いで即座に流れてきたのは、頭にガンガン響き渡るハイテンションな曲だ。踊っていた客の動きは一様に激しくなる。様相の変化に戸惑う妻は、ぎこちなく周囲のペースに合わせて踊り始める。ジェイクは雄たけびを発し、妻を見つめながら背後に回り込んだ。そして、両手で妻のわき腹を抱えると、彼が卑猥な表現に使っていた妻の大きな尻に自らの腰を押し付けた。驚いた妻が振り返るが、全く躊躇なく妻の尻に密着させた股間を激しく動かし始めた。周囲の客には、激しくキスを貪り合う者や互いの股間を擦り合う者など、踊りなのかセックスの一部なのか境界が危うくなってきているカップルも居る。妻は羞恥の表情を浮かべながら、周囲のカップルと背後のジェイクに交互に視線を投げていたが、程無くして、ジェイクの腰の動きに合わせて、尻を動かし始めた。私は妻の淫猥な姿を目の当たりにし、全身の血管が爆発しそうなぐらい心臓が激しく鼓動した。嫉妬からか、怒りからか、興奮で全身が武者震いしている。と同時に、何故かペニスが狂ったように勃起し、手で擦らざるを得ない衝動に駆られている。私が自らの被虐的マゾ症に気付いた瞬間であった。





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水遣り57
CR 11/19(月) 12:14:12 No.20071119121412 削除
火曜日の夕刻、所長から電話があります。

「今日午前中に報告書を依頼人に渡した。控えを君にも渡そう」

5時になり所長の所に伺います。

「取引関係の方はここで見るだけにして欲しい。君に了解を貰わな
いで悪かったが、奥さんの事も報告書に入っている。これだけを外
す訳にはいかなった」
「解っています。問題ありません」
「佐伯を会社としてどうするか正式処分がでるまで、まだ時間が掛
かるだろう。特に取引関係は会社としての裏付け調査も必要な事だ
しな。それまでは佐伯を今まで通り出社させるようだ」

私にも2冊の控えをくれます。身辺調査には興味はありません。も
う一冊の取引関係の報告書を見ます。表紙に何々殿と依頼人の名前
が書かれています。やはりそうです、佐伯の会社です。社長である
叔父が依頼したのです。佐伯は長く関西地区の購買総責任者を勤め
ています。業者から長年に渡り金銭の供与があったのです、それも
大阪センターの建設が決まってからその金額は飛躍的に伸びています。

「多少の金額なら会社も目を瞑ったのだろう。この金額は目を瞑れ
る金額では無い。あの社長は温情派だ。刑事告訴はしまい。またそ
れは影響が大きすぎる。最大で佐伯の馘首。しかしそれも無いだろ
う。どこか佐伯の息の掛かっていない関連会社に職を見つける事に
なるだろう。勿論、専務の妹との結婚話はなくなるな」
「しかし、そんな調査が民間で良く出来たものだ」
「私は検察上がりだ。悪事を叩く時にはコネが使える。彼らも自分
達の組織だけでは拾いきれない情報もある。民間に協力者を欲しが
っている。私がその一人と言うわけだ。彼らが刑事事件になると思
えば彼らがやるだろうし、そうでなければ情報だけくれる。今回は
情報だけくれたと言う訳だ。その後、刑事告訴するかどうかは会社
の判断だ」
「そうですか、それにしても会社内での佐伯の処遇をどうして山岡
さんはそんなに詳しく?」
「あそこの社長は大学の後輩だ。今も酒飲み友達だ」
「そうだったのですか」

これでは私の出る幕はありません。私だけの材料では精々慰謝料が
関の山でしょう 悔しいですが、反面胸のつかえも降りるのです。

「今度は君の番だ。奥さんとはどうするんだね?」
「妻は今入院中です。今は何も話せません」
「何も話していないのかね?」
「入院する前に報告書を見せただけです。入院してからは何も」
「優しいんだな君は」
「いや、そうじゃない。自分の気持ちがまだ決まっていない」
「退院したら早く話し合った方がいい。遅くなればそれだけ怒りが
増幅してしまう」

家に帰った私は女性関係を含めた身上調査を読みます。複数の女性
と関係を持っていたようです。専務の妹と結婚話が出てからは清算
され関係はありません。佐伯が警戒しての事でしょう。妻との事も
書かれています。妻との関係だけが続いています。妻に余程執着が
あったのか、それとも妻は佐伯にとって便利のいい女だったのか。

水曜日、妻を迎えに病院に行きます。担当医と話します。

「ご主人、奥さんの心の中は後悔とご主人への懺悔の気持ちで一杯
です。それと・・・」

担当医は言いにくそうにしています。

「それと何ですか。言って下さい」
「相手の事がほんの少しですが、心の中に残っています。多分与え
られた快感のせいだと思います」
「余計な事は言わなくてもいい」

自分が聞いてその答えに怒っています。

「それともう一つ。奥さんは関連する言葉、態度一つで性衝動が起
きます。薬と行為の激しさの残影響だと思います。相当以前からこ
う言う状態だった筈です」

医者は事務的に言っているだけです。言葉を選んではいるのでしょ
うが、佐伯との行為の激しさが目に浮かび、私を叩きます。

「時間が解決してくれる筈です。それから当分の間は控えてください」
「何を?」
「つまり、あれです。性交です」
「そんなもの、するわけがない」

担当医にまで馬鹿にされているようです。怒りが湧いてきます。こ
の分なら妻に言いたい事も言えるかもしれません。



水遣り56
CR 11/18(日) 09:32:14 No.20071118093214 削除
担当医に呼び止められます。

「宮下さん、心療内科はどうされますか?」
「入院の必要があるのですか?」
「今の状態を含めて後3日必要です。その後は通院になります」
「水曜日の退院と言う事ですね?」
「そうです」
「お願いします」
「奥さんは起きられています。会われますか?」
「会っていきます。何号室ですか」
「案内します」

随分妻を見ていない気がしますが、入院してからまだ2日しか経っ
ていません。顔が青白く、若干頬もこけたようです。上掛けに覆わ
れた体も細くなったようです。

「あ、貴方。御免なさい、許して下さい」

只、泣くばかりです。後は言葉になりません。

言いたい事、聞きたい事が山ほどあります。死ぬほど妻を言葉で責
めてやりたいのです。それが出来ないのです。じっと妻を見つめます。

「飯は食べられるのか?」
「はい、食べています」

相手が病人だと思うとこんな言葉しか出てきません。

『早く元気になれ。俺に何か反論しろ、言い訳しろ。佐伯の方が良
かったと言え』

心の中で毒づいています。妻が反論すれば私は言い返せるのです。
言いたい事が言えるのです。妻を眺めているだけではしょうがあり
ません。

「これで帰る。来れれば又来る」

背中に妻の痛いほどの視線を感じながら帰ります。

日曜日は何ほどの事もなく過ぎます。

月曜日、出社しますと松下さんが既にお茶の用意をしています。

「社長、お早う御座います。はい朝御飯」

私の目を真っ直ぐにみて言うのです。私の方が目を逸らしてしまい
ます。味噌汁とお握りを頂きます。

「ここに今日の予定があります。書類は纏めておきました」

小さな会社です。予定を作るほどの事もありません。書類も自分で
纏められます。

「僕の仕事を取らないで欲しい。する事がなくなる」
「社長は人と会うと言う大事な仕事があります。そっちにエネルギ
ーを使って下さい」

その通りです。特別な技術も無く会社を切り回すには人と人との繋
がりしかないのです。信頼関係を構築するには膨大な時間が必要で
す。しかし壊れるのは一瞬です。小さな隙間からあっと言う間に崩
れてしまいます。夫婦のそれもしかりです。



水遣り55
CR 11/17(土) 21:10:37 No.20071117211037 削除
自分の思いを聞いてもらうとある程度気持ちが治まります。まだ3
時、決心がつかぬまま佐伯のマンションへと向かいます。途中電話
をします。

「宮下だ。居るようだな。今から行く」

豪華なマンションです。この近郊一番と言って良いでしょう。金回
りの良いのが解ります。玄関を開けた時から佐伯の態度は卑屈です。

「大会社の常務ともなると、さすがいい所に住んでるんだな」
「ご主人、本当に申し訳ない。ほんの出来心で、洋子と、いや奥さ
んと気が合ってしまって」
「何が出来心だ、何が気が合っただ。人の女房を名前で呼ぶな」
「すまん。しかしあれが初めてだったんだ。月曜日が初めてだったんだ」

佐伯は足掻きます。

「違うな。妻から聞いた。初めて大阪に出張した時から続いていたんだな」
「いや、違う」
「いい加減に認めたらどうなんだ」
「・・・・・」
「どうする。民事告訴してもいいぞ。弁護士を立てるか」
「慰謝料を払ってもいい」
「払ってもいいとはどう言う事なんだ。俺は慰謝料で済ませる積も
りは無い」

この時、佐伯は身辺調査の事は知りません。専務の妹との婚姻がそ
のまま進むものだと思っているのです。出来るだけ穏便に済ませた
い、慰謝料で済ませたいと思っているのです。

「妻は今入院している。お前のお陰でな。酷い体にしてくれたな。
頭も体もぼろぼろだ。今は眠りっぱなしだ。告訴する時は医者の診
断書も添える。覚悟しておくんだな」

こんな事で民事告訴出切るかどうかは知りません。出来たとしても
妻の診断書まで世間に晒す訳にはいきません、妻をそこまでは引き
ずり出せません。

私が強く出ると佐伯の態度が変わります。

「洋子は食事に誘っただけで、俺の唾を飲んだぞ。よほど飢えるて
いたんだな」
「うるさい。かたをつけてやる」

『佐伯には言いたい事と言った。何れ片がつくだろう。問題は妻だ』

妻の入院中には話せません。退院してからにしようと思います。妻
ももう目が覚めた頃でしょう。妻に会ってみる事にします。



水遣り54
CR  11/17(土) 21:06:33 No.20071117210633 削除
その報告は衝撃的な物です。

「失礼だとは思いましたが、奥さんの陰部、肛門とそれから乳房を
検査しました」

女陰には、クリトリス、陰唇、膣口と膣のの中に至るまで、そして
乳首に大量で強力な媚薬を塗布された形跡があると言うのです。皮
膚から相当量の残留成分が検出されたのです。しかも皮膚から血液
の中に溶け出しているだろうと。普通の性交では皮膚まで破ける筈
はありません。肛門からは何も検出されません。

「聞きたく無い事を言わなければいけません。皮膚にこれだけの成
分を残すには、相当長期間に渡り、大量に常用する事が必要です。
皮膚の糜爛、傷もしかりです。奥さんの皮膚は普通の成人女性に比
べ相当薄いようです。玩具を使っていないとすれば、相手の男根は
普通では無いと考えられます」
「普通では無い?」
「そうです。真珠を埋め込んでいるとか、シリコンで成形している
とかです」

中条さんの言葉を思い出します。 ”大人のオモチャのようにゴツ
ゴツしたグロテスクな物だった。こんな恐ろしい物、おぞましい
物”

「相手の男は増大手術をしています」
「やはりそうですか」

「奥さんは精神的にも相当弱られています。ご主人のご了解を頂け
れば心療内科の方でケアをしたいと思っています」
「心療内科?それで妻は今?」
「麻酔でまだ眠られています。あと3時間位は目が覚めないと思い
ます」
「心療内科の件は考えておきます。先生一つ教えて下さい。薬の影
響が無くなるにはどれ位の期間が必要ですか?」
「これ程の例は見た事がありません。正直なところ解りません。一
週間なのか、一ヶ月なのか。目が覚めればお話になってあげませんか?」
「いや、今私から出る言葉は矢のような事しかありません。会うつ
もりはありません」
「そうですか。その方がいいかも知れませんね」

本当は妻には言いたい事、聞きたい事、一杯あります。妻がこんな
状態では言う事が出来ません。ジレンマに陥ります。

それにしても憎いのは佐伯です。私の手で社会的に葬ってやりた
い。しかし所長の話では私が手を下さずとも、もう一人の依頼の結
果で社会的立場が無くなってしまうのです。それが悔しいのです。
私は私の材料で佐伯を潰したいのです。私の足は自然と所長の所に
向かいます。

「病院に行って来ました」
「奥さんの様子は?」
「眠っています」

病院での検査結果を話します。

「酷いもんだ。それでは未だ奥さんと話していないんだね?」
「ええ、未だです。暫くは話せません」
「そうだな」
「佐伯を潰す方法が見つからない。私でなくとも、もう一つの方で
勝手に潰れてしまう。自分の手で潰したかった」
「あんな男は誰が潰してもいい。君のその気持ちを佐伯にぶつけれ
ばいい。奴のダメージは倍増する」



コンプレックスB
高橋 11/17(土) 00:30:25 No.20071117003025 削除
週末で人通りのにぎわう道路から一本奥に入り、自宅へと電話する。3コール目で妻が電話を取った。「もしもし、俺だよ」「あれ?どうしたの?」「ああ、上司と飲んでて…」「最近にしては珍しいね」「今から来てくれないか?上司がどうしても俺の家族に挨拶したいって言うんだ」「ええ!?断れないの?」「ああ、頑固なんだ」「仕方ないね…これもあなたのためだしね。わかったわ。今から用意して行くね」私は現在地とタクシーを利用して良いことを告げ、電話を切った。パブに戻り妻が来ることを話すと、ジェイクがパチッと指を鳴らしビールを飲み干した。1時間後、妻が到着したことを示す着信音がした。「店を変えよう」ジェイクが飲食代を精算し、パブを後にした。道に出て少し歩くと妻が待機するタクシーを見つけた。妻は小走りで近寄る私に気付くと、タクシーを降り笑顔で手を振った。蒸し暑い夏の夜。夫の上司に会うことから精一杯の正装をしたのか。ベージュのスカートに白のポロシャツを合わせ、小奇麗な姿をしている。「ちょっと遅くなったかな?これでも急いで支度して来たんだけど…」「いや、大丈夫。急な無理言ってスマンな」「それより上司の方は?」「ああ、あの人だよ?」10メートル先をこちらに向かって来ているジェークの方を見た。「え?若い外人さんに居ないよ?」よく考えてみれば、同じ年齢の上司に仕えていることに男としての情けなさを感じ、ここ最近職場の人間関係について妻に何も話していなかった。「ああ、あの人だよ。ジェークさんって言うんだ」呆気に取られる妻の目の前にジェークが歩み寄ると、妻は気恥ずかしそうに頭を下げた。「主人がいつもお世話になっています。妻の綾子と言います。宜しくお願いします」「こちらこそ」ジェークは笑みを浮かべると、いきなり妻の右手を取り握手した。「では、タクシーにもう一度乗って下さい。少し移動します。綾子さん、どうぞ」そう言うと後部座席に誘導した。「いえ、私は助手席で結構です」「いえいえ、レディーファーストですから」妻は申し訳なさそうに一礼し、奥に乗り込む。当然ながら、妻の横には上司たるジャークが座る。私は妻の前で末席である助手席に座ることがとても屈辱に感じた。しかし、これが私にとって確固たる現実であった。行き先を指示されたタクシーは3人を乗せて出発した。5分程車を走らせると、大通りから離れた雑居ビルの前で停車した。料金メーターはかなりの金額に達しているがジェイクがカードで支払う。タクシーを降りてから少し歩くとビル脇の階段を下りた。入口には黒服の外国人が二人立っていたが、ジェイクがカードを提示すると静かに扉を開けた。どうやら高級な外国人をターゲットにした会員制のクラブみたいだ。妻は好奇心と不安の入り混じった複雑な表情で私を見た。ボーイに先導され奥に入ると薄暗い紫色の照明のもと、ある者は音楽に合わせて踊り、ある者は酒を飲み、ある者は会話に花を咲かせている。角のソファーを案内されると、ジェイクに促され、タクシーと同じ順番で腰を下ろした。ジェイクは英語で書かれたメニュー表を妻に差し出した。「好きな物を好きなだけ頼んで下さい。あなたにお会い出来て嬉しいです」妻は照れ臭そうに返事する。「いえ、お気遣いなく。私はお料理を取り分けたり、お酒を作ったりしますので」「大丈夫。そんなことはスタッフにやらせればいい。奥さんはゆっくりこの場を楽しんで下さい。じゃあ私が適当に頼みますね」そういうとジェイクはボーイを呼び次々と料理やお酒を注文した。「奥さん、お酒は飲めますか?」「はい、多少なら」「それは良かった。明日は休日です。今夜は三人で飲み明かしましょう!」出てきて酒は最初からテキーラだった。妻も下戸ではないがそこまで酒に強くない。それが緊張を解きほぐそうと考えたのか、ジェイクの勧めるままにグラスを空けている。会話はジェイクの母国アメリカの話がメインだが、妻も楽しそうに聞いている。私は私で二人の会話に時折入りながら杯を仰いでいた。しかし一軒目から飲み通しで、この時すでに目の前の妻がグラグラ揺れていた。妻が手洗いに立つとジェイクが私の横に移動してきた。「高橋さん、驚いたよ。とても素敵なワイフじゃないか?肌は綺麗だし、笑顔も可愛らしい」この辺から急速に酔いが回り、返事しようにも言葉にならない。「さぞかし男に人気があったんだろ?私の直感だが相当なセックス好きだろう?あの尻のデカさと言い、蒸せ返るような雌の臭いと言い、淫乱女の要素だらけだ」妻を卑猥に表現するジェイクの暴言に激しく怒りを覚えるが、意識が朦朧として何も出来ない。「これくらいのアルコールで情けない。そこで暫く寝た振りでもしてたらどうだい?いや、本当に寝てもいいよ?」私はジェイクが呼んだ二人のボーイに引きずられ向かいのソファーに寝かされた。暫くして妻が戻って来た。ソファーに倒れている私を見て妻が驚いた。「あなた!大丈夫?」ジェイクが即座に口を挟む。「奥さん、大丈夫です。高橋さんは少しお疲れのようだ。回復するまでそっとしておいて下さい。さあ、飲みましょう」妻は不安そうに私を眺めた後、私の頭を2、3回擦り、ジェイクの隣に戻った。



コンプレックスA
高橋 11/17(土) 00:27:47 No.20071117002747 削除
ジェイクの誘導で3分ほど歩くと、いわゆるイングリッシュ・パブに到着した。店内は身なりの良い外国人が8割程を占め、それ以外の2割はほぼ日本人女性であった。テーブルにつくとジェイクが外国人のボーイにビールとつまみを注文した。ほどなくしてビールが運ばれてくると、二人で乾杯し、乾いた喉を潤した。「今日は仕事の話は一切無しだ。それよりお互いのことをもっとよく知ろう」その後、お互いの出生から生い立ち、また日常の趣味などプライベートなことについて色々と語り合った。会社では厳しい表情でズバズバと指示を出す彼も、この時はユーモアも多く優しい表情を浮かべていた。私も久々の酒でかなりペースが上がっていたが、その1.5倍の速さで杯を仰いでいるジェークもかなり酔っていた。そんな中、別テーブルで飲んでいた二人組みの日本人女性客がグラスを片手に席を立つと、私達の目の前にきておもむろに語りかけてきた。「一緒に飲んでいいですか?」お目当てはジェークだろうが、久々に妻以外の女性と飲めると思い、内心喜んだ。しかし、ジェークは意外な反応を見せた。「今日は友人と楽しく飲んでいる。君達には悪いが、別の相手を探したらどうだい?」女性達は少し怒ったような表情を浮かべ、無言で去って行った。私の口から今にも発せられそうな何故?という言葉に先んじて、ジェイクが私に語りかけた。「ここには女性を探しに来ている訳ではない。女性の方はそうじゃないみたいだがね。仕事もそうだが、私は常にスリルを求めている。餌に喰らいつくため釣堀に飛び込んで来た魚に、釣れるとわかってて釣り糸を垂らしても面白くないだろ?」今まで外見を気にしたことはなかったが、改めて意識すると彼は物凄い二枚目だった。その上、背は私より10cmは高く、スラッとした筋肉質で、まるで紳士服の広告モデルのようだ。金、外見、社会的地位…どれを取っても私の完敗である。それを更に際立たせるのは、彼が私と同じ年齢であることだ。酒の酔いもあって、生まれて初めて痛感する劣等感に気分を引きずり込まれそうになった時、彼が本気とも冗談とも取れぬ口調でこう言った。「君は結婚していると言ったな?さっき言った私が求めているスリルとは…そうだな…、例えば君のワイフのように倫理上、手に入れてはならないものを自分のものにすることだ」私はカーッと頭に血が上り、強い口調で言い返した。「妻をさっきの女達と同じ視線で見ないで下さい!あんな軽い女とは違います!」「本当にそう思うかい?君のワイフも女であることに変わりは無い。女はレズなど一部の例外を除き、みんな男好きでプッシー好きさ。さっきの女達と違うのは、結婚、つまり操を守らなければならない大義名分が有るか無いかの違いさ」酔いで自分を制御できない。いや、劣等感があらぬ方向へアクセルを踏んでいるようだ。「あなたは確かに有能だし、色々な企業買収を実行してきたのでしょう。でも、それは金の力だ!妻は金じゃ買えない!」「そこまで言うのなら、私と勝負しないか?ただのギャンブルさ。君はワイフをベットする。私が勝てば当然ワイフは没収…」「私が勝ったら!?」「あわてるなよ…そうだね…私財から君のボーナス相当額を10年分払うよ」「金なんか要らない!」「では、君は何が望みなんだい?」「土下座して私に謝って下さい!」「そんなことでいいのか?わかった、土下座もするし、金も払うさ。期間は今日から3ヶ月もらうよ」「わかりました!今日は酔ったので帰ります!」「勝負するんだね?」「だから、わかりましたって言ったでしょう?」「じゃあ、今から呼んでくれないか?」「えっ?」「このギャンブルの主催者は私だ。それに君がベットした。私が定めるルールに従って欲しいな。まだ20時だ。ここまでタクシーで来てもらっていいから。勿論、金は私が払う」私は携帯を片手に千鳥足で店の外に出た。



コンプレックス@
高橋 11/17(土) 00:24:05 No.20071117002405 削除
コンプレックス―劣等感。人間の客観的な価値を決める要素には様々なものがある。例えば金・外見・社会的地位・血筋など。私は今年で36歳になるのだが、今まで特に劣等感を抱くことなく生きてきた。ある程度の学歴を経て、ある程度の会社に属し、ある程度の収入を得ている。また、外見で卑屈な感情を抱いたことも無い。私よりモテる男も沢山いるだろうが、私よりモテない男も沢山いるだろう。6年前に職業結婚した。当時の独身者の中では私が目にとまったのだろうか、会社でも一、二を争っていた女性社員に思いもよらず告白され、そのまま結婚した。それが妻、綾子である。綾子は私の三つ下(33歳)で、外見は夫の私から見てもなかなかのものだと思う。独身時代は社内・社外を問わず、頻繁に男に声をかけられていたようだ。実は私の同僚にも気に入っている者は結構居たのだが、たまたま妻にとっては私が好みだったのだろう。結婚後は特に大きな問題もなく、それなりに幸せな生活を送ってきた。子宝には恵まれないが、妻は家事に専念し十分に私をサポートしてくれた。いつかは子供もでき、マイホームを手に入れ、幸せな内に年老いて行く。そんな未来を漠然と抱いていた。転機は一年前に突然訪れた。私の勤務する会社が、外資系企業に吸収合併された。中小企業だが、業績は極めて堅調だった。唯一の問題は一族経営の会社というところにあった。たまたまこの分野で日本への進出を狙う巨大な外国資本と、水面下で協議をしてきた創業家の利害関係が一致し、私達社員が一生懸命築いてきた伝統は、一瞬にして売り飛ばされたのだ。創業家は巨額の富を手に入れた代わりに経営から退き、トップは勿論、幹部の多くも外国人に取って代わった。人件費も含め、徹底した合理性を追求する経営戦略の下で、多くの古参社員は早期退職を迫られる一方、私のようなある程度の知見と体力を備えた30代の社員は重宝された。買収前は、私の直属の上司には50代前半の部長と40代後半の課長がいたのだが、中間管理職のポストを廃止したことに伴い、一ヶ月後には私と同年齢のジェイクというアメリカ人に代わった。ジェイクが着任した際に発した一声は「勤務中は私を信頼し、私の指示どおり動くように。反論は許さない。ただし、仕事が終われば私達は友人であり、ファミリーだ」であった。ジェイクはアメリカでも有数の大学を卒業後、金融界に身を投じ、主に企業買収を携わってきた。その後、取引先であった今回の買収企業にその有能さを買われ、従前の3倍のサラリーでヘッドハンティングされた。彼の下で働いてみると、確かに仕事は出来た。兎に角、頭の回転が速く、判断も早い。今まで分厚い資料を作成し、課長、部長と稟議を経るのに3日間かかっていた案件が、1日で終わる。私はまもなくジェイクに対して敬意と羨望のまなざしを向けるようになっていた。ある週末、私が帰り支度を始めているとジェイクが声をかけてきた。「たまには1杯飲みに行こう。色々と話をしたい。どうだい?」私もサラリーマンだ。上司の誘いを断る習慣は身に付けてはいない。「ええ、是非行きましょう!」1時間後にはタクシーで繁華街に乗り付けていた。





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水遣り53
CR 11/16(金) 18:05:07 No.20071116180507 削除
「身分不相応な所に住んでいると思っているんでしょう?」
「いや、そんな事は無い」
「私、両親を早く亡くしたの」

ご両親が早く亡くなり、結構な財産を一人娘の松下さんに遺したの
です。松下さんが成人するまで親戚の方が預かり、成人するの待っ
て、その一部でマンションを買ったのです。

「そうなのか。苦労したんだ。それでそんなに強いんだ」
「強くありません。強いなんて言わないで下さい。それを聞いて女
は喜びません」
「ご免、そんな積もりで言ったんじゃない」
「こんな歳まで女一人で不思議だと思っているんでしょう」
「うーん、まあ君のような綺麗な人がとは思う」
「私も色々ありました。結婚を考えた人も居ました。でも一人暮ら
しが長いとついつい慎重になっちゃって。この部屋に入った男の人
は社長が始めて。もう結婚は考えない事にしました」
「君がその気になりさえすれば、相応しい相手はいくらでもいるさ」

取り止めの無い世間話をしています 妻の話題は松下さんも避けて
いるのが解ります。話題があって来たのではありません、話が途切
れます。松下さんは酒の世話をやいてくれます。摘みを取りに、チ
ェイサーを取替えにキッチンに何度もリビングと行き交います。私
の目は自然と尻を追っています。歩を進めるたびにそれは上に、下
に、右に、左に揺れ動くのです。スカートの上からショーツの線が
見えています。チェイサーを取替える時、私の肩越しに腕が伸びま
す。薄いセーターのV−ネックから胸の谷間が覗けます。うなじが
目の前に現れ、女の匂いが鼻腔を擽ります。4ヶ月以上も妻を抱い
ていないのです、

『松下さんを抱きたい』

衝動が突き抜けます。と同時に別の思いが掠めます。佐伯、妻との
決着はついていません。しかも妻は入院中です。ここで松下さんを
抱くわけにはいきません。松下さんをも汚してしまう事になります。

「松下さん、急に思い出した事がある。病院に妻のものを届けなけ
ればいけない。ご免、これで帰る」

勝手な男です。突然来て、突然帰ります。松下さんがその気になっ
ていたのかは解りませんが、傷をつけてしまった事は確かです。

松下さんは私の嘘を見抜いていたのでしょう。

「奥さんをお大事に」

これで考えなければならない事が3つに増えました。妻の事、佐伯
の事そして松下さんの事。しかし私の生き方は ”すべて水のよう
に”です。酒を煽って酔いつぶれて寝る事にします。酒を飲みだす
と松下さんの姿態が目に浮かびます。打ち消すように酒を煽ります。

酔いつぶれて寝て翌朝起きたのが11時です。シャワーを浴びてがん
がんする頭を押さえて病院へ急ぎます。 

「事後ですが、ご主人この書類にサインを頂けますか?」

担当医が書類を出します。今朝、私と連絡が取れなかったので、事
後になって申し訳ないと一言添えます。私が酔いつぶれて家の電話
にも、携帯の着信にも気がつかなかったのです。妻に麻酔を施した
と、その了解が欲しいと書かれています。

「奥さんに了解を求めてもそれは無理でしょう。私の判断で麻酔を
する事にしました」
「結構です。問題ありません」

サインを済ませ、担当医の説明を聞きます。



水遣り52
CR 11/15(木) 16:57:27 No.20071115165727 削除
担当医と話します。

「ご主人、奥さんは相当弱られています。断り無く血液検査をしま
した。ご主人、少しは控えて頂かないと」
「は?どう言う事ですか」

私には言われている意味が解りません。

「つまりですね、薬を使うのを程々にして欲しいと。求めるのは解
りますが」

血液検査の結果、ピルの常用、経口催淫剤の大量常用が残留成分と
して検出されたのです。特に経口催淫剤の量は限界を遥かに超えた
量だそうです。その影響は長く持続する可能性があるそうです。し
かたありません、事実を話すしかありません。第三者に話したくは
なかったのですが妻の不倫の事を話します。勿論相手の名前は伏せ
たままです。 

「そうですか、失礼な事を言いました」

もう一つ気になる事があります、妻の女陰の事です。

「先生、実は妻のあの部分に媚薬を塗られていた可能性があります」
「その部分を見て欲しいと」
「お願いします」
「解りました。今直ぐには手配出来ません、明日朝見る事にします」

「ご主人、お名前は圭一さんですね」
「そうですが、それが何か」
「奥さんが何度も何度も ”圭一さん、御免なさい”とうわ言で繰
り返しています」
「・・・・・」
「話掛けてあげればと思いまして」
「いや、余計なお世話だ」

結果は明日聞きに来る旨言って病院を辞します。

『圭一さん御免なさいか』

余計な事だ。妻がうわ言で何を言おうが、夢で何を見ようが関係あ
りません。してしまった事は戻らないのです。許す気持ちはありま
せん。

家に戻ります。憂鬱な夜が始まります。酒を煽ります。妻の事、佐
伯の事、松下さんの事が頭でぐるぐる回ります。酔う程に松下さん
の比重が大きくなってきます。携帯を手に取っています。松下さん
をコールします。

「松下さん、今から行っていいかな?」
「散らかってますけど、いらして下さい」

松下さんのアパートに始めて訪れます。8階建ての立派なマンショ
ンです。2階に彼女の部屋があります。

「こんな時間にお邪魔して申し訳ない」
「いいえ、お上がり下さい」
「君には全て知られている。今日病院へ行ってきた。夜一人じゃ居
られない」
「病院では何と」
「今は言えない」

松下さんがウィスキーを用意してくれます。ちびりちびりと飲んで
いますが、話す事がありません。私はリビングをあちこち眺めてい
るだけです。



水遣り51
CR 11/14(水) 22:45:01 No.20071114224501 削除
「所長の所に寄ってくる」

報告の必要は無いのでしょうが、不思議です、全てを話したくなっ
てきます。携帯を妻が差し出した事、佐伯と昨日会った事、妻が入
院した事を話します。

「そうか、佐伯と会ったか。それで佐伯の事はどうするんだね」
「慰謝料で済ませる積もりはありません。社会的立場をなくしてや
りたい」
「君が手を下すまでも無く、佐伯の立場はなくなる」
「どう言う事ですか?」
「君には全て話そうと思っていた。もうその時期だな。前にも言っ
た通り佐伯の身辺調査をしている。その結果は火曜日に依頼人に渡
す。その後君にもな」

調査の依頼人は未だ明かせないと言う前提がありますが、調査の内
容を大筋で話してくれます。

「君も知っての通り、佐伯は社長の甥だ。専務の妹、出戻りだが
ね、その妹と佐伯の結婚話が持ち上がっていた。専務は次期社長。
筋から言ってその次は佐伯になる。将来の社長の身辺がきな臭いも
のであればしょうがない」

所長は淡々と語ります。

「佐伯は大阪センターの建設担当役員も兼任している。佐伯と大阪
の建設業者の間で前々からきな臭い噂があった。女の方も相当ある」
「・・・・・」
「業者からの金銭授受も多少のものなら目を瞑れる。女の方は金で
整理がつくかも知れない」

出来るだけ詳細な報告をと依頼されたのです。ここまで聞けば依頼
主が誰なのか私にも大凡の見当はつきます。 

「その程度の物であれば、佐伯には訓告で済ませたと思う」
「その程度では無かった?」
「その通りだ。女はともかく金が程度を超えていた」
「そうですか」
「言うまでも無いが、この事は奥さんにも佐伯にも時期がくるまで
話さないでほしい」
「勿論です。私は私の材料で戦います。でもその時期とは?」
「来週一杯と言っておこう」

佐伯の人間性が解ります、妻をこいつだけには何があっても渡せま
せん。

「妻が昨日入院しました」
「どうしてそれを早く話さない。早く病院に行ってあげるんだ」
「今は会えません。妻の顔を見れば出てくる言葉は一つです」
「そうか。どうして入院したんだね」
「大量の睡眠薬を飲んだと」

私の携帯に着信があります。 病院からです。

「奥さんの担当医です。ご主人、今日病院に寄ってもらえますか」
「直ぐ伺います」

松下さんに直帰する旨伝え、病院に向かいます。



水遣り50
CR 11/13(火) 15:00:53 No.20071113150053 削除
『妻の顔を見れば自然と言葉が出るだろう』

そう言う思いで玄関に入ります。もう4時です。家を出てから7時間
経ちます。テーブルを見ますと、白く小さい物が置いております。
その脇にメモがあります。

”貴方御免なさい。部長から渡された携帯です”

とだけ書かれています。携帯はハンマーのような硬いもので打ち壊
されています。佐伯との決別の印のように見えるのです。

妻が居ません。玄関を入る時、鍵が掛かっていたのかどうか覚えて
いません。一階のバス、トイレを見ますが居ません。出て行ったの
でしょうか。居てくれと言う思いで二階に上がります。寝室のドア
を開けます。ベッドに妻が寝ています。洋子と声を掛けても返事が
ありません。軽く頬を叩きます。妻は起きません。布団の上掛けを
剥がします。下着、私が投げつけた下着だけの姿で横たわっていま
す。何度が揺すり、頬を叩くと妻は目を覚まします。

「あっ、貴方、御免なさい」

白い唇、白い頬、空ろな目、妻の表情が尋常で無い事に気がつきま
す。あり合わせのの服を着せ病院へ連れて行きます。車の中でも妻
は眠ったままです。病院に着き、妻が大量に睡眠誘導剤を飲んでい
る事を知らされます。入院加療が必要との事、手続きを済ませ家に
帰ります。

何の話もしないまま、妻は入院してしまいました。まさか入院中の
妻と話をする訳には行きません。入院した妻が哀れと思うより、い
らいら感が募ります。明日は金曜日、2日も休み会社の仕事も溜ま
っています。妻と佐伯の事は休みにじっくり考える事にします。

金曜日、3日ぶりの出社です。松下さんがお握りと味噌汁を出して
くれます。

「社長、お帰りなさい」
「只今、只今と言うのも可笑しいな」
「お帰りなさいも可笑しいですね」

『お帰りなさいか?』

松下さんにそう言われると何かほっとします。ここが我が家のよう
な気がします。妻からその言葉を暫く聞いていない気がします。妻
は多分言っていたのでしょう、私の耳に入らなかっただけなのでし
ょう。

私の留守中の案件を整理しくれてあります。処理は午前中で片付き
ます。

「昼飯に行こうか」

松下さんをUホテルに連れて行きます。ここから始まったのです。
私と松下さんの昼食から。

「社長、顔色が悪いですね。女の勘で言ってもいいですか」
「あ、いいよ」
「奥さんと何かあったのですね」

私を優しく見つめます。女を感じさせる瞳です。松下さんには隠せ
ません、妻の浮気の事を話してしまいます。松下さんの気を引く魂
胆もあったのです。



水遣り49
CR 11/13(火) 14:48:34 No.20071113144834 削除
佐伯の会社に向かう途中考えます。所長が早く中条さんに会えと言
った訳を。佐伯の人間性を私に解らせたかったからでしょうか?そ
れもあるでしょう。それよりも佳子さんさんの強さと優しさを見せ
たかったのでしょう。しかし私はあんなに強くはなれません、優し
くもなれません。今の私には如何に佐伯と妻に復讐してやるか、思
い知らせてやるか、それしか頭の中にはありません。

それにしても、佳子さんと妻は違いすぎます。その当時、夫であっ
た佐伯のものをグロテスクだと受け入れられなかった佳子さん、喜
んで縋りついてしまった私の妻。妻の中の女が解りません。

佐伯の会社の前に着きます。この時間には佐伯が社内に居る事は確
認してあります。受付で佐伯を呼出、応接に案内されます。思いに
任せてここまで着ましたが、話すべき事を何も用意していない事に
気がつきます、いや考えても自分でもどうして良いか解らないのです。

『まあいい。今日は事実を突きつけるだけだ』

暫く待つと佐伯が応接に現れます。

「宮下さん、申し訳ない。昨晩は見苦しい所をお見せしました」

当然、妻から興信所の件は佐伯に連絡があったものと思っていまし
た。妻が連絡していないのか、それとも佐伯が惚けているのか。

「別に見苦しくは無い。あんた達二人にとっては当然の事だろう」
「は、仰ている意味が良く解りませんが」
「腕を組むぐらいは、愛し合ってる二人にとって当たり前の行為だ
と言っているんだ」
「益々、解りません」
「惚けるんじゃない。随分前からのようだな」

報告書を佐伯の前に放り投げます。

「これは?」
「表紙に書いてあるだろう。興信所のレポートだ」

佐伯はどうしてこんな物が此処にあるのか不思議そうに眺めています。

「中を見たらどうなんだ。先週一週間の物だが、3回も会っている
んだな。随分、洋子にご執心のようだな」

此処まできても、私はまだ数に拘っています。佐伯の膝と手が小さ
く震え出します。

「こんな物嘘だ。でっち上げだ」
「洋子を呼んで3人で話し合ってみるか」
「いや、それは」
「まあいい、兎に角今日はこれを届けに来ただけだ。俺もあんた達
をどうしようかまだ考えていない。勿論それ相応の事はして貰うつ
もりだ。あんたも良く考えておくんだな」

言う事だけ言って佐伯の会社を出ましたが、私はこれからどうすれ
ば良いのか全く見当がつきません。佐伯には慰謝料で済ませる積も
りはありません、徹底的に社会的に葬ってやる。その場合、私の事
も妻の事も社会に晒されるでしょう。私は一人で仕事をしてる身で
す。仕事に影響が出るとは思えません。妻が社会に晒されようと自
業自得です。私が気にしているのは妻と別れられるかどうかその一
点です。

『出て行けと言えば、間違いなく妻は佐伯のマンションに行く。そ
れは耐えられない』

妻がどうなろうと自業自得と思っている私、妻と別れたくない私、
私の思いは矛盾だらけです。 



水遣り48
CR  11/11(日) 10:25:21 No.20071111102521 削除
男の手術つまり佐伯は男根の増大手術をしたのです。話によります
と、佐伯のそれは勃起時で大人の男性の中指を少し太くした程度だ
ったそうです。佳子さんはそれで感じ満足もしていたのです。しか
し、コンプレックスを持っている佐伯は悩んだ末、佳子さんに無断
で手術を受けてしまうのです。

「手術から回復して、どうだと言わんばかりに私に見せるのです」

それは正視に耐えるものでは無かったそうです。大きくはなりまし
た、しかし出来の悪い大人のオモチャのようにゴツゴツしたグロテ
スクな物だったそうです。

「こんな恐ろしい物、おぞましい物、見る事も出来なかったわ」

それ以後、佳子さんはセックス拒否症になり、夫婦はセックスレス
になったのです。

「佐伯の性欲は強い方だったと思います。我慢出来なくなったので
しょうね、それと新しい物を試したかったのでしょう。浮気を繰り
返すようになったの」
「それで離婚を?」
「いいえ、違います」

佳子さんは佐伯の浮気は自分のせいだと言います、自分が拒否した
せいだと。だから我慢できたと。

「何人目かの相手が妊娠したの。人妻だったわ。ご主人に知られて
離婚、貧しい生活のようでした」

その人妻は、認知は出来ないまでも、我が子だと認めて欲しい、若
干の養育費を貰えないでしょうかと佐伯にお願いしたのです。その
事は佳子さんの知る所となりました。

「私は了承したの。もし彼女が望むなら子供を養子として引き取っ
てもいいと」

佐伯夫婦には子供が居なかったのです。佐伯の相手の人妻が妊娠し
た事実だけでも、佳子さんには相当ショックだったでしょう。にも
関わらず彼女は養育費、更には相手が望めば子供を養子にして引き
取るまでの決意をしたのです。彼女が3度目に家に来た時の事です。

「佐伯は彼女に言ったの。”この子は本当におれの子供か?俺以外
にも男は居たんだろう?”って」

彼女は ”酷い”の一言を残して、泣きながら帰ったそうです。 

「気になって住所を頼りに彼女を訪ねたわ。だけど彼女は居なかっ
た。その後も随分探したけど、見つからなかった」

佳子さんは溜息をつきます。その当時を思い出しているのでしょう。 

「佐伯の人格を見たような気がしたわ。それからはもう駄目、佐伯
のする事、何を見ても、何を聞いても、もうこの人とは一緒に暮ら
せないと思ったの」
「そうですか。そんな事まで話して頂いて。でも私の妻はそんな佐
伯に溺れてしまった」
「宮下さん、佐伯は女を玩具としか見ていない、そんな男なの。も
う一度奥さんをしっかり見てあげて」

佳子さんは強い人でした。夫の裏切りを何度も許し、相手の女性に
も労りを示すのです。しかし夫の人間性を知った時、決別を告げま
す。会って直ぐに感じた凛とした表情はその生き方を映しているの
でしょう。お礼を述べ中条家を後にします。



水遣り47
CR 11/11(日) 10:12:36 No.20071111101236 削除
佐伯が卑劣であろうとなかろうと、騙されたのは妻です。いや騙さ
れたのではなく、妻はそれにのっただけかも知れません。

「宮下さん、君は佐伯をどうしたいんだね」
「頭の整理がついていません。出来れば殺してやりたい」
「そうだろうな、しかしそれは出来ない。奥さんの方は?別れますか?」
「余計な事だ」
「失礼した。人生相談ではなかったな」

”別れますか?”この言葉に困惑します。別れなど考えたこともな
かったのです。真相を知り男を叩きのめす、これしかありません。
妻と別れられるのか、それとも一緒に暮らせるのか、今の私には考
えがつきません。

「佐伯の身上調査は火曜日には纏まる。取りに来るといい。ところ
で中条さんとは会ったかね?」
「中条さん?」
「佐伯の別れた奥さんだ」
「あ、今日お会いしようかと」

中条さんと会った後、佐伯の所へ乗り込む積りです。

「直ぐ会った方がいい」
「そうします。では失礼」

興信所を出る私の背中に声が掛かります。

「困った事があったらいつでも来てくれ。人生相談の窓口は開いてる」

中条さんのお宅へは車で40分程度の距離です。椿の垣根で囲まれた
質素なお宅です。呼び鈴を押します。

「はーい」
「宮下と申します。山岡さんに言われて伺いました」

客間でしょうか、8畳の和室に通されます。

物静かな女性です。女の一人暮らしのせいでしょうか、凛とした表
情が漂っています。

「どうぞ、お座りになって下さい」
「はい、今日は失礼を省みずお伺いしました」
「どうぞ、気楽になさって下さい」
「あのー」

聞こうとしている事が事だけに中々口火が開けません。

「ご主人の、いえ失礼、佐伯の、いえ佐伯さんの・・」
「佐伯でいいんではないですか。もう私はあの人の妻ではありません」
「無礼を承知でお聞きします。佐伯とはどうして、そのう、離婚を」
「短兵急な方ね。お茶も未だですのよ。それにご自分の事は何もお
喋りになってないわ」
「失礼しました」

妻と佐伯の事の大筋を話します。

「御免なさい。本当は山岡さんから聞いていたの。貴方が死にそう
な顔をしてるから、ちょっと言ってみたの」
「そうですか」
「佐伯も昔はいい人だったわ、私にも優しくしてくれた。8年前に
変わったわ。手術をしたんです」
「手術?何処か悪かったのですか?」
「いえ、そうじゃ無いんです。男の手術です」
「男の手術?」





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水遣り46
CR 11/11(日) 10:01:46 No.20071111100146 削除
松下さんの作ってくれたお握りをほうばり、味噌汁を飲みます。そ
の美味さ、暖かさに思わす涙が零れます。

『社長、余程酷い事があったんですね』

「ご馳走様。美味しかった」

事務所を出ます。行き先は所長さんの所です。

「宮下さん、報告書は今日奥さんに見せたんだね」
「どうしてそれを?」
「言ったように、昨日の午前中が調査の最終日だ。私も大阪に行っ
た。昨日の君の口振りでは、君も大阪に行くに違いないと思った。
君の活躍を見たかった」
「それでは全て?」
「そう、見ていた。君は気がつかなかったようだが、同じ喫茶店に
いた。ま、気づかれるようなら、私もこんな商売はしていないがね」

私が立ち去った後、妻は私のキックで歩けなくなった佐伯を部屋ま
で連れて帰り、自分の荷物を纏めてホテルを出たのです。一部始終
を所長は見ていました。その時間には東京行きの新幹線はもうあり
ません。名古屋で乗り換え ”ながら”で帰ってきたのです。

「奥さんは、君を追って駆け出した。暫く追ったが追いつかない」
「私を追ってきたのですか」
「そうだ。名前を叫んでいたが、君は聞こえなかったようだな」
「そうですか」
「その内、歩けない佐伯が気になったんだろう、佐伯に肩を貸して
ホテルに戻った」

妻がホテルから出てくるであろうとそのまま待っていてくれたのです。

「同じ車両に乗った。あの調子では奥さんは一睡もしていない。私
は寝たがね」

所長の目は赤く腫れぼったいのです。妻の様子を見ていてくれたの
です。

「有難う御座います」
「何のお礼だね」
「いや、つまり妻を見ていてくれた」
「それより、話があって来たのでは」

写真、媚薬2個を出し所長に出します。所長が先ず手に取ったのは
写真。

「これは君と松下さんだね」
「えっ、松下さんとは会っていない筈では」
「己を知れば百戦危うからずだ」

私は日付日時の事を説明します。所長は日付の部分をじっと見てい
ます。

「此処を見なさい、この部分が他とは色合いが違う」

確かに違います。

「多分、いや間違いなく佐伯が自分のPCで時刻部分を切り取り、嘘
の時刻を貼り付けたのだろう。なんと稚拙な事を」
「その稚拙な事に妻は騙された」
「普通はそこまで見ない。まして奥さんは動転していた。気がつく
訳がない」

媚薬に目を移します。

「これは裏では有名な媚薬だよ。どんな女でもいちころだ」
「これを妻は使われていた」
「しかし、酷い奴だ、佐伯は。写真と言い、媚薬と言い手段を選ば
ない。卑劣な奴だ」



水遣り45
CR 11/9(金) 23:17:25 No.20071109231725 削除
私の物がその鎌首をもたげます、こんな状況でなければ飛びついて
いるでしょう。しかし、今はそんな場合ではないのです。眺めてい
る内、新たな怒りが湧いてきます。

「お前はこんな物履いているのか?佐伯に見て貰いたくって、脱が
せて貰いたくって、こんな物を。会う前から濡らしているんだろ?
俺にはオバサンパンツか」

言えば言う程、感情が激してきます。今まで押さえていた物が全て
出てきます。

「お前は佐伯に何回抱かれた?4ヶ月で50回か?俺たちの5年分だ
な?佐伯のチンポとお前のマンコは余程相性がいいんだな」

妻は俯いたまま聞いています。いや、聞いていないのかも知れません。

「佐伯のチンポは涎を垂らして咥えられるんだ。奴のザーメンは飲
めるんだ。奴の指ならクリは気持ちいいんだ。奴の舌ならお前のマ
ンコは喜ぶんだ」

本当のところは知りません。携帯で佐伯の指示で妻が善がってい
た、その場面が頭から離れないのです。

ガーターごと一気にT-バックを脱がします。足を開きます。そこに
現れたのは私の知っていた物ではありません。小陰唇はその窪みか
ら醜くはみ出ています、クリトリスの包皮も捲れています。しかも
色も赤黒く爛れたようになっています。こんな時でも膣口からは涎
を流しています。あの可愛そうなくらい小さくて可憐な物はもうあ
りません。今しがた、妻を責める為に言った私の言葉が事実となっ
て帰ってくるのです。 

私を打ちのめします。私にはもう妻を責める気力がありません。

「こんなにしやがって」

その言葉は妻に向けたものか、佐伯へのものか私にも解りません。

私はバスルームの整理ロッカーから妻の下着も持ってきます。私の
知っているいつもの下着です。それを妻に投げつけます。

「もういい。服を着ろ。俺は出かける。自分のした事を良く考えて
おけ」

本当は出て行けと言いたかったのです。しかし言えません。佐伯は
独身です。出て行けと言えば佐伯のマンションしか行くところはあ
りません。耐えられません。佐伯のところだけには妻を殺してでも
行かせたくありません。一度や二度の浮気では無いのです。これだ
け長期に渡り、密度濃く、妻は完璧に佐伯に変えられてしまったの
です。本来、妻が持っていた物かも知れません。そうであっても佐
伯にそれを引き出されてしまったのです。普通なら、”離婚だ、出
て行け”の一言なのでしょう。私には頭の整理がつきません、いい
え、心の行き先が見えません。

もう9時になります。2時間も妻を責め続けていたのです。仕事をす
る気になれません。事務所に電話をいれます。

「松下さん、悪いが今日も休む」
「どうされたのですか?」
「いや、私用が片付かなくって」
「お急ぎでなければ、事務所に寄りませんか?味噌汁があります」
「そうか、有難う」



水遣り44
CR 11/9(金) 22:50:03 No.20071109225003 削除
妻の泣き声は更に大きくなります。しゃくりあげるように泣いてい
ます。その背中を見ていると怒りとは別の感情が出てきます。この
4ヶ月以上、妻の裸を見ていません。むらむらと欲情が湧いてきま
す。

「洋子、そこで裸になってみろ。服を脱げ」
「出来ません、許してください」
「夫の俺には出来ないのか」
「違います。こんな朝から出来ません」

出来ないのは解っています。朝でなくとも、こんな状況で出来る訳
はありません。しかし、私は止める事が出来ません。

「朝だから出来ない?馬鹿かお前は。佐伯とは昼日中ラブホテルに
しけこんでるだろ」

妻は脱ぎません。無理矢理脱がせにかかります。先ずスーツの上着
を取るとその下は薄いピンクのブラウスです。ブラウスを剥がしま
す。妻は両手で胸を隠します。

「腕をどかせるんだ」

力ずくで腕を抉じ開けます。妻は抵抗を止め両手で顔を覆います。
ブラが現れます。乳房の下を申し訳なさそうに細い帯状の物で支え
ているだけのブラ、乳首部分にカバーはありません。

「お前は、佐伯に弄ってもらい易いようにこんな物着けてるのか」

妻の乳首は以前より若干黒ずんでいるようです。 

スカートを脱がせます。妻は足をばたつかせ激しく抵抗しますが男
の力には敵いません。スカートを脱がせると、ガーターとストッキ
ングその下にはT-バックが現れます。

「なんと言うものを履いているだ、お前は」

この変わり様に私の言葉はありません。

「立ってみろ」
「立てません」

妻は赤子のように丸まって、横になっています。貴方には何も見せ
たくないと体で言っているようです。その態度が気に入りません。
妻の頬にビンタをはります。妻に手をあげたのは結婚以来始めての
事です。

「いいから立て。立てって言ってるんだ」

妻はよろよろと立ち上がります。 両手は顔を覆ったままです。

正面から妻を見ます。均整のとれた体に薄紫色のブラとT-バック、
その上には黒のガーターとストッキング。ブラから飛び出た乳首、
申し訳程度の布切れで覆われた女陰、その布切れは女陰の割れ目を
浮かべています。

「後を向け」

背中に張りついたブラの細い紐、T-バックは尻の割れ目に食い込み
見えません。

「もう一度前を向くんだ」



水遣り43
CR 11/8(木) 20:23:23 No.20071108202323 削除
仕事部屋に行きノートパソコンを開けます。会社を始めてからのス
ケジュールは全て記録してあります。 写真の日付は7月11日 7月
10日から7月13日まで台湾、10日、11日12日は台湾で泊まっていま
す。7月10日を見ます。松下さんとホテルで昼飯を取っています。
松下さんが来てくれたのがその前の週、来てくれた御礼にと昼食に
誘ったのです。7月10日は台湾に発つ日、乗ったフライトはEG205、
成田16:30発です。市内を13時には出なければいけません。ホテル
からは、遅くとも13時前には出ている筈です。

ノートパソコンを持ってリビングに降ります。

「洋子、いいか。よく見ろ。11日は僕は台湾に居た」

えっと言う表情で私を見つめ返します。

「確かに松下さんとは食事をしている。但し7月10日だ。7月10日は
台湾に発つ日だ。フライトは16:30、1時前にはホテルを出てい
る」
「・・・・・」
「しかも、11日に君は台湾のホテルに電話をくれている。忘れた
か?めったに電話をくれない君が」

佐伯は時刻を改竄する時、日付けを11日にしてしまったのです。妻
は思い出します。声を聞きたくなったからと、電話をしたのです。
佐伯に写真を見せられた時、時刻だけを見ていました。どうして日
付を確認しなかったのか。しかし妻はまだ理解していません、何故
こんな写真があるのかを。

「つまり佐伯が偽造したと言う事だ。ばれたら今度は泣き落とし
か。佐伯には余程可愛がってもらっているんだな、自分が電話した
事さえ忘れているんだ」

暫く妻を眺めています。泣き伏している背中が震えています。

『どうしてこんな事になったんだ。洋子はどうしたんだ。俺たちの
20年間がたったの3、4ヶ月の事で終わってしまうのか』

しかし、感傷に浸っている暇はありません。更に追い討ちをかけま
す。

「この写真は預かっておく、証拠品だからな。誰から渡された?」
「・・・・・」
「馬鹿な質問だったな。佐伯しか居ないからな」

「それから携帯も預かっておく」

妻は自分の携帯を差し出します。

「違う、これではない。佐伯から渡された方だ」
「そんなものもらっていません」
「いつも10時頃佐伯と連絡していた携帯だ。それと・・」

さすがに先々週の金曜日の事は言えません。 

妻は頑なになっています。とうとう携帯を出しません。

「まあいい、お前たちももう使うことも無いだろう」

「それから、これは佐伯のポケットから落ちたものだ」

ピンク色の小さな2つの箱をテーブルに置きます。

「これが何だか解るよな」
「解りません」
「お前たちが何時も使っていた物だろうが、飲む媚薬と塗る媚薬、
しかも非合法。全くお前たちは変態か?」
「知りません、私そんな物知りません」
「知らないだと。塗られても気がつかないのか、お前は」

知っていたと言えば、それを材料にまた私は責めるでしょう。知ら
ないと聞けば、解らない程お前は気をやっていたのかと、また責め
るでしょう。



水遣り42
CR 11/8(木) 20:14:24 No.20071108201424 削除
「お前が出てくれ」

妻が電話に出ます。佐伯からです。

「貴方に替わって欲しいって」
「どうして俺が出なけりゃならない」
「お願いします」

仕方なく出る事にします。

「宮下だが」
「ご主人、昨日は申し訳ない。大人気なかった。つい奥さんに無理
言ってしまった」
「そうか」

それだけ言って電話を切ります。二人で打ち合わせたのが見え見え
です。

「貴方、済みませんでした」
「まぁそう言う事なら仕方がないか」

妻は一応安心したようです。茶番は此処までです。そろそろ本題に
入らなければいけません。

「ところで、お前に見せたい物がある」

2階の仕事場から報告書を持ってきます。

「これだ」

報告書を妻の目の前のテーブルに置きます。

「・・・・・」

表紙の興信所の名前が目に入ったのでしょうか、妻の顔は青ざめて
います。中身を見ようともしません。全てを悟ったのでしょう。

「これは違います」
「何が違う。まだ中身を見ていない。見たらどうだ」

報告書のページをめくっています。先週の月曜日から土曜日までの
妻と佐伯の記録が写真と共にあります。妻は読んではいません、そ
の目は空ろです。

「これは先週一週間だけのものだ。お前たちは相当前から続いてい
たな」

妻は返事が出来ません。バッグを探り2枚のコピーされた写真を差
し出します。

「何だ、これは」
「その写真が私を、私を」

その後は言葉になりません。

私はその写真を見つめます。

「僕と松下さんがホテルに食事に行った時の写真だな。これがどう
した」
「時間が」
「時間が?」

写真に印字された時間を見ます。入って行く時間は11:32.出てく
る時間が14:23。松下さんとは何度かホテルで昼食を取っていま
す。勿論、3時間も掛かる訳はありません。記憶を辿ります。直ぐ
には思い出せません。

「3時間の間、何をされていたのですか」
「3時間も居る訳がない」
「松下さんがあんな嬉しそうな顔をして」

ホテルを出る時の写真、確かに松下さんは嬉しそうな顔をしていま
す。妻が何を思っているのか、この時解りました。



水遣り41
CR 11/7(水) 19:22:51 No.20071107192251 削除
帰りの新幹線の車中、佐伯を殴った感触が手に、蹴り上げた感触が
足に残っています。人を殴るのは気持ちの良いものではありませ
ん。後悔している自分がいます。後悔している事はそれだけではあ
りません。どうして妻を連れて帰らなかったのかと悔やんでいま
す。今頃二人は慰めあって抱き合っているかと思うと居た溜まれま
せん。ウィスキーを注文します。酒で紛らわすしかないのです。

ウィスキーの支払いで小銭を出すのにポケットを探ります。佐伯の
ポケットから零れた小箱が指先に引っかかります。

『そうか、こんな物があったんだな』

見覚えがあります。中国のメーカーに行った時、女が燃えない時使
えば良いと見せられたものです。一つは経口催淫剤、一つは塗布媚
薬。非合法の物です。普通は手に入りません。それだけに効き目も
大きいのです。

『佐伯。こんな物を使いやがって』

飛んで引き返したい衝動に駆られます 車中、酔うどころではあり
ません、怒りが酔いを打ち消します。

家に帰ったのは0時半。今夜も眠れそうにありません。ソファーで
酒を飲み酔いつぶれ、そのまま寝てしまったようです。

女の声で起こされます。

「貴方、御免なさい。こんなにさせてしまって」

酷い二日酔いで頭がはっきりしません。今の状況が飲み込めないの
です。妻だと解るのに数10秒掛かります。時計と妻の顔を見比べて
います。まだ6時半です。

「どうしたんだ、こんな時間に」

場違いな事を聞いています。妻は説明します。新幹線の最終は名古
屋停まり、そこでムーンライト”ながら”に乗り換えて帰ってきた
のです。

『そうか、俺は昨日大阪へ行ったんだ』

妻の説明を聞いている内に徐々に頭が回復します。怒りが込み上げ
てきます。

「帰ってくるなと言っただろ」
「誤解です。あれは違います。お仕事です」
「何がお仕事だぁ。お前たちは腕を組んで仕事に行くのか」

私も何を細かい事を言っているのでしょうか。報告書を見せれば済
む事です。

「あれは、回りの人がみんな腕を組んでいて、じゃあ僕たちもって
部長が」
「回りがキスをしたら、お前たちもするのか。馬鹿か、お前らは。
お前は人妻だぞ、しかも40過ぎのな」
「そんな事しません」
「俺はお前の携帯に電話した。お前が出れば、あんなところを見ら
れずに済んだのにな」
「・・・・・」
「佐伯と居る時、お前はいつも電源を切っているようだな」
「あっ、あれは部長がお客と話している時は電源を切っておくよう
にと」

とっさにうまい嘘を思いついたものです。

「腕を組むのも佐伯、電源を切るのも佐伯。あいつの言う事はなん
でも聞けるんだな、俺の言う事は何も聞けなくてもな」
「そんな事ありません」
「俺が死んでも、明子が死んでもお前には連絡が出来ない。佐伯に
抱かれる方がお前には大事なんだ」
「抱かれてなんかいません」

明子の名前が効いたのでしょうか、妻は涙ぐみます。

「貴方、昨日はどうして大阪へ?」
「解りきった事だ、お前たちが乳繰り合っているところを見たくっ
てな」
「そんな事はしていません」

その時、家の電話が鳴ります。まだ7時前です、余程緊急でない限
りこんな時間に家の電話は鳴りません。



水遣り40
CR 11/7(水) 19:06:36 No.20071107190636 削除
道路を渡る信号は丁度青です。急いで渡り、二人の前に仁王立ちに
なります。走ったせいか息が切れています。妻は私を見ても、一瞬
誰だか解らないような顔をしています。私は妻を見てはいません。
佐伯を睨み付けています。妻は私が解ったのでしょう。

「貴方、どうして此処に?」

私は妻を無視します。

「佐伯、まだ俺が誰だか解らないようだな」
「あっ、宮下さんのご主人」
「やっと、解ったな」
「これから奥さんと業者の打ち合わせに」
「聞きもしない事を言わなくていい。こんな遅い時間に、腕を組ん
で打ち合わせに行くのか。行く所はラブホテルだろ」

とっさの事に二人は腕を組んだままです。あわてて腕を解きます。

「貴方、これは違うの」
「うるさい。何とどう違うんだ。お前は喋らなくていい」

「貴様っ!」

佐伯の顔面にパンチを2発、そして股間を強かに蹴り上げます。

「ギェッ」

佐伯はもんどりうって倒れます。背広のポケットから財布と何がし
かの物が零れ落ちます。

妻は茫然として立ちすくんでいます。

私はピンク色した、形状の違う2つの小さな箱をそっと拾い上げ、
自分のポケットに仕舞います。

「貴方、聞いて」
「聞く事は何もない」
「・・・・・」
「俺は帰る。お前はもう帰ってくるな、佐伯と乳繰り合ってろ」

妻を見ると涙を流しているようです。それが又気に入りません。

「俺に佐伯が殴られてそんなに悲しいか」
「違います」

佐伯がのろのろと起き上がってきます。

「佐伯、精々可愛がってやれ」

私は踵を返してその場から立ち去ります。





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水遣り39
CR 11/6(火) 15:56:44 No.20071106155644 削除
火曜日の夜、明日大阪へ一泊の出張である事を知らされます。これ
以上もう耐えられそうもありません。翌朝一番で興信所に行きま
す。

「山岡さん、もう無理です」
「どうしました」
「今日、妻が又大阪に出張です。明日まで耐えられない」
「佐伯の別件は午前中に片がつく、それ以降なら大丈夫だ」

一旦、事務所に戻ります。

「松下さん、今日は休む。携帯にも電話しないで欲しい」
「何かあったのですか?」
「いや、私用だ」

大阪に向かいます。新幹線の車中、どうしたものか考えます。泊ま
るホテルは解っています。ホテルに聞いても妻のルームナンバーを
教えてくれる訳はありません。佐伯が妻の部屋に居るとも限りませ
ん。妻に携帯で聞けば教えてくれるでしょう。しかしそれでは、妻
は警戒し事を起こさないでしょう。

『浮気の現場を押さえる為に来たわけじゃないよな。洋子の部屋へ
行けばいい』

妻の携帯にコールします。妻の出張中に電話した事はありません、
心臓の鼓動が早くなるのが解ります。数回のコールの後、”電源が
切られているか、電波の届かない所に居ます”の案内が空しく響き
ます。思い切ってかけただけに、怒りが湧いてきます。ホテルの交
換経由の電話案内でも、部屋に居ないと返ってきます。時間をおき
数回繰り返しますが同じ事です。

『洋子はそういう女だったのか。出張中は俺の電話には出たくない
と言う訳だ』

打つ手がありません。考えあぐねます。新幹線を降りてもどうした
ものか迷います。まだ4時、取りあえずホテルに向かいます。ホテ
ルのエントランスの場所を確認します。一箇所だけです。報告書の
写真にあるのと同じである事も確認します。夜二人が何処かへ出る
とすれば此処からでしょう。車を使われれば諦める他ありません。
今日二人が外出するとは限りません。しかし私にはする事がありま
せん、エントランスを見つめる以外ないのです。

回りを見渡します。エントランスの道路を挟んだ向かいのビルの2
階に喫茶店があります。東京にもある喫茶店のチェーン店のようで
す。此処なら粘ってもおかしくありません。窓側の席に陣取りま
す。5時半、出てくるには未だ早いでしょう。6時半店は込んできま
す。一杯のコーヒーでは居た溜まれません、お替りをします。又1
時間が過ぎます。

『出てこないか。駄目だったな』

諦めかけたその時です。二人は出てきました、腕を絡めて。

「釣りは要らない」

私は喫茶店を駆け降ります。



水遣り38
CR 11/6(火) 15:49:17 No.20071106154917 削除
居酒屋の暖簾をくぐります。

「宮下さん、今日帰って報告書を奥さんに見せますか?」
「勿論です」
「少し待ってもらえませんか?」
「出来ません。しかしどうして?」
「今まで話せなかったが、実は以前から佐伯の身辺調査をしていま
す」
「・・・・・」
「身辺調査は水曜日の午前中に一件終わり、それで完了です」
「それが私に何の関係が?」
「佐伯の全貌が解ります。宮下さんにとっても重要な事です」
「しかし・・・」
「経済問題も含め全て宮下さんにお見せします。これは依頼元から
も了承を得てあります」
「経済問題?依頼元?」
「今は詳しく言えませんが他から依頼が先発していました」
「そうすると身辺調査もそこからですね」
「そうです」
「何処の依頼ですか?」
「今は話せません」
「そうですか。水曜日まで待たなくてはいけない訳ですね」
「申し訳ないが、そうしてくれれば助かります」
「仕方無いですね、そうします」

今日は妻に言えない。後2日我慢しなければいけない、その思いと
は別にまだ言わなくてもいいと、ほっとしたのも事実です。

後2日待てば、より強力な武器が手に入るのです。我慢する事にし
ます。 

「その代わりと言っては何だが、佐伯の別れた奥さんに君の事を話
した。何時でも会ってくれるそうです」

普通の興信所の親父では無いとは思っていましたが、どうしてそこ
まで手が届くのか不思議です。

「何を怪訝な顔してる。人生相談所にもなり得ると言ったがな」

私も別れた奥さんに会いたい、会って離婚の原因を知りたい、そう
は思っていました。

帰りがけ、別れた奥さん旧姓中条佳子さんの住所と電話のメモを渡
されます。

「宮下さん、余り考えないほうがいい。体に毒だ」

家に帰ります。

「お帰りなさい。食事は?」
「済ませた」

仕事部屋に入り、報告書を見ます。殆どの事は先程、所長から聞い
たものです。写真を眺めています。一つの事に気が付きます。ホテ
ルに入る時と出る時の妻の表情の違いです。入る時のそれは曇って
いるように見えます。出る時は佐伯に任せきった顔です。違和感が
あります。 

思い出しました。妻が出張するようになり、暫くしてから時折見せ
る顔です。ソファーに座っている時、あるいは台所仕事をしている
時手を休め物思いに沈んでいる時があります。そんな時、私がが声
を掛けても ”疲れているの、何でもないわ。”と返ってくるだけ
だったのです。あの時もっと突っ込んで聞けば良かった、そうすれ
ば此処までにはなっていなかった。しかし、もう遅いのです。



水遣り37
CR 11/6(火) 15:42:56 No.20071106154256 削除
事務所から興信所までのゆっくり歩いて15分程度の道が遠く感じま
す。 

「随分早いですな。後4,5分待って下さい」

待っている間、所長も無言です。その無言が堪えられません。

「出来ました。説明しましょう」

所長の説明を受けます。月曜日の日中、火曜日の夜と水曜日の朝そ
して金曜日の夜と土曜日の朝の報告です。写真が何枚か添付されて
います。

月曜日の日中:時間と場所が書かれています。2時過ぎ、場所は市
郊外のラブホテルです。タクシーを利用しています。地元でもあり
慎重なのでしょう。車がそのまま、建屋に入り、二人の姿、顔はホ
テルのドアーを入る時に確認できる程度です。タクシーを呼んだの
でしょう、タクシーが建屋に入った後、4時半頃二人が出てきま
す。妻の表情は良く解りませんが、笑っているようです。佐伯の左
腕に自分の右腕を預けています。

火曜日:妻はいつものシティーホテルに1時頃入ります。夜7時、二
人がホテルから出てきます。腕を組んでいます。7時半、北新地の
ラブホテル街に入ります。一軒のラブホテルの門をくぐります。10
時半頃、二人は出てきます。11時頃シティーホテルに戻ります。水
曜日の朝10時頃妻が一人で出てきます。

金曜日:二人は新幹線ひかりの同じ車両に乗り込みます。席は隣り
合っています。米原で特急しらさぎに乗り換え金沢に向かいます。
勿論席は隣同士です。夜6時に温泉旅館に二人は入り、翌朝10時に
旅館を出ます。

「ご覧の通りです。月曜日二人はラブホテルで何をしたか歴然で
す。まさか仕事の打ち合わせでは無いでしょう。火曜日のシティー
ホテル、金曜日の旅館の中での事は解りません。しかし佐伯も馬鹿
ですな、わざわざ北新地のラブホテルまで出向いている。いい証拠
をくれた」

何と二人は火曜日まで待てず、月曜日にも関係をもっているので
す。私は所長の話を聞いていません。数枚の写真が私を打ちのめし
ます。

北新地のラブホテルから二人が出てくる写真。妻は佐伯の左腕に両
手を絡め全身を預けるようにぶら下っています。その頭は佐伯の左
肩に預けています。顔に至福の表情を浮かべて。預けているのは体
だけではありません、心までも預けているのです。

ひかり、しらさぎの車中の写真。妻の手から妻の箸から食べる佐
伯、一つのコップで二人で飲むお茶。妻はもう私の妻ではありませ
ん、佐伯の妻のようです。

私の顔が余りにも深刻だったのでしょう。

「宮下さん、お気の毒です。女は皆、こんな顔をします。喜びをく
れた男には、夫にでもそうではなくても。ただ他の写真も見て下さ
い。奥さんを観察していても、沈んでいた時の方が多い気がしました」
「・・・・・」
「今日帰りに一杯どうですか?」

私に否やはありません。このまま家には帰れません。



水遣り36
CR 11/5(月) 21:41:43 No.20071105214143 削除
シャワーを浴び、ベッドで横になっても眠れません。酒の助けを借
りて又気絶するように眠ります。夕方近くまで、眠り続けます。妻
の声で起こされます。

「ただいま。貴方どうかされました?具合でも悪いのですか?」
「いや、何でも無い。昨日半分徹夜だ」

私は言い訳をしています。

『どうして俺が言い訳しなくちゃいけないんだ。全てお前のせい
だ』

心の中で毒づいています。何をして来たんだと聞きたいのを押さえ
ています。

「何か召し上がりますか?」
「いや、いい。どうも夜も食べれそうも無い。夜もいい。それから
明日も仕事だ。明日も飯はいい」

私に非が有る訳ではありません。正々堂々としていれば良いもの
を、こんな態度しか取れません。怒りをこんな態度でしか現せない
自分がもどかしいのです。しかしこんな思いも後2日の我慢です。

仕事部屋に篭った私を何度か妻が覗きに来ます。

「貴方、大丈夫ですか?お粥作ったの。召し上がりますか?」

少しは私の事も気に掛けてはいるのでしょうか。心配そうな顔をし
ています。

「いや、要らない」

私が返す言葉はそれだけです。

夜中の12時を過ぎますとさすがに腹が減ってきます。キッチンに降
ります。テーブルの上に皿が並んでいます。私の好物ばかりです。
横にメモがあります。”食べれるようでしたら、召し上がって下さ
い”。

翌朝、私は出かけます。

「朝御飯、召し上がりませんか?」
「昨日要らないと言った筈だが」

夜、帰るとご飯が用意されています。月曜日の朝もしかりです。私
はそれを無視して出かけます。

事務所に入りますと、松下さんが声を掛けてきます。

「社長、お早う御座います。金曜日はご馳走様でした」

そう言いながらお握りと味噌汁を出してくれます。味噌汁とお握り
は、それから毎朝続きます。

携帯に着信があります。所長からです。

「今日、報告を渡せます。5時頃です」

それから全く仕事になりません。 

「松下さん、悪いが今日はこれで帰る」

4時半になると私は会社を後にします。



水遣り35
CR 11/5(月) 21:35:45 No.20071105213545 削除
松下さんが焼き鳥を食べたいと言う事で、焼き鳥屋に行きます。接
待で時々使う店です。隣の席とは衝立で区切られていて、焼き鳥屋
独特の喧噪さは感じません。

「社長に晩御飯をご馳走になるのは初めてですね」
「弁当のお礼と言っては何だが、たまにはと思ってね」
「お弁当のお返しで晩御飯をご馳走して頂けるのでしたら、これか
ら毎日持って来ます」

松下さんと話してると気持ちが和むのが解ります。酒が進むにれ、
食が進むにつれ心が軽くなるのが解ります。

松下さんの口も軽くなります。

「社長、言っていいですか?」
「何でも」
「社長、この1ヶ月くらい少し変ですよ。特に今週は変。何かあっ
たのですか?」

松下さんも私の変化に気が付いていたのです。いくら私でも妻が正
社員になってから、急に残業、付き合いで帰宅が遅くなり、出張も
毎週のようにあれば少しは変に思います。会社で空ろな時もあった
のでしょう。それがつい先週具体化しただけの話です。

「いや、別に何も。君がこの間 ”妻は僕を愛している”って言っ
たよね?どうしてそう思った?」
「ええ、奥さんの社長を見る目を見てそう思ったの」
「そうか、有り得ないな」
「えっ、有り得ない?」

感が良いのでしょう、松下さんはそれ以上この話題には触れませ
ん。

酔いに任せて喋ります。朝も夜も家で食べていない事、家に帰るの
はいつも遅い事。さすがに妻の浮気の事は言えません。

未だ9時、家には帰れません。二人でカラオケに寄ります。知って
いる歌は演歌です。不倫、悲恋、そんなテーマばかりです。妻と佐
伯が目に浮かび、曲が流れても歌えません。

「私も歌っていいですか?」
「勿論だ」

松下さんは60年代のアメリカンポップスを歌います。何処で覚えた
のかと思うほど上手に歌います。

「よくこんな歌知ってるね」
「父が好きで、小さい頃よく一緒に聞いていました」
「社長も一緒に如何ですか?」
私もメロディーくらいは知っています。見よう見まねで歌います。
弾けるような若い恋。駄目です、歌えません。妻と出会った頃を思
い出します。

「社長、今日は駄目みたいですね。私が一杯歌ってあげるから」

優しい女性です。私が腰を上げるまで、帰るとは言いません。私は
もう泥酔しています。

「そろそろ帰ろうか?」
「そうですね、私が送ってあげる」

一台のタクシーに乗り込みます。私の家の前です。

「有難う、おやすみ」
「おやすみなさい。奥さんの代わりをしてあげるから」

小さくそう言って、タクシーで去って行きます。その言葉は私の耳
には届いていません。



水遣り34
CR 11/4(日) 16:08:50 No.20071104160850 削除
会社でも妻の事が頭をよぎります。処理すべき仕事があるのが幸い
です。仕事している間は忘れています。夜、外食し、スイミングク
ラブに寄って11時頃、帰宅します。

「お帰りなさい。貴方、今日急に出張が決まってしまったの。明
日、大阪で一泊、金曜日、金沢で一泊なの。行っていいてすか?」
「行っていいですかって、業務だろ。行くしかないじゃないか」

妻は今まで通り、宿泊するホテルも私に教えます。

『何が行っていいですかだ。勝手に行け』

私は心の中で毒づきます。顔には出しません 私の心の中には二人
に対する怒り、憎しみしかありません 湧いてくる他の気持ちをそ
れで押さえているのです。

妻と交わした言葉はそれだけです。風呂に入り寝ます。

翌朝一番で、所長に電話して、妻の予定、宿泊先を伝えます。

今日は人と会う予定はありません。昼前、松下さんに話しかけられ
ます。

「社長」
「もう社長はいいよ。こんな小さな会社だ。君と僕しか居ない。宮
下でいいよ」

興信所の所長と同じ事を言っています。

「でも私にとっては社長です。社長以外には呼べません」
「そうか、仕方ないか。それで?」
「お弁当作りすぎちゃったんです。良ければ半分食べて下さい」
「それは嬉しいね。勿論頂く」

松下さんが来てくれて3ヶ月余りです。こんな事は初めてです。そ
れは作りすぎたと言う量ではありません、完全に二人分です。私が
そうさせなかった事もありますが、妻の手弁当を食べた事はありま
せん。実に美味い弁当です。

「美味い」
「やったー。作り甲斐があったと言うものね」
「何だ。わざわざ作ってくれたのか?」
「ばれちゃいましたね」

良く気が付く女性です。食後にコーヒーを淹れてくれます。

「社長の奥さん奇麗な方ですね」
「そうか」

松下さんは妻に一度会っています。入社して間もなくの頃、私の忘
れものを妻が届けてくれた時に話をしています。

「奥さん、社長の事愛してらっしゃるんですね」
「・・・・・、おっ、もうこんな時間か、ちょっと出かけてくる。
お弁当ご馳走さま」

私は返事が出来ません。返事の変わりに用事も無いのに出掛ける事
にします。

金曜日も、もう退社時間近くになります。

この一週間は酷かった。妻が家に居る時は、妻の姿が目に入りませ
ん、いや見れなかったのです。妻が出張で居ない火曜日の夜、妻は
そこかしこに居ます。打ち消しても打ち消しても、妻と佐伯が絡ん
だ姿態が目に浮かびます。佐伯の男根を咥えている妻、佐伯に尻を
掴まれ後ろから貫かれている妻、互いの性器を舐め合っている妻と
佐伯、佐伯の背中にに腕を回し爪を立てている妻 家で一人で居ま
すと妻と佐伯がいたる所に出てきます。打ち消すには酒しかありま
せん。浴びるように飲み、気絶するようにベッドに倒れこみます。

今日の夜はもう、そう言う思いをしたくありません。 

5時、私は松下さんを誘います。

「松下さん、用事が無ければ晩飯一緒にどうだ。僕も一人でつまら
ない」
「うわっ、嬉しい。連れてって下さい」



水遣り33
CR 11/4(日) 16:00:29 No.20071104160029 削除
「随分早いですね?」
「妻と佐伯の行動予定が解ったのです」
「ほう、どうしてですか」

ここは隠す訳にはいきません。妻が携帯で話していた要点を伝えま
す。

「そうですか。二人の仲は相当深いですな」

ぐさりと来る言葉を平気で言います。

「これは失礼な事を言ってしまった。早速これから行動開始といき
ますか。これは簡単な調査になりそうだ、これだけ頻繁に会ってる
とね」

こんな切り口で言われますと、何だか深刻な事を頼んでいる気がし
ないのです。かえって、所長に親近感を抱かせます。

「おっと失礼。また変な事を言ってしまった」

所長の目の前に現金を置きます。

「所長、これ調査費用です」

土曜日に言われた調査費用の3倍の金額です。家を建てる時の足し
にと自分名義でも貯めています。今はそれどころではありません、
少しも惜しくはありません。

「こんな小さな興信所だ。山岡でいい。それにしても多すぎません
か?」
「いえ、浮気の調査だけではなく、佐伯の身辺調査も徹底的にお願
いしたのです」
「ふむ」
「女関係とか、離婚の理由とか」
「どうしてだね?」
「佐伯は独身です」
「ばれても奥さんを佐伯の元へ行かせたく無い。そう言うことだ
ね?」

所長はもう佐伯と断定した口ぶりです。

「そうです。それと佐伯を徹底的に叩きたい」
「奥さんとは離婚するのかね、それとも受け入れるのかな?」
「解りません。山岡さん、ここは人生相談所ですか」
「ご免、ご免。しかし、人によっては相談所にもなりうる」

『全く惚けた親父だ。何が人生相談所にもなりうるだ』

しかし、不思議な信頼感があります。

「あ、そうか身辺調査は無理ですね。ここにはスタッフが居ません
ね」
「いやそんな事は無い。この業界にも横の繋がりがある。浮気調査
の得意な所、身辺調査が得意な所。経済問題が得意な所。任せてお
きなさい」

所長に言われると妙に納得してしまいます。

「そう言うもんですか」
「金は先日言った金額でいい。後は実費精算だ。余ればお返しす
る」
「しかし、身辺調査を追加している」

結局、所長は持っていった額の1/3しか受け取りません。

「浮気調査は来週月曜日、身辺調査はもう少し掛かると思う」

所長の言葉を聞いて、興信所を後にします。





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水遣り32
CR 11/3(土) 23:05:59 No.20071103230559 削除
私はトイレのドアーに耳を付け聞き耳を立てます。下卑た行為に自
分でも嫌気がします。でも聞きたいのです。

妻の細い声が聞こえてきます。

「・・・・・」
「火曜日、金曜日出張ですか?もう出来ません」
「・・・・・」
「えっ、そんな、酷いです。そんな事しないで下さい」
「・・・・・」
「解りました。行きます」

妻は一旦は断ったようです。酷いとはどう言う事か、妻はその後で
出張を了解してしまうのです。佐伯はたった4日間、妻と会えない
だけで、もう妻を抱く予定を立て知らせているのです。余程、妻に
執着があるのでしょう。妻は必ず、出張の予定は前もって私に知ら
せます。月曜日の夜には私に伝えるでしょう。しかし今その予定
を知りました。私はその前に行動を起こせます。時間を稼げま
す。

もうこれ以上聞いていられません。私はトイレの前で今歩いてきた
ように大きな足音を立てドアー越しに妻に声を掛けます。

「今日は疲れた。もう寝るから」

私はもう逡巡しません。佐伯を叩くだけです、熟睡します。

日曜日の朝、いつものように妻は朝食を用意しています。テーブル
に向かいます。腹は空いています。佐伯の男根を握った手で作り、
咥えてた口で味見をしていると思うと喉が受け付けません。もどし
そうになります。早々に席を立ち、出かける用意をします。妻と一
日中、一緒に居るのが耐えられません。

「どうされたのですか? 具合が悪いのですか? 10月17日の事で
怒っているのですか?」
「いや、何でもない。見たいアクション映画があるので見てくる。
体が鈍っている、その後水泳に行ってくる。晩飯も要らない」
「やっぱり怒っているのですね」

妻は勘違いしています。私が感づいたとは思っていないのです。と
んだ間抜け亭主だと思われているのです。それはそうです、この3
ヶ月余りの間、全く気が付かなかったのです。ここで感づかれたと
思う訳がありません。今の私にはその方が好都合です。

「あっ、それから来週一杯、台湾のメーカーと一緒だ。朝も夜も食
事は一緒だ。作らなくていい」

とっさに出た嘘です。正直、食べられそうもないし、食べる気もし
ません。

7時に戻ります。9時半、私は自分の仕事部屋で時間を潰します。仕
事をする訳ではありません、妻がトイレに立つのを見ていられない
のです。仕事部屋で考えます。佐伯を潰したところで、妻を受け入
れられるか? 解りません、あれ程の痴態を見てしまったのです。
では離婚か?離婚した私を、妻を想像してみます。 離婚した妻
は、これ幸いと佐伯の元へ走ってしまうのか?あり得ます、佐伯は
独身です。不倫の証拠を掴むだけでは駄目だ。佐伯の事を全て知ら
なくては。自分と妻の事はその後で考えれば良い。

翌朝、早く家を出た私は銀行が開くのを待ち、金をおろし興信所へ
向かいます。



水遣り31
CR 11/3(土) 22:46:44 No.20071103224644 削除
ごく普通の夫婦の風景がそこにはあります。

その風景に引っ張られて、一つの事を思い出します。台湾で買って
きた妻へのプレゼントがあるのです。バッグから小さな包みを出し
妻に渡します。

「有難う。これは何ですか?」

「まあ、綺麗」

ブローチです。大きな紫水晶の回りに普通の水晶を散りばめてあり
ます。まるで、妻の好きなフラッシュダークネクタリーのようで
す。妻も直ぐ気がつきます。

「クリスマスローズみたい」
「気に入ってくれたか」
「うん、嬉しい、本当に有難う」

妻は着ているブラウスに付けようとしています。

「本当は昨日、渡そうと思っていた。だが昨日はまだ台湾だ」
「どうして、昨日なんですか?」
「君は覚えていないか、昨日10月17日は僕たちが初めて会った日
だ。あれから25年か」

大学対抗水泳で私はある大学のOBとして、妻は対抗側の3年生とし
て参加しました。それが妻との出会いでした。

妻も思い出したのでしょう、ブラウスに付けようとした手が止まり
ます。その手を膝に置き、妻は顔を俯け、その目はブローチを見つ
め続けています。

「どうした」
「嬉しいんです。それなのに・・・」

後は言葉になりません。

『圭一さんはこんな事まで覚えていてくれた。それも私の好きなリ
スマスローズに託してくれて。それなのに、それなのに私
は・・・』

”それなのに”、私はわざと違う解釈をします。

「特別な記念日でもない。君も忙しかった。忘れる事もあるさ」

私はずるい男です。こんな時にわざわざ贈り物をする亭主はいない
でしょう。喜ばす為にあげたのではありません、妻の反応を見てい
るのです。贈り物で妻を苛めているのです。妻はそんな事を知る由
もありません。

漫然とテレビを見ています。妻はまた編物を始めています。10時に
なり妻はトイレに立ちます。こんな時でも佐伯との約束は守るので
す。ついさっき、”それなのに”と涙を流したばかりです。妻には
魔物が住んでいるのでしょうか。 

相手が佐伯だと100%の確証が無くとも、ここで妻にもう止めろと
言えた筈です。携帯を取り上げて確認すれば済む事です。結果が出
るまでは手を出さない、そう決めています。相手は腐れ男でも一応
地元の名士です。100%の証拠が無ければ叩けません。成り行きに
任せる事にします。



水遣り30
CR   11/2(金) 23:24:21 No.20071102232421 削除
『汚らわしい事をしてしまった』

皿に盛られた精液を、女陰を擦りながら犬のように舐めとった。今、妻は
恥じ入っています。自分を卑下しているのです。自分が今までしてきた事に
気がつくのです。

『佐伯とはもう』

夫の電話で我に返ります。夫の声を聞くと申し訳ない思いで一杯に
なるのです。昨日の行為で尚更、その思いは強くなります。

「ただいま」
「お帰りなさい。お疲れ様でした」

妻の顔は沈んでいるようです。しかし、いつも通りの受け答えに腹
が立つのです。

『どうしてお前はそんな普通の態度でいられるんだ』

妻の髪を掴み引きずり回したい衝動に駆られます。押さえたものが
顔に出たのでしょう。

「貴方、お疲れになったみたいですね?顔色が優れません」

妻の言葉にまた腹が立ちます。

「疲れるのは当たり前だ。昨日・・・・・」

喉まで出掛かっている言葉を飲み込みます。

「昨日どうかされたのですか?」
「いや、何でもない。少し疲れた。早いが風呂に入る」

私はバスルームに向かいます。

妻はあんな行為をしても、平常でいられるのか。佐伯との関係も私
の推測が正しければ50回は超えているかも知れません。私にばれな
ければ、平常でいられるのでしょうか。

その回数の圧倒的な多さに怒りを覚えるのです、劇的に妻を変えて
しまった男に怒りを覚えるのです、妻を犬にしてしまった男を殺し
たいのです。
 
『待っていろ佐伯』

怒りを抑えようと冷水シャワーを頭から浴びて、バスルームを出ます。

「貴方、食事にされます」

テーブルには私の好物が並んでいます。 

「いや、飯はいい」

好物を摘みにビールを飲みます。 

妻は毛糸で何か編んでいます。マフラーのようです。今時は毛糸で
編物をする女性は少ないでしょう。妻は色々編んでくれます。靴
下、手袋、セーター。今でも季節がくれば、私はそれを身に着けて
いました。妻の気持ちで暖かかったのです。

「貴方のマフラーを編んでるの。今年の冬は寒いそうですから」

妻の気持ちが解りません。佐伯とあんな関係になっても平常の生活
を営めるのです。

私はウィスキーを持ってリビングのソファーに座り直します。 



水遣り29
CR   11/2(金) 23:13:25 No.20071102231325 削除
私は部屋に備えつきのパソコンに向かいます。市内の興信所を検索
する為です。ウェブを見ても何処が良いのか解りません。トップペ
ージに”浮気の本質を見つめましょう”と言うような事を掲げてい
る業者がいました。他所とは違うものを感じ、此処にきめます。

朝一番でその興信所に飛び込みます。

「いらっしゃい、どうしました、鬼のような形相をしてますよ」

60半ばの温和な紳士が私を迎えてくれます。余程、酷い顔をしてい
たのでしょう。

入った瞬間、選ぶ所を間違えたと思います。この人じゃ調査出来な
い、そう思ったのです。

「どうして、うちに来ました?」
「どうしてって、そのー」
「これは聞き方が悪かった。どうして、うちを選んだのですか」

『そんな事聞いてどうするんだ、この親父は。市場調査じゃある
まいし』

私はもうこの場を立ち去って、次の業者に行きたかったのです。一
応答えます。

「いや、御社のホームページが他とは雰囲気が違っていました。浮
気の本質がどうとか書かれていたものですから」
「うちは御社と言われるほど立派ではないですよ。面白い方だ」
「面白いって?」
「これは失礼。普通誰もこんな時に浮気の本質なんて言葉に目もく
れないものです」
「じゃあ、どうしてあんな言葉を?」
「大事な事だからです。妻の浮気は妻だけの責任だけで無いかも知
れない」
「冗談じゃない。妻の浮気は私のせいじゃない」
「良く考えて下さい。貴方は他の女を抱きたいと思った事はありま
せんか? 商売女や出会いの女ではないですよ。その時貴方は女を
抱きましたか、それとも」
「人生相談に来たのではない。失礼します」

踵を返し、ドアーへ向かいます。その時、声が掛かるのです。

「貴方はまだ奥さんを愛していますね?」

その言葉が私を所長の方に振り向かせます。

興信所の良し悪しは私には解りません。どこに任せても結果は同じ
ようなものかも知れません。所長の人柄に商売以上のものを感じ、
結局ここにお願いする事にします。私の名刺を見て、妻の名前を聞
いた時、一瞬表情が変わったような気がします。

妻の事、考えられる相手の男の事を話します。相手の男が地元の名
士でも所長は動じる風でもありません。調査料金等聞いてこの日は
帰ります。

この興信所にお願いしたのは偶然でした。この偶然が信じられない
程の更なる偶然を呼びます。まるで神が苦しんでいる私に与えた贈
り物のように。勿論私はこの時点では気がついていません。

まだ11時です。 家に帰るには早すぎます。映画で時間を潰しま
す。見たかった映画ですが、スクリーンを目で追っているだけで
す。映画館を出て1時半、まだ早い。取りあえず、妻に電話しま
す。

「宮下です」

妻の声はいつもと変わりありません。

「僕だ。今、成田だ。 2時間半くらいで家に着くと思う」
「お疲れ様でした。お待ちしています」

喫茶店で時間を潰します。妻を見て平常心でいられるか、罵声を浴
びせてしまうのでないか。考えてしまいます。調査の結果が出るま
では平静でいよう。喫茶店を出て家へ向かいます。  



水遣り28
CR  11/1(木) 19:22:07 No.20071101192207 削除
そっと階段を降ります。 玄関に向かい外に出ます。 

『今日は家に帰れない。妻の顔を見る事が出来ない』

自分が悪い事をした訳ではありません。しかし、妻に何を喋って良
いのか解りません。今更、戻って問い詰める訳にもいきません。問
い詰めるのなら、見た時その現場でです。自分にも黙って帰ってき
た負い目がありました。妻の気持ちも考えてしまいました。優柔不
断な自分が嫌になってしまいます。これが妻と男が絡んでいたのな
ら、その場で飛び込み男をけり倒していたでしょう。

何処をどう歩いたか覚えていません。結局向かった先は駅前のビジ
ネスホテルです。気力も何もありません。軽くシャワーを浴び、ベ
ッドに寝転びます。時間の早いせいもあるでしょうが眠れません。
頭の中は真っ白です、何もありません。浮かんでくるのは先ほどの
妻の裸体、痴態ばかりです。精液を舐めた妻。それもいつの物かは
知りませんが男から渡されたものに違いないものを皿から犬のよう
に舐めた妻。電話で男に指示され、女陰をクリトリスを男の精液塗
れの指で擦り回した妻。逝かせて下さい、舐めさせて下さいと男に
懇願した妻。あれは本当に私の妻だったのだろうか。もう一度帰っ
て確認したい衝動に駆られます。

私と妻の20数年は何だったのだろう。ここ2,3ヶ月で妻のこの変貌
振りは何なのだろう。犬にも劣る妻の行為を見てしまった。何故、
そこまで妻は落ちてしまったのか?先程見た妻の痴態が振り払って
も振り払っても出てきます。男との絡みを見た方がまだ楽だった
かも知れません。自然と涙が出てきます。どれ程泣いたでしょう
か。我に返ると床に涙の水溜りが出来ていました。

これだけ変わった妻はもう私のもとへは、帰って来ないかも知れな
い。否、これ程の痴態を見てしまった私は、例え妻が戻ってきても
許す事ができるでしょうか。どうしてもっと早く気がつかなかった
のだろう。暫く終わってしまった事を悔やんでいました。

考えて居るうちに、嘆きが怒りに変わります。妻をこんな風にした
男が憎い。妻を憎むより、男に反撃しよう。怒りの矛先は先ず男に
向けるべきなのです。今は顔の無い男です。顔がない事には反撃の
しようがありません。誰だろうヒントを掴もうと考えます。

椅子に座り直します。フロントにビール、ウィスキーと少々の摘み
を注文します。うじうじしても始まりません。考える環境を整えます。 

『確か、トシオとか呼んでいたな』

トシオ、私は記憶を辿ります 私の仕事関係、交友関係の名前を思
い浮かべます。名前まで覚えている人は僅かです。トシオと言う名
前は浮かんできません。

『ふっ、まあ俺の関係でいる訳はないよな、そんな馬鹿な男は』

私は常にバッグの中に名刺ホルダーを持ち歩いています。仕事関係
と交友関係に分けてあります。交友関係と言っても、ただ一度しか
会った事の無い人も含まれています。無駄だと思いながらも一応見
てみることにします。あいうえを順に整理してあります。その名刺
は直ぐ出てきます。

佐伯俊夫、妻が勤める会社の食品部部長、肩書きは常務。妻に紹介
され名刺交換した覚えがあります。佐伯なら妻と接点が多い、しか
も妻は彼のお陰で正社員になれたと思っています。佐伯なら妻の出
張を自在に出来ます。今、思えば妻は必ず夜10時にトイレにたって
いました。 佐伯との痴話なのでしょう。例え私にばれても、仕事
の連絡だと逃げる事が出来ます。

『佐伯か。こいつだな、間違いない』





   



水遣り27
CR  11/1(木) 19:06:51 No.20071101190651 削除
佐伯の次の指示は妻の乳房に対してです。

「指で掬って、オッパイに塗れ。四つん這いのままでな」

不自由な姿勢です。不自由な姿勢がまた快感を呼ぶのです。顔を横
に向け床に付けなければその姿勢を保てません。妻の鼻先には小皿
があります。匂いを嗅ぎながら、精液の付いた指先で乳首を擦りま
す。妻は直ぐ達します。

佐伯の次の指示です。

「逝ったようだな、次はオマンコだ」

8時50分、私は家の前でタクシーを降ります。リビングの明かりが
点いています。妻は居るようです。二階を見上げますと、寝室の雨
戸は閉まっていますが、その隙間から仄かな明かりが漏れていま
す。普段は消しているいる筈です。

玄関ドアーの鍵が掛かっています。夜も遅いし当然の事でしょう。
玄関ドアーを開け中に入ります。妻の通勤靴が玄関にあります。き
ちんと揃えられています。いつもは、ここでただ今と声を掛けるの
ですが、今日は違います、無言です。リビングのドアーを開けま
す。ここに妻は居ません。キッチン、バスの灯りは消えています。 

もし居るとしたら二階しかありません。そっと階段に忍び寄りま
す。今の借家は表通りからかなり離れ外からの音はありません。妻
の声らしきものが聞こえてきます。階下からでは内容まで解りませ
ん。携帯で誰かと話しているにしては小さな声です。そろりそろと
階段を上がります。階段と二階の階段ホールの明かりは消えていま
す。後2,3段で二階というところで一旦止まります。 

寝室の入り口は階段の直ぐ左にあります。入り口は引き戸です。そ
ろそろと引き戸を開けにかかります。半分くらい開けても、妻は行
為に夢中なのか気がついていません。ここから覗けば寝室は丸見え
です。寝室には仄かな明かりが点いています。最初解らなかったほ
の白く蠢いているものが、妻の裸体だという事が解ります。ここか
らだと声もはっきり聞こえます。 

妻は四つん這いです。尻を斜めにこちらに向け、横にした顔もこち
らに向け床につけています。

「はい」

何やら携帯で話しています。指示を受けているのでしょうか 妻は
顔先にある黒い小皿に盛られた液体を指で掬っています。そして高
く掲げた女陰に擦りつけています。膣を捏ね回しています。私との
行為では決して許す事のなかったクリトリスをも擦っています。そ
れがクリトリスだとはっきり認識できた訳ではありません。妻の指
のその位置からそうではないかと思うのです。

私は妻に声を掛ける事が出来ません。こんな時妻に声を掛ければど
うなるか、妻は自分の醜態を恥じ入り自殺しかねません。そんな女
なのです。そんな風に信じていました。

「顔ですか」

携帯がテレビ電話になっているのでしょう。妻の痴態を見ているの
です。逝く顔が見たいと言われたのでしょうか、自分の顔が良く映
るよう携帯の位置を変えます。

妻は達したようです。

「あぁ、逝きます、貴方、俊夫様」

女陰に添えた手を激しく動かし、舌は小皿の白い液体を舐めとって
います。舌から小皿に白い糸が引いています。この匂いと相まっ
て、この液体が何であるか私は理解しました。



水遣り26
CR 11/1(木) 18:26:51 No.20071101182651 削除
私は台北発EG204に搭乗します。成田着17:55です。これなら少し
遅れても9時頃には家に着く筈です。入国通関を終わったのは7時、
乗換駅でタクシーに乗り込みます。今は8時少し前、1時間もあれば
家に着くでしょう。

その頃、妻は寝室で佐伯の電話を受けています。

「洋子です」
「佐伯だ。今そっちは8時か?」
「ええ、アメリカは?」
「アメリカと言っても広い。クリーブランドは朝の6時だ」

クリーブランドとの時差は14時間です。日本より14時間遅いので
す。朝早くの電話に妻は感激します。

「私の為にそんなに朝早く起きたのですか?」
「可愛い洋子の為だ。もう裸か?」
「いいえ、まだです」
「駄目だな、そんな事では。今日ご亭主は居ないんだろう? ご亭
主が居ない時は何時も裸だ。解ったな」
「はい、申し訳ありません」
「小皿と昨日渡したお土産を持ってきなさい」

妻はその意味が良く理解できません。キッチンに降り小皿を持ち寝
室に上がります。バッグから紙箱を出し、全裸になるのです。

「はい、持って来ました」
「瓶の中身を皿にあけなさい」

ガラス瓶を取り出しまじまじと見つめます。粘度のある白い液体で
満たされています。蓋を取ります。妻の情欲を刺激する匂いです。

匂いを鼻一杯に吸い込みます。妻の情欲は一気に高まります。

「何か解ったか?」
「はい」
「舐めたいか? そうなら言ってごらん」

佐伯は妻から言わせたいのです。

「あぁ、貴方の精液を頂きたいです。 舐めさせて下さい」
「舐めていいぞ。四つん這いになってな。少しだけだぞ、後でも使
うから」

妻は両肘を床につき、尻を高く掲げ、犬のように小皿にあるものを
舐めます。全て舐め尽くしたい気持ちを押さえながら舐めるので
す。

「全部舐めるんじゃないぞ。それくらいにしておけ」

妻は不満そうに鼻をならします。匂いが散るのが惜しいのでしょう
か、精一杯匂いを吸い込みます。

妻は佐伯の次の指示を待っています。





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